私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

父のお引っ越し

2009-10-03 | 3老いる
その連絡は突然やってきた。

特別養護老人ホームからの入所面接についての連絡だ。
申込をしてかれこれ3年。
ようやく、現実的な入所審査の順番が巡ってきたのだ。

お世話になっている老人保健施設の経営側のお一人からは、1年を超えたころから系列の特養に申込のないことを問われ、数か月前にはついに「老健わたりのすすめ」さえいただいていたのだ。
老健側に負担がなくなるような対応をとってはきたのだが。

自宅介護は不可能。
「老健わたり」なんて徒労に終わるのは目に見えている。

待ちに待った特養からの連絡だった。

しかし、手のかかる父を受け入れてくれるだろうか。
ここ1~2カ月は、殊更に不安定で、苦しげに叫ぶ回数が増えている。
心配をよそに、面接は滞りなく終わり「1年以内には何とか」という連絡をいただいた。

その後、あれよあれよと状況は展開してゆく。

1週間後「1年以内には」という話だったのが「入所して下さい」という連絡がはいる。
有難い話だが面食らう。
季節の変わり目で亡くなる方が多かったのだろうか。
めまぐるしく話が進み、最初の連絡から2週間余りで、お引っ越しの日を迎えた。

2年以上お世話になった老健だ。

生死の境をさまよったのちの骸骨のような姿から、痩せてはいるが介護を要する老人らしい姿にまでしていただいた。
表情の消え失せていた顔に、時折笑顔を呼び起こすこともしてくださった。
感謝に絶えないのだ。

しかし、本人は至極自然に、驚くほどあっさりと特養の迎えの車に吸い込まれていった。
「元気でね~」と声をかけてくださる職員の方々に振り返ることもなく、実にさっぱりとしたものだった。
コメント
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