「ビマ:Bima」 演目《ビマの鬼退治》より
「ある村のはずれに鬼のバーカとその家来たちが住んでいた。年に一度、村人たちは鬼に山ほどの食べ物、いけにえを捧げなくてはならなかった。パンダワ一族の勇者、ビマは村を苦しみから救うため、女性に変装して鬼退治に向かう。はたしてその企てはうまくいくのでしょうか・・・」
パンダワ五兄弟の二男。武芸に秀でる点においては他の兄弟と同様だが、思慮深い他の兄弟と比べると、気が短く粗野な側面を持ち、常に兄弟たちにそうした行為を諭される。パンダワ一族の人形の大半は、優雅さや気品の高さを象徴する細い目をもつが、ビマだけが丸い目をもつ。この形態の目は、粗野で凶暴な性格を象徴する。また下半身に巻かれた布も簡素なもので、たとえていえば「褌をしめた喧嘩っ早い男」という表現がよく似合う。
しかしその一方で、ビマはパンダワ一族の誰にも持ち合わせない特別な霊力を持つと考えられている。それはビマが腰にまとっている布の市松模様から見てとることができる。なぜならこの模様の布をまとう者は霊的な守護力を持つと考えられる。またその爪にも特徴がある。長く鋭くまっすぐ伸びた爪は、父である風神バユ、そしてビマと猿王ハノマンだけが持つ独特の形である。
ビマの体の色は、他の人形にも見られる茶色とは違い、あるダランはマンゴスチンの赤茶けた色だという。なぜならマンゴスチンを割ると美しい白く、甘い実が現れるが、ビマの内面には、まさにその実の白さや味覚が象徴するように、繊細でやさしい性格を持ち合わせているという。
バリのたいていの男性はビマを好み、自分に息子が生まれたときに、もしワヤンの上演を依頼するときは、ビマが活躍する演目を上演してもらうことが多い。子どもに「ビマ」という名前を付ける親もいるほどだ。
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「バリ島の影絵人形芝居ワヤン:梅田英春著」より
「ビマ」細部
😃島根県邑智郡「美郷町ワヤン公演」のお知らせ
日本語とバリで用いられている言葉で語られ、大人も子供も楽しめる内容となっています。多数ご参加ください。
◆日時・演目 : 2023年12月16日(土)
1回目 13:30~14:30 演目《ビマの鬼退治》
2回目 19:00~20:30 演目《アルジュナの瞑想》
◆場所 : みさと館 町民ホール
◆出演劇団:ワヤントゥンジュク梅田一座 ダラン:梅田英春
◆主催:美郷町教育委員会
◆料金等:入場無料 申込不要
◆問い合わせ先:美郷町教育委員会 電話0855-75-1217