36℃の経年優化

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ほうれんそうとまつたけ

2016-06-18 03:13:40 | 仕事術


 仕事の上で情報共有を行う時、必要なのは「報告・連絡・相談」の
三つだと一般的に言われています。

 報告とは仕事の進捗・結果を上司や同僚に伝達すること
 連絡とは全員が知っておくべき事実関係を組織内でシェアすること
 相談とは上司や先輩に自分の仮説・提案について意見聴取すること

と整理できるでしょうか。
日本では40年以上前から社内の風通しをよくし、
情報不足による組織決定の誤り、行動の誤りを防ぐために
繰り返し必要性が主張されてきているものです。



 この三つは前提として伝統的な組織構造、

 経営層ー部長ー次長ー課長ー自分ー部下/後輩

といったピラミッド型の組織が想定されていると感じています。

上司がいるからこそ、仕事の指示に対する結果報告があり、
チームとして動く単位があるからこそ情報共有に意義が生じ
上の階層があるからこそ、新規提案に対する事前のヒアリングが意味を持つ



というわけです。

 もしこうしたピラミッドが存在しなければ、
そしてチーム単位で動く必要がなければそもそも「ほうれんそう」という
言葉は生まれていなかったかもしれませんね。



 この「ほうれんそう」という言葉に関連して最近新しい言葉を知りました。
その言葉は『データの見えざる手』という本に登場したのですが、

一緒にやろうと声をかけて協働する巻き込み、
共通の話題や関心事項で組織や上限関係を越えて人間関係を結ぶつながり、
困った時にお互いの経験や知識、特技を生かして支え合う助け合い

略して「まつたけ」だそうです。
(巻き込み、つながり、助けあい)



『データの見えざる手』ではこれまで人間による経験や知識の組み合わせで得られる
改善に向けた仮説の設定は無意味になり、
大量の人の動きをデータで解析し、これまでまったく注目されてこなかった
人の動きと売上や業績のリンクを割り出すことで有効な改善仮説が生まれる、
という主張をしている本です。

 そして、その延長線上にある仮説として「まつたけ」こそが
多様な構成員の力を発揮させつつ、全体の目的に調和をとる
21世紀の組織システムの実現に寄与するのではないか、と書いています。



 これまでは↑のとおり上意下達のピラミッド型組織で
一人ではできないことをチームで行い、
経験値の高い人、判断力に優れた人、過去に実績を残してきた人の
リーダーシップによって組織で結果を出すという前提で
「ほうれんそう」が重視されてきました。

 しかしながら、組織というものは徐々に硬直的になり、
時代においていかれ気味になる傾向にあります。
今や企業の平均寿命が非常に短くなり、かつての大企業である
シャープや東芝等ですら生存に向けてもがき苦しんでいるのはご存知の通り。
これまで組織運営の上で当たり前とされてきた情報共有の
絶対的ルールであった「ほうれんそう」も
前提となる組織構造が古くなっていると仮定すれば、
それだけでは不十分になってしまうのは明白です。



 同書で言われているチームワーク活性化による業績向上、業務効率化、
といったリンクはあくまで仮説です。
しかしながら、これまで長い間重要視されてきた「ほうれんそう」に加え、
新たな形の意志疎通方法が必要な時代になっているのは間違いなさそうです。
それも上から下、もしくは下から上ではなく、
役職や階級に囚われない網の目のようなつながりをどう生かすのか、
この点が問われるとすれば

 「まつたけ」

は今後注目のキーワードになるのかもしれませんね。