先週は参議院選挙の結果が発表された直後でしたが、
今週は既に東京の都知事選挙の選挙運動がはじまりました。
(この記事は2016年7月19日に配信した
メルマガのメインコラムを収録したものです。
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こう頻繁に選挙があると、あちこちで
「○○党です!」
「清き一票を●●にお願いします!」
「最後のお願いに上がりました!」
といった拡声器を通じた声が聞こえてきて、
蝉の声よりもずっとうるさく感じます。
来週のメルマガ配信時にもまだ都知事選は
終わっていないという事実だけでもややうんざりしますね。
とはいえ、立候補している方からすれば選挙で当選しなければ
向こう数年間「ただの人」になってしまうわけですから、
必死になって叫びたくなる気持ちもわからなくはありません。
もう少し中身で勝負してくれる人が増えれば、投票率も上がるでしょうし、
日本の選挙の在り方もよりよくなるのだとは思いますが。
さて、日本、特に東京で繰り返し行われる選挙を見ていて
一つコラムを書きたくなったので、今回はその話をお届けします。
選挙結果で大事なのは過半数を得ることです。
多数決を前提とする民主主義において過半数を獲得することは
(憲法改正といった極めて重大なことでない限り)
事実上すべての意思決定権を握ることでもあります。
しかしながら、過半数の支持を得ることはそう簡単ではありません。
特に国政選挙であれば
年齢や性別
住んでいる場所
所得水準
家族構成
などとにかく幅の広い方々すべてが選挙権を持っていますので、
より多くの方に裨益する政策を準備し、実行への道筋を提示し、
支持を得なければならないことになります。
数行で表現していますが、簡単なことではありません。
唯一やりやすい要素があるとすれば、投票率が50%台であることです。
投票に行かない人が50%近くいるということは、
その方たちには響く言葉を用意しなくてもよいですし、
その方たちに裨益する政策も用意しなくてもよいことになります。
つまりおおざっぱに言ってしまえば、選挙権を持つ国民の
4分の1から支持されれば過半数は取れるわけで、
その4分の1に絞って集中的に活動を行うのが正しい戦略、
ということになりますね。
では、皆さんの職場、組織で過半数を得るためには
どうすればよいでしょうか?
実態としては意思決定のキーマンとして社長や役員や上司がいますので
多数決重視の民主主義ではないというご指摘はあろうかと思います。
しかしながら、では役職者が従業員の過半数を超える支持を得た意見を
全く無視するかというと、そうではないと感じます。
(全くのワンマン社長であれば話は別だとは思いますが)
もし同じ組織内で働く同僚からの過半数の支持を得るとなった場合、
国政選挙と比べると支持を訴える相手はかなり均質です。
少なくともある程度同じ目標に向かっている仲間であり、
同じような社内用語、社内システムを共有する相手であり、
給与水準もそこまで大きな差はないと言えるメンバー、
ではないでしょうか?
住む場所は所属する支社や海外駐在中といった事情によって
やや異なる状況かもしれませんが、仕事を通じた情報があるので
相手の生活状況が想像できない(想像したくても不可能)な
状況ではないはずです。
家族構成や子育て、介護、自身の疾病・障害状況などまで考えると
さすがに幅広くなるとは思いますが、
それでも国政選挙の投票者と比べれば
かなり均質な集団と言えるはずです。
そしてもう一つの要素として過半数の支持を得るのに必要な人数は
全体の約4分の1程度であるということも見逃せません。
国政選挙でも実際に投票権を行使するのは約半分。
これは職場でも同じくらいではないでしょうか?
つまり半分の方はYESかNOか意見を持っており、はっきり主張しますが、
残りの半分の方は意外とどちらでもよいと考えていたり、
なんとなく周りの雰囲気についていこうと考えていたり、
といったことが多いようにOzakiは感じています。
こうして考えていくと同じ目標をある程度共有している人たちの中で、
なにかしらの改善提案や改革提案をする際、
過半数の支持を取り付けることは意外と手が届く位置にあると言えそうです。
職場内で過半数の支持を取り付けるというのはすなわち、
職場内の空気を動かすということ。
「空気」を握っている人たちだけを考えて
管理職や上席を除けば同じ部署の15%程度から賛同を受ければ
世界が変わりそうな気がしますね。
もし皆さんがこうしたらいいのになぁ、と思っているけれども
どうやれば職場に変化をもたらせるのかわからない、
と感じている場合まずは気持ちを楽にして意見を表明してはどうでしょう。
文字通りの過半数を獲得するために部署の50%の人の同意を得ようとすると
そう簡単ではないかもしれません。
しかしながら、国政選挙でも明らかなように、実際には皆さんの意見に
賛同する方が15%程度いれば物事が動く可能性があります。
15%の方に響くよい変化を、15%の方に響く言葉で表現してみる。
意外と簡単に手が届きそうな職場の過半数はこんな考え方の
先に得られるものかもしれません。