2011年9月25日のブログにもロシア北極軍について書いているが、これを補足する形で記述したい。
ロシア政府の「2020年までの北極におけるロシア連邦国家基本政策」によると、
「軍事安全保障、防衛、国境警備分野での基本政策として、北極圏でのロシア連邦の国益保護と軍事政策状況にも適った安全保障を約束するため、
①北極圏で機動的かつ効果的な沿岸警備システムの構築
②北極圏における国境警備インフラの基盤整備
③国境警備部隊の警備力強化と駐屯地整備を行う
④北極圏における海上テロリズム、密輸・不法入国、水産資源保護に関する国境警備部隊との緊密な連携を目的とすロシア連邦軍の部隊と有効戦力を保持する」としている。
また「2020年までのロシア連邦国家安全保障戦略」によると北極圏での資源エネルギーなどを巡る紛争を意識したと思われる以下の記述がある。
即ち「エネルギー資源をめぐる世界的な争奪戦において、ロシア連邦国境付近において、地域の均衡を擾乱する事態が発生した場合、軍事力行使による問題解決の可能性も排除しない」と明記している。
上記の戦略方針に沿うようにロシア陸軍は2011年北極海地域の防衛力強化の為、2個旅団を新設してる。
その一つがコラ半島のノルウェー国境付近に配備されており、この旅団は4000人規模。それと、もう1個旅団も配備される。
ロシア空軍においては2008年に、Tu-95爆撃機が北極圏(アメリカ・カナダ領域)の定期的哨戒飛行を開始。ロシア海軍もデルタⅢ級原子力潜水艦が、ソビエト崩壊後はじめてとなる北極海潜航したままカムチャッカ半島のペトロパブロフスク海軍基地に到着。
またロシアの北洋艦隊においては、諜報任務潜水艇B-90Sarovが北極海で任務遂行活動を開始し、最新鋭の砕氷監視船も新造され国境警備隊に配備されているなど活動が活発化している。
以上のようなロシア連邦軍の北極圏における活動と連動するように原子力発電プラント船が建造継続中。
原子力プラント船の第一号船 Akademik Lomonosov(2007年建造開始) は、70MWの電力が供給できる原子炉2基(加圧水型軽水炉)と発電プラントが搭載される。Akademik Lomonosov の後継艦は5~6隻が就役する計画で、北極海域での資源開発や沿岸都市向け、及び北極軍の基地向けなどの電力源として利用される。
原子力発電プラント船の配置は、311の津波被害と福島第一原子力発電所事故の影響により係留される場所は慎重に検討される必要がある。ロシアのような原子力発電プラント船に関する国際的な取り決めは存在しないが、日本政府はその係留配置の情報の把握、プラント船の運用動向の監視が欠かせない。
ロシアの北極圏における原子力利用は、原子力発電プラント船にとどまらない。原子力機関車による鉄道分野への利用を検討をロスアトムと国営ロシア鉄道社が構想検討している。北極圏に電化された鉄道の敷設は無理であり、従来の化石燃料によるディーゼル機関車は液体燃料故、極寒冷地においての運用管理は困難であることは自明。
ロシアの北極圏における原子力利用の促進は、それなりの効用が十分に期待される。移動型の原子力プラントは、社会インフラが整備しにくい、またその運営維持が難しい北極圏においては、電力のみならず熱利用も含めて、例えば原子力機関車に植物工場や淡水化プラントなどを連結して移動しながらシベリア鉄道から北極圏にいたる地域の地政的安定に寄与するだろう。
ロシアの北極圏における原子力利用はこれだけではない。The Voice of Russia(2011年3月2日)によれば、ロシア連邦政府が構想中の海底原子力発電プランについての報道がなされている。
これは北極海の海底資源開発に、海底着座型の原子力発電プラントを設置して利用する計画。
既にロシアのガスプロムは北極海における大陸棚資源開発については意志決定済みで、海底着座型原子力発電プラントにより電力&熱エネルギーが供給されると、北極海における大規模な掘削ステーション建設が可能となり、莫大なエネルギーにより海底掘削にも絶大な威力を発揮するだろう。
海底着座型原子力発電プラントは当然のことながら北極海底下の大陸棚を移動することも可能なシステムとして開発される。
そういえば、冷戦はなやかし頃、海底を移動するキャタピラ付き諜報潜水艦に関する情報があった。これを原子力によりより強力にして海底資源開発に使うのは当然の発想だ。まあ、新たな海底移動も可能な原子力推進の諜報潜水艦も開発するのだろう。
このロシアの海底資源開発に原子力を利用する影響は如実にあらわれている。既にフランスのDCNS社が、海底原子力発電プラントFlexblueプロジェクト計画を発表しているが、日本の排他的経済水域における海底資源開発においても原子力エネルギーを利用した計画構想など日本政府と企業から発表される時がくるのだろうか?
ロシア政府の「2020年までの北極におけるロシア連邦国家基本政策」によると、
「軍事安全保障、防衛、国境警備分野での基本政策として、北極圏でのロシア連邦の国益保護と軍事政策状況にも適った安全保障を約束するため、
①北極圏で機動的かつ効果的な沿岸警備システムの構築
②北極圏における国境警備インフラの基盤整備
③国境警備部隊の警備力強化と駐屯地整備を行う
④北極圏における海上テロリズム、密輸・不法入国、水産資源保護に関する国境警備部隊との緊密な連携を目的とすロシア連邦軍の部隊と有効戦力を保持する」としている。
また「2020年までのロシア連邦国家安全保障戦略」によると北極圏での資源エネルギーなどを巡る紛争を意識したと思われる以下の記述がある。
即ち「エネルギー資源をめぐる世界的な争奪戦において、ロシア連邦国境付近において、地域の均衡を擾乱する事態が発生した場合、軍事力行使による問題解決の可能性も排除しない」と明記している。
上記の戦略方針に沿うようにロシア陸軍は2011年北極海地域の防衛力強化の為、2個旅団を新設してる。
その一つがコラ半島のノルウェー国境付近に配備されており、この旅団は4000人規模。それと、もう1個旅団も配備される。
ロシア空軍においては2008年に、Tu-95爆撃機が北極圏(アメリカ・カナダ領域)の定期的哨戒飛行を開始。ロシア海軍もデルタⅢ級原子力潜水艦が、ソビエト崩壊後はじめてとなる北極海潜航したままカムチャッカ半島のペトロパブロフスク海軍基地に到着。
またロシアの北洋艦隊においては、諜報任務潜水艇B-90Sarovが北極海で任務遂行活動を開始し、最新鋭の砕氷監視船も新造され国境警備隊に配備されているなど活動が活発化している。
以上のようなロシア連邦軍の北極圏における活動と連動するように原子力発電プラント船が建造継続中。
原子力プラント船の第一号船 Akademik Lomonosov(2007年建造開始) は、70MWの電力が供給できる原子炉2基(加圧水型軽水炉)と発電プラントが搭載される。Akademik Lomonosov の後継艦は5~6隻が就役する計画で、北極海域での資源開発や沿岸都市向け、及び北極軍の基地向けなどの電力源として利用される。
原子力発電プラント船の配置は、311の津波被害と福島第一原子力発電所事故の影響により係留される場所は慎重に検討される必要がある。ロシアのような原子力発電プラント船に関する国際的な取り決めは存在しないが、日本政府はその係留配置の情報の把握、プラント船の運用動向の監視が欠かせない。
ロシアの北極圏における原子力利用は、原子力発電プラント船にとどまらない。原子力機関車による鉄道分野への利用を検討をロスアトムと国営ロシア鉄道社が構想検討している。北極圏に電化された鉄道の敷設は無理であり、従来の化石燃料によるディーゼル機関車は液体燃料故、極寒冷地においての運用管理は困難であることは自明。
ロシアの北極圏における原子力利用の促進は、それなりの効用が十分に期待される。移動型の原子力プラントは、社会インフラが整備しにくい、またその運営維持が難しい北極圏においては、電力のみならず熱利用も含めて、例えば原子力機関車に植物工場や淡水化プラントなどを連結して移動しながらシベリア鉄道から北極圏にいたる地域の地政的安定に寄与するだろう。
ロシアの北極圏における原子力利用はこれだけではない。The Voice of Russia(2011年3月2日)によれば、ロシア連邦政府が構想中の海底原子力発電プランについての報道がなされている。
これは北極海の海底資源開発に、海底着座型の原子力発電プラントを設置して利用する計画。
既にロシアのガスプロムは北極海における大陸棚資源開発については意志決定済みで、海底着座型原子力発電プラントにより電力&熱エネルギーが供給されると、北極海における大規模な掘削ステーション建設が可能となり、莫大なエネルギーにより海底掘削にも絶大な威力を発揮するだろう。
海底着座型原子力発電プラントは当然のことながら北極海底下の大陸棚を移動することも可能なシステムとして開発される。
そういえば、冷戦はなやかし頃、海底を移動するキャタピラ付き諜報潜水艦に関する情報があった。これを原子力によりより強力にして海底資源開発に使うのは当然の発想だ。まあ、新たな海底移動も可能な原子力推進の諜報潜水艦も開発するのだろう。
このロシアの海底資源開発に原子力を利用する影響は如実にあらわれている。既にフランスのDCNS社が、海底原子力発電プラントFlexblueプロジェクト計画を発表しているが、日本の排他的経済水域における海底資源開発においても原子力エネルギーを利用した計画構想など日本政府と企業から発表される時がくるのだろうか?