67camper's Blog

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スウィングの極致,KELLYのピアノ

2012-01-22 04:31:35 | jazz & vocal

Undiluted/Wynton Kelly
(Verve V-8622, Jp.reissue)

 バド・パウエルの流れを汲むハードバップ期のピアニストは本邦で特に人気が高くウイントン・ケリーとソニー・クラークはその双璧ですよね。今日はケリーについてです。その楽しげな躍動感に満ちたプレイで人気が高い訳ですが,特徴的なのは右手のトレモロです。アドリブの中に実に効果的に何の戸惑いもなくすんなりと散りばめられたプレイこそがその真骨調であると思います。当時の親分,マイルスをして「煙草を付ける火だ。・・・彼がいないと煙草が吸えない。」とまで言わしめた評価は余りにも有名ですよね。本日のアップは65年の録音,マイルスバンドのリズムセクションがそのまま独立したトリオでのパフォーマンスです。

 メンバーはお馴染みのケリー,チェンバース,ジミー・コブのトリオでA-1の”Bobo"のみがフルートが入ったカルテット演奏になっています。ケリーのルーツである西インド諸島のラテンフレイバーの曲が多く取り上げられているのもこのアルバムの特徴でもあります。65年と言うボサ流行の背景も影響しているのでしょうね。ズバリ,ベストトラックは両面2曲目の”Swinging 'Til The Girls Come Home”と“Blues On Purpose"です。 こういったミディアムスィングの曲での3者一体となったこれでもかというスウィング感はこのトリオならではです。前者で聴けるチェンバースのホーンライクなプレイや切れのいいコブのドラミングも素晴らしいの一言に尽きますね。勿論,"My Ship"や“If You Could See Me Now"等のバラードの解釈もケリーらしいリリカルでプリティなプレイが光ります。

 所有盤はポリドールの再発盤です。ケリーのアルバムでは人気薄の一枚かもしれませんが聴き所満載の好アルバムだと思います。