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スペイン旅 15「なぜ何もないのですか?」バルセロナ・パビリオン

2018-11-17 | スペイン旅

バルセロナ・パビリオン  設計:ミース  
1929年 バルセロナ万博にドイツ館として建設。万博終了後撤去。
1986年 万博と同じ場所に復元。現在、ミース記念館として公開。

突然ですが、モダニズム建築のご紹介。
「バルセロナ・パビリオン」
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この建物はスペイン広場からカタルーニャ美術館へ向かうアプローチの傍にひっそりとありました。
ここも誰もいない。
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鉄とガラスと石を使ったモダニズム建築の究極の名作。
近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ)の代表作。
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 このパビリオンは万博の一般向けの展示施設ではなく、当時のスペイン国王アルフォンソ13世を迎えるためのレセプションホールとして建設されました。
 簡単に説明すると「田舎者のスペイン国王に近代国家ドイツの誇る最先端デザインと技術を見せつけ驚かせ、ドイツの力を誇示するための国家ぐるみの大仕掛け!」でした。
 普段はきらびやかな装飾に彩られた宮殿で暮すスペイン国王です、いきなりこの何もない殺風景なパビリオンに招かれて・・「なんなんだこれは?何もないじゃないか?」・・とさぞ驚いたことでしょう。89年前の出来事でした。
 アルフォンソ13世はこの2年後の1931年に政治的な行き詰まりから亡命、スペイン王政は廃止されます。そして共和政の失敗、スペイン内乱、フランコ独裁政治へとスペインは悲しい歴史をたどります。


89年前、バルセロナ・パビリオンでのレセプション風景。
中央に言葉を交わすアルフォンソ13世(中央)とミース(その右)。
13世「・・なぜ何もないのですか?」
ミース「・・美しいからです。」・・なんてね。
(会話は創作です)


彫刻家コルベの裸婦像・・素敵です。


「・・なぜ何もないのですか?」
89年前、これをいきなり見せられたアルフォンソ13世もさぞお困りだったと思います。
(私はこの水を見ていてカワウソがいたら楽しいナ・・と思いました)


「・・なぜ何もないのですか?」
「Less is more. 」(より少ないことは、より豊かなこと)
 ミースの名言です。

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「・・なぜ誰もいないのですか?」
お答えします:
このパビリオンは公園に面した開かれた空間です、
公園からはよく見えていますが中に入るのには入場料5€が必要、
普通の人は外から見るだけで充分、
5€払ってパビリオンの中にわざわざ入るのは建築マニアだけ、
だから誰もいないのです。


パビリオンのすぐ隣の池ではちょうどワンチャンたちの水遊びでした。
(ホラ!だからパビリオンの池にもカワウソがいれば楽しいのに〜)


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