近年管理職になりたくない人が増えていると言う話も聞きますが、
一般的には勤務経験を経るにつれ、チームを率いて
メンバーを介して成果を出すことが求められると思います。
その時に難しいと思うのはどういう条件を満たせば、
チームのリーダーになれるのだろうかという点です。
いまだにOzaki自身もコレといった回答が出ていませんし、
リーダー(課長)になる前と後でどのくらい世界が変わるのか、
も現時点では想像がつきません。
リーダー職の見習い時期に入ったOzaki自身は
自分自身が任された仕事を極力独力で処理する
自分の仕事だけでなく後輩の育成や組織全体への貢献を心がける
上司に相談する場合にもできるだけ時間を使わせない
上司に判断を仰ぐ場合には複数のオプションを理由と共に提案する
上司の判断結果を踏まえて自分と異なる視点を意識する
といったことに取り組んでいます。
これが正しい方向性かどうか、は数年経ってみないとわかりませんが、
このコラムはOzaki自身を実験台にした奮闘記という位置づけですので、
ここに記録として残しておこうと思います。
さて、Ozaki自身取り組みを進めているところではありますが、
読書の中で一つ参考になるな、と感じた記述がありました。
それは軍隊における昇格基準のお話。
軍隊にも大将から始まるヒエラルキーがあるのはご存じのとおり。
当然のことながらヒエラルキーを上れば上るほど、
率いる部下の数が増え、複雑な任務をこなすようになります。
例えば少尉であれば10人程度のチームをまとめ、
その上位階級である中尉なら30人~50人程度の小隊を率い、
さらにその上位階級である大尉であれば150人程度の中隊を指揮します。
より一般的な表現をするとすれば
少尉が係長、中尉が課長補佐、大尉が課長、というイメージでしょうか。
階級が上がっていくごとに権限の範囲も広がり、
部下の数も増えるということを捉えられるのではないかと思います。
さて、その軍隊でどのように昇進する人を選んでいるかというと、
ある人の上司と同じ役割を果たせることを証明した人のみが
一つ上の階級にあがれるのだそうです。
つまり少尉の人は普段10人程度のチームを任されていますが、
ある時30人規模のチームを率いた任務を命じられ、その任務が
上手くいって初めて中尉昇格の候補になるのだそうです。
これは、今の自分の役割を十分に果たしていればよいのではなく、
そのさらに上、上司の役割をこなせることを証明しなければ、
そもそも昇格の話すらでないということを意味しています。
良く考えてみれば当たり前ですが、軍隊の場合、
指揮官の判断ミスは即部下数十名の生死を左右します。
そしてそういった部隊が多く発生してしまった場合、
どんなに最高司令官が優秀でも戦果を挙げることはできません。
つまり軍隊においてはある役割を果たせることを証明してからでないと、
その役割を任せることはできないのは当然のことなのです。
翻って我々が日々「戦っている」ビジネスの世界を考えてみましょう。
ビジネスにおいては、個々人の判断ミスがチームや課の「死」に
直結することはまずありえません。
多少の損失や受注機会の逸失はあるかもしれませんが、
誰かの命が失われたり、怪我をすることはまずないといっていいでしょう。
また、ビジネスにおいては損失や失注はある程度織り込んだ上で
世界が構築されているのも軍隊とは大きく異なるところです。
チームリーダーや上司も一度や二度の失敗では降格はないでしょうし、
ベンチャー企業などでは、一旦降格をしたとしても、
しばらく経験を積んだ上での再昇格という話も比較的多いと聞きます。
こうして比較してみるといかにビジネスの世界が甘い世界であり、
失敗から学ぶことができるようになっているかよくわかりますね。
しかしながら、個々人のレベルに落とし込んでみると、
上司を十分に代替できる能力を目指す、
というのはわかりやすい目標かもしれません。
日々近くにいる上司の行動や判断をしっかりと観察し、
「生死」には影響しない状況でレベルアップを目指す。
実際に昇格できるかどうか、は保証できませんが、
軍隊式昇進の条件を踏まえれば、上司と同等の仕事ができている人が
まったく評価されないという話はないはずです。
今の役職で十分にやっているはずなのに…
と評価されないことを嘆いている時間があれば、
任されている役職以上の能力があること、
上司の役割も十分に果たせますよ、ということを
示せるように能力を高めるべく努力したほうがよいのかもしれません。