毎年恒例、未来の競走馬視察ツアーの
興奮が冷めやらないまま、コラムを書きます。
デビュー前の競走馬というのは
同じような姿形をしているのですが
(みな同じ年齢の競走馬なので当たり前)
ついている価格が全く違う、
そんな興味深い世界です。
今回の場合は40人が一頭の馬に出資する
オーナーズクラブの出資者募集用の馬ですので、
事前に値付けされた価格が
一頭一頭決まっています。
1400万円の馬(一口35万円)の馬から、
一口1億5000万円(一口375万円)の馬まで、
血統的な背景と期待値から10倍以上の
価格差がある馬が同じ会場に並ぶ機会です。
これが競走馬のセリ市になると
より価格差が大きくでることがあります。
例えば、2006年のセリ市では
生まれて半年の仔馬に6億円(税別)の
値段が付きました。
(youtube 動画、ご都合のよろしい時に
ぜひご覧ください)
https://www.youtube.com/watch?v=n1Ubbf-0HqY&t=11s
次々と同じような格好の馬が
セリ台に乗ってくるのですが、
価格が100倍違うのも当然の世界です。
ただし、競走馬というのは
血統がよければいい
価格が高ければいい
兄や姉に実績馬がいればいい
というものではありません。
能力の高い確率は何となく想定できますが、
実際にレースで走らせてみないと
本当の実力はわからないもの。
ましてデビュー前やレース中に
怪我をして二度と走れなくなってしまう、
そんな事態すらある生き物です。
馬の姿形を見て、将来どのくらいの
賞金を稼げるかを正確に判断するのは
至難の業どころか不可能とも言えるでしょう。
それでも効率よくよい馬を見つけている
馬主さんが何人かいらっしゃいます。
そういう方はどうやって馬を見ているか、
取材結果が載った本を見てみると
「過去にいい成績を残した馬に
立ち姿がまったく同じ馬、
歩き方がまったく同じ馬、
顔立ちがまったく同じ馬、
を選ぶ努力をするのがいい馬を見つけるコツ」
なのだとか。
なかなか見極めが難しいとは思いますが、
能力が高く、たくさん賞金を稼げる馬には
共通項があるようです。
そんな過去の『本物の素質馬』を
何頭も何頭も研究することが、
様々な特徴を持つ仔馬の中から
よりよい馬を見つけ出す秘訣だそうです。
部分、部分を取り上げて、
この馬のここがいい、あそこがいい、
というのではなく、
過去の成功事例である活躍馬、
『本物』を目に焼き付けることが
活躍馬発掘のコツなのでしょう。
思い返せばOzakiも獣医学部時代、
基礎的な勉強が続く2年生、3年生の時に
「あの病気はこういう症状、
この病気はこういう症状・・・
と細かく覚えていたらキリがない。
まずは一つだけ、健康な状態を
とにかく覚えなさい。
そうすれば、病院にやってくる
動物たちのどこがおかしいのか、
簡単にわかる。
健康な状態が分からなければ
そもそもなにが『異常』なのか
わからんだろう。
今健康な状態=基礎を学ばなければ
どんな病気の症状を勉強しても役に立たない」
と言われ続けていました。
競走馬にせよ、
獣医学にせよ、
そして仕事にせよ、
まずはしっかりと基本を突き詰め、
「本物」と言えるモデルを学ぶこと、
この地道さがなにより大事なのだろうな、
とOzakiは思います。
売上ナンバーワン!
新規プロジェクトの提案承認!
顧客満足度1位!
といった華々しい活躍をしている
上司や先輩の裏にはきっと
地道だけれども「本物」と言える
仕事の基礎があるはずです。
競走馬の話はともかくとして
特に仕事においては、基礎の重要性、
本物と呼べるロールモデルやフレームワークは
極めて重要だとOzakiは考えます。
今すぐ派手な実績を残したい、
という気持ちはわかりますが、
名馬発掘のプロセス同様に
まずは「本物」を学ぶことから
取り組むことが大事なのでしょう。