杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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コソ染め太郎のコソ染め日誌29

2012年03月30日 | こそ染め道場
お疲れ様です。コソ染め太郎です。


いやぁ、感染症って何でこんなにも人を苦しめ、また幸せにするんでしょうか?
菌との戦いは基本的には人類が勝ちます。(殺菌という観点だけなら)
もう馬鹿と言われようがカルバペネム+VCM(±LVFX)なんて使っちゃえば十中八九はこっちの勝ちですよね。


だけど、
1.人類の未来のために狭域抗菌薬で攻める
2.菌の置き土産(炎症とか)
3.抗菌薬の副作用(腎障害とか)

などがあり、菌との戦いは苦しいんですよね。


逆にその治療が上手く行った時の喜びと言ったらありません。
感染症、最高!



感染症の患者さんが入院してくるとオーベンに、

「なんかイキイキしてるね」

って言われます。









いや、別に普段の診療を手抜いてる訳じゃないっすからね!
興味があるの感染症だけじゃないっすからね!





…たぶん。







という事で、今日のコソ染めです。(実際の症例を元にした架空の症例です)

今回はグラム染色が役に立ったが、「ざわ……ざわ……」した1例です。

昔、急性腎盂腎炎からの敗血症性ショックの患者が入院してきました。
早速、グラム染色をしてみると…



おお、いるいる。

とりあえず「緑膿菌じゃなさそう」という事は分かりましたが、それ以上の同定は僕には困難でした。
(逆にそれ以上同定するのは危険ですし…)


という事で…


CTRX!



でも本当に効くのかしら?
時間経過で敗血症の症状が進み、ノルアドレナリンを使用し始めました。


そういう時は!
数時間後にもう一回グラム染色を見てみればいいですよね!
尿がきれいになってればいいですもんね!




「ざわ……ざわ……」



尿が出ない!




しまった!ショックで無尿になっている!




「ざわ……ざわ……」




ノルアドの量が増えてゆきます。




「ざわ……ざわ……」




尿はまだか!尿はまだか!






血圧保って、ラシックスをガンガン使ってやっと少量出たのが12時間後


早速、染めてみると…




ふー、これで一安心。
全く心臓に悪いって言ったらもう…


同定された菌はE.coliでした。
こんなに長い菌体のE.coliってあるんですね。難しいなぁ。



ちなみに、上手い具合に調節された抗菌薬を検体に混ぜて検鏡したら抗菌薬が効くかどうか分からないですかね?
そうすれば、こういう検体が得られない時にも「ざわ……ざわ……」しないですみますし。

なんならそれがキット化されて色とかで分かればいいのに。



作って、誰か偉い人!