玉川上水の木漏れ日の下

 ワヤン・トゥンジュク梅田一座のメンバー katakura のブログ  since 2013

つぶらな瞳

2023-12-08 | ワヤンのお話

美郷町ワヤン「アルジュナの瞑想」より
>魔王ニワタカウチャ(右)「何としてもアルジュナの瞑想を妨害するのだ!」
>モモシムカ(左)「ハハ〜身命を賭してお引き受けいたします」・・・モモシムカは恐ろしい野豚(イノシシ)に変身して暴れまわりますが、最後は野豚の姿のまま殺されてしまいます・・・可哀想なモモシムカ・・・彼の一生はなんだったのでしょうか?・・・野豚さん。

 ダランの話では「魔物が動物に変身して死んで行く設定はバリではよくあるパターン」だそうですが、なんだか可哀想。モモシムカにだって幼い頃があったはずです、魔物にだって可愛い子供や愛しい妻がいるかもしれません?・・・それなのに殺されてしまう。
 魔物の人形は大抵は目が丸くクリクリした「つぶらな瞳」です。牙なんかはやして凄んでいるけど、よく見ると結構みんな可愛いい顔をしている・・・私は「つぶらな瞳」の人形たちが好きです。


つぶらな瞳のモモシムカ


美郷町ワヤン「アルジュナの瞑想」より
恐ろしい野豚に変身して暴れまわるモモシムカ、森を揺らし大地を揺らす。
変身後は「ブーブー」としか言わない(言えない)・・・つぶらな瞳の野豚ちゃん。

〜〜〜〜〜〜〜〜
😃島根県邑智郡「美郷町ワヤン公演」のお知らせ
日本語とバリで用いられている言葉で語られ、大人も子供も楽しめる内容となっています。多数ご参加ください。
◆日時・演目 : 2023年12月16日(土)  
 1回目 13:30~14:30 演目《ビマの鬼退治》
 2回目 19:00~20:30 演目《アルジュナの瞑想》
◆場所 : みさと館 町民ホール
◆出演劇団:ワヤントゥンジュク梅田一座 ダラン:梅田英春
◆主催:美郷町教育委員会
◆料金等:入場無料 申込不要
◆問い合わせ先:美郷町教育委員会 電話0855-75-1217








美郷町ワヤン”アルジュナの瞑想”より「アルジュナ」

2023-12-01 | ワヤンのお話

「アルジュナ:Arjuna」 演目《アルジュナの瞑想》より
「パンダワ一族の武将アルジュナは、来るべきコラワ一族との大戦争に備え、崇高なる神より天界の武器を賜るためインドラキラの森で瞑想を行う。ところがその瞑想を阻止しようとする魔物が巨大な猪となって、アルジュナに襲いかかる。さてアルジュナの運命はいかに・・・」

 パンダワ五兄弟の三男。マハバラタの登場人物の中でもおそらくもっとも有名な武将の一人。バリの人々にとってアルジュナは、「美男子で無敵の武将なれど色を好む」人物として人気が高い。
 容姿端麗であり、女性のようなやさしく甘いマスクを持ち、芸術を好む一方で、幼少の頃より、武芸の才に秀で、誰よりもすぐれた力を身に着けた。また瞑想を重ねることで神々よりさまざまな能力や兵器を授かり、マハバラタの中でもさまざまな戦いを繰り広げるが負けたことがなく、百戦錬磨の武将である。
 特にシワ神より授かった超能力の矢パスパティはアルジュナの武器として知られている(アルジュナの瞑想)。マハバラタの中ではさまざまな武将と戦うが、特にパンダワ一族とコラワ一族の大戦争(バラタユダ)の戦いが有名である。容姿端麗で百戦錬磨の武将である一方で色を好み、数十人の妻を持つことで知られる。
 アルジュナの人形の色はプルメリアの花弁の色に近い、わずかに黄色がかった白が用いられる。
・・・・・・・・・
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン:梅田英春著」より


「アルジュナ」細部


アルジュナ・タパ
今回の演目「アルジュナの瞑想」で用いられる瞑想服をまとったアルジュナ。

😃島根県邑智郡「美郷町ワヤン公演」のお知らせ
日本語とバリで用いられている言葉で語られ、大人も子供も楽しめる内容となっています。多数ご参加ください。
◆日時・演目 : 2023年12月16日(土)  
 1回目 13:30~14:30 演目《ビマの鬼退治》
 2回目 19:00~20:30 演目《アルジュナの瞑想》
◆場所 : みさと館 町民ホール
◆出演劇団:ワヤントゥンジュク梅田一座 ダラン:梅田英春
◆主催:美郷町教育委員会
◆料金等:入場無料 申込不要
◆問い合わせ先:美郷町教育委員会 電話0855-75-1217




美郷町ワヤン”ビマの鬼退治”より「ビマ」

2023-11-26 | ワヤンのお話

「ビマ:Bima」 演目《ビマの鬼退治》より
「ある村のはずれに鬼のバーカとその家来たちが住んでいた。年に一度、村人たちは鬼に山ほどの食べ物、いけにえを捧げなくてはならなかった。パンダワ一族の勇者、ビマは村を苦しみから救うため、女性に変装して鬼退治に向かう。はたしてその企てはうまくいくのでしょうか・・・」

 パンダワ五兄弟の二男。武芸に秀でる点においては他の兄弟と同様だが、思慮深い他の兄弟と比べると、気が短く粗野な側面を持ち、常に兄弟たちにそうした行為を諭される。パンダワ一族の人形の大半は、優雅さや気品の高さを象徴する細い目をもつが、ビマだけが丸い目をもつ。この形態の目は、粗野で凶暴な性格を象徴する。また下半身に巻かれた布も簡素なもので、たとえていえば「褌をしめた喧嘩っ早い男」という表現がよく似合う。
 しかしその一方で、ビマはパンダワ一族の誰にも持ち合わせない特別な霊力を持つと考えられている。それはビマが腰にまとっている布の市松模様から見てとることができる。なぜならこの模様の布をまとう者は霊的な守護力を持つと考えられる。またその爪にも特徴がある。長く鋭くまっすぐ伸びた爪は、父である風神バユ、そしてビマと猿王ハノマンだけが持つ独特の形である。
 ビマの体の色は、他の人形にも見られる茶色とは違い、あるダランはマンゴスチンの赤茶けた色だという。なぜならマンゴスチンを割ると美しい白く、甘い実が現れるが、ビマの内面には、まさにその実の白さや味覚が象徴するように、繊細でやさしい性格を持ち合わせているという。
 バリのたいていの男性はビマを好み、自分に息子が生まれたときに、もしワヤンの上演を依頼するときは、ビマが活躍する演目を上演してもらうことが多い。子どもに「ビマ」という名前を付ける親もいるほどだ。
・・・・・・・・・
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン:梅田英春著」より


「ビマ」細部

😃島根県邑智郡「美郷町ワヤン公演」のお知らせ
日本語とバリで用いられている言葉で語られ、大人も子供も楽しめる内容となっています。多数ご参加ください。
◆日時・演目 : 2023年12月16日(土)  
 1回目 13:30~14:30 演目《ビマの鬼退治》
 2回目 19:00~20:30 演目《アルジュナの瞑想》
◆場所 : みさと館 町民ホール
◆出演劇団:ワヤントゥンジュク梅田一座 ダラン:梅田英春
◆主催:美郷町教育委員会
◆料金等:入場無料 申込不要
◆問い合わせ先:美郷町教育委員会 電話0855-75-1217


影絵人形芝居ワヤン”クンバカルナの戦死”より「猿王スグリワ」

2022-02-16 | ワヤンのお話


「猿王スグリワ」
猿国キスケンダ王。
ラーマ王子を助け、ランカ国に幽閉されたシータ姫の奪回に貢献する無敵の猿。
・・・・・・・・・
ワヤンの中ではスグリワは常に猿軍の先頭に立つ。
猿がはじめてスクリーンに登場する時、たいていの場合はスグリワ登場の音楽が演奏され、キスケンダ王として勇壮に舞い、その後、大勢の猿たちを率いて戦場へと向かっていく。
・・・・・・・・・
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン:梅田英春著」より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
スグリワをはじめとする「猿軍団」の登場シンーンではダラン演じる「猿の声」が聴きどころ!
文字では表現できませんが「シャー!」のような激しい「猿の声」です。
・・・・・・・・・
上演もだんだん興に乗ってくると「シャー!シャー!」と大熱演!
直近で聞いていると「興奮したドナルド・ダック」・・を連想する?
そのぐらい凄い!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◉ バリ影絵人形芝居ワヤン上演  
◉ 演目「クンバカルナの戦死」
◉ 日時:2022年2月19日(土) 14:00-17:00
◉ 会場:浜松市鴨江アートセンター
◉ 料金:無料(定員40名、小学生以上)
◉ お申込み方法
「受け付けを終了しました」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「スグリワとクンバカルナの壮絶な戦い!」
左:シッポがあるのがスグリワ
右:冠をかぶっているのがクンバカルナ




影絵人形芝居ワヤン”クンバカルナの戦死”より「クンバカルナ」

2022-02-13 | ワヤンのお話


「クンバカルナ」
兄はランカ国王ラワナ。
魔物の姿をしているが、性格は誠実、正直、賢明である。
・・・・・・・・・
長い修業により、シワ神の臣下の僧侶ナラダから、罪を犯すことのないよう好きなだけ眠る力を授けられた。また大食感としても知られる。バリでは、太った男性が鼾をかいて寝ていると「クンバカルナのようだ」と言って笑ったりするが、これはクンバカルナの容姿や性格を日常生活の中に表現した言葉である。
・・・・・・・・・
ラーマの妻シータを誘拐した兄ラワナの行為を非難し、叔父プルハスタ、弟ウィビサナとともに即刻シータを返還するように嘆願するが兄に受け入れられずに深い眠りにつく。このクンバカルナが無理やり起こされて戦場に送られ、兄を詰りながらも、ランカ国のために戦って斃れる演目「クンバカルナの戦死」は、ラマヤナ物語のワヤン演目において、バリではもっともよく知られたものの一つである。
・・・・・・・・・
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン:梅田英春著」より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◉ バリ影絵人形芝居ワヤン上演  
◉ 演目「クンバカルナの戦死」
◉ 日時:2022年2月19日(土) 14:00-17:00 (開場 13:30)
◉ 会場:浜松市鴨江アートセンター
◉ 料金:無料(定員40名、小学生以上)
◉ お申込み方法
 必ず、以下のGoogleフォームにアクセス後、申し込みをして下さい。
 https://docs.google.com/forms/u/1/d/1nBtBE1Sqv2yEzjfJF_cxc_PCVA6POjHXd2dWCZhzbFE/edit
なお、コロナ感染症の状況によっては無観客開催となる可能性もあります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久しぶりのバリ影絵人形芝居ワヤン上演です! 
お楽しみに!!



「原寸のこだわり」ムルティとカヨナン

2020-04-13 | ワヤンのお話

左頁:ブラフマムルティ「ウィシュヌムルティよりひとまわり小さい」
右頁:ウィシュヌムルティ「バリのワヤン人形で最も大きいウィシュヌムルティ」
このページ、どちらも原寸大なのでとても迫力があります。

〜〜〜〜〜
ダラン梅田の本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」できました!
〜〜〜〜〜
ワヤンの人形は実際に手に触れるてみるととても迫力がありかつ繊細です。
人形は原寸でないとどうしても伝わらないことがあります。
この「ムルティ」二体と「宇宙樹カヨナン」は原寸で掲載しました。
原寸を見ると精巧な透かし掘りの技術に驚かされます。
とても大きな人形なので原寸では人形の部分になってしまいますが、
人形の全体像もわかる構成になっています。
原寸と全体像を比較しながらご覧になると面白いと思います。




左頁:カヨナン(原寸)「バリのワヤンでもっとも重要な人形」
原寸を見ると精巧な透かし掘りの技術に驚かされます。

〜〜〜〜〜
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」リクエストはこちらから
「紀伊国屋電子書籍Kinoppy」
「Amazon.co.jp」




本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」できました!その2

2020-03-31 | ワヤンのお話
本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」より


本を開くと、はじめにこの見開きのページが出てきます。
このページ構成、迫力があって気に入っています。
<中央の小さく書かれている言葉>
「宇宙樹の影が登場人物たちの上をゆっくりと動く・・・それは
物語の始まりを表すだけでなく、ゆるやかな風が物語世界の中にそよいでいるかのようだ。」

ダラン梅田の本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」ができました。
とても素敵な本になりました。
〜〜〜〜〜
この写真は私の撮影。
私はワヤン本番の時には後方で楽器を弾いていることが多いのですが、
ダラン(人形遣い)助手のこの位置に座ることもある。
その時はできるだけ撮影をするようにしている、
至近距離ならではの絵が撮れる。・・カシャッ!
〜〜〜〜〜
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」リクエストはこちらから
「紀伊国屋電子書籍Kinoppy」
「Amazon.co.jp」


本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」出来ました!

2020-03-28 | ワヤンのお話

(写真:新保 facebookより) 

本「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」 出来ました!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
梅田 英春 の投稿 facebookより(03.27) 

本日、本が出来上がりました。マハバラタやラマヤナなどにご興味のある方、ワヤン好きな方、次にバリに行ったらワヤンを見てみようという方など、もし購入したいという方がいましたら、メッセンジャーにてご連絡ください。
送金手数料はかかりますが、定価+税5,500円よりは少しだけ安く、著者割引で購入できます。
ガムランや舞踊関係のグループ、スタジオなどでまとめて購入いただける場合は、やはりメッセンジャーでご連絡くださいませ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新保 韻香 の投稿 facebookより(03.27)

デザイン担当させていただいた
梅田英春さんの『バリ島の影絵人形芝居ワヤン』
出版社めこんより見本本が届きました。
180体の人形、224頁オールカラー。見応えある良い仕上がり。良かった〜。
本文紙が在庫不足でとても心配してましたが、
ワヤン人形のおかげか解消され、印刷適性の良い紙で刷ることができ、ホッとしました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リクエストはこちらから
「紀伊国屋電子書籍Kinoppy」
「Amazon.co.jp」


(写真:新保 facebook より) 



「夕まづめ」キクチカメラ

2020-02-17 | ワヤンのお話

「夕まづめ」撮影:キクチカメラ(菊地和泉)

現在進行中のダラン梅田のワヤンの本の編集のため、
一座の元新人キクチがバリ留学時に撮影した写真の数々をここのところ眺めている。
・・これがどれもすっごく良いのである。
・・感動する。
(この感動をおわけしますね)
〜〜〜
「夕まづめ(日没前後から暗くなるまでの時間)」は
この写真に感動したダラン梅田が付けたタイトル。
この写真についてのダランのひとり言、
「泣きそうになるような写真ですね。
 これはワヤンに向かうときの写真だとききました。
 こんな夕まづめの時間にワヤン一座はトラックで出発します。」
〜〜〜
バリの空気がよみがえります。
胸がキュン・・ハハ
〜〜〜
キクチ凄いぞ!
・・感動した!
・・ありがとう



「3年半ぶりの対決」ワヤンの撮影

2019-08-24 | ワヤンのお話

ダラン(うめだ)対カメラマン(こはら)
一枚の薄い布を挟んで至近距離に対峙した二人。
3年半ぶりの対決である。

・・・・・・・・
ワヤンの撮影が静岡文芸ちゃんのスタジオで行われた。
前日に準備。
当日は朝の9時から夜8時まで、とても疲れた。
・・・・・・・・
「もう一度お願いしま~す」「あッ!それいい感じです」とカメラマンから声がかかる。
カメラマンは納得がいくまで繰り返し同じシーンを撮り直す。
相変わらずのこだわりの撮影となった。
・・・・・・・・
今、バリ・ワヤンの図録のようなものを作っている。(これはまだここだけの秘密です)
もう5年越しの仕事になる。
ということが、先日の撮影の時に改めて記録を見返してわかった。
「えッ!もうそんなに経つんだ!」とみんなで驚いて、そして笑った。
・・・・・・・・
5年間コツコツと作業を続け、最近やっと全体の構成が見えたきた中で、
「やっぱりこの人形の写真も欲しい」
「こんなシーンの写真が欲しい」といろいろなリクエストが出てきた。
バリに依頼して新たに作ってもらった人形たちもある。
・・・・・・・・
そんなわけで、満をじして今回の撮影が行われた。
このスタジオでのワヤンの撮影は今回で3回目になる。
3回とも撮影は巨匠「コハラッチ」にお願いしている。
・・・・・・・・
来週、私の手元に送られてくるはずの「写真の出来」には全く心配していないのだが、
その膨大な量のカットから選ぶ作業がまたまた大変そうだ。
でも、これからまた5年の時間をかける訳にはいかない、
今回は数週間でカットを決めなくてはなりませぬ。
う〜大変だ・・唸る。
(しばらくはテニスの回数が減るな、これからやっといいシーズンなのに)
・・・・・・・・


2014-04-03「ワヤンのお話」より
右に「座敷わらし」だった頃のキクチ


2016-03-19 「ワヤンのお話」より
3年半前の対決


これは今回の様子 2019-08-22


とても広い撮影スタジオ、快適でしたが
でもやっぱり疲れたな〜
歳だな




「若者にありがとう」ビマの鬼退治

2019-08-03 | ワヤンのお話

公演前日の今日、ワヤンの稽古があった。
若者が加わってくれた。

今回はクテンコン(ダランの助手)に若者が加わってくれた。
クテンコンの左側はノリちゃん、右側が若者トシくんの完璧な布陣である。
ダランもきっと喜んでいる!
〜〜〜〜
稽古中、新しい演目の演出についてこの若者にダランが意見を聞くと、
「面白いよ、大丈夫だよ。」「いいと思うよ。」と率直な意見を言ってくれる。
この若者の率直な感想がダランにはなによりも嬉しいようだ。
〜〜〜〜
ダランは
「そうなんだ。この展開でも分かるんだ?」
と、若者の反応を確認しながら物語を進める。


ビマの大活躍するお話です。
どうぞお楽しみに!

「イベリコ様」

2018-10-11 | ワヤンのお話

(左)イベリコ様と(右)モモシムカ様
目、鼻、口、そして牙、どれもそっくりです。
だって変身した姿なのでそっくりでないといけません。
(この二体はとても良くできた人形であることが分かります)

体育の日、11月の浜松公演(演劇学会)に向けた通し稽古を行いました。
一座の皆さんが揃うのは本当に久しぶりです。
演目は「アルジュナタパ(アルジュナの瞑想)」
ーーーーー
 魔物モモシムカは魔王ニワタカワチャの命を受け、アルジュナの瞑想を阻む策を練る。そして自らが狂暴な巨大な豚に変身して山野をドカドカと暴れ回るのであった。ドカドカドカー!ブーブーブー!大地がグラグラと揺れる。
ーーーーー
 と、ここまでが豚さんの登場の場面、でもこの豚さんには名前がありません。変身前はモモシムカですが、変身後はただの豚です。ブーブーとしか言えません。
 そして名も無い豚のまま最後は殺されてしまう。いつもそうなんです。もう何回も豚のまま殺されて来ました。「このままではかわいそう」と今回この豚さんに名前を付けることにしました。(これが梅田一座の優しさなんですね、バリではありえません)
ーーーーー
 一座の皆さんで協議の結果、豚は「イベリコ」と名付けられました。デレムとサングトにとってこの豚は上司に当たるので彼らは「イベリコ様」と呼びます。(この名前はまだこのブログ内だけの秘密です)
ーーーーー
 名前がつくと不思議なもので、存在感も親しみも増して来ます。殺されてしまうのがかわいそうになってきます。今度は「イベリコ様」を救う会ができるかもしれません。
ーーーーー
 浜松公演、お楽しみに!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


スペインではイベリコ様はこんな様子で売られています。


こんな姿になってしまったイベリコ様が食卓を飾ります。
とても美味しい!ブエノ!

「バナナ」とダラン

2017-12-14 | ワヤンのお話

「バナナ」とダラン・・・ムフフフフフ・・・とても幸せなダラン。

 ワヤン道具の中で、我々が「バナナ」と呼んでいるものがある。直径25センチ、長さ2メートルの円柱。某メーカーの発砲スチロールを積層した表面に、謎のガムテープを秘伝の方法で貼ったものである。(これ以上詳しいことは一座のトップシークレットなので教えられない)
〜〜〜
 年末恒例、渋谷光塾ワヤン公演が先日終わった。今年で7回目の公演、初演から6年が経ったことになるのだが、今回初めて新しくしたのが「バナナ」と呼ばれているこの道具。
 ワヤン上演ではダランはこの道具にブスブスと人形を挿し込んで、人形を自由に操る。
 バリでは本物のバナナの幹を使用するので我々は「バナナ」と呼んでいる。我々も本物のバナナの幹を植物園などから調達して上演したこともあるのだが、まずとても重いので運搬や会場の移動などにくたびれる果てる。公演終了後は生ゴミ扱いとなり、指定ゴミ袋に入る大きさに切り刻んだものを大量に出すことになるので気が滅入ってくる。だから本物のバナナの幹は滅多に使わない。
〜〜〜
 この我々の「バナナ」は、人形を挿す感触が本物のバナナの幹と変わらなくてとても使いやすいと、バリから来日したダランのお墨付きもいただいている。
〜〜〜
 今回、ボロボロになった「バナナ」を数年ぶりに新調したダランは、それはそれは嬉しそうに無邪気に喜んでいた。・・よかったね〜・・ワヤン、頑張ってね〜。 


こんな具合にブスブスとバナナに人形を挿し込んで人形を操る。
古くなったバナナはしだいに人形が挿しにくくなり、
傷んだ表面からは発砲スチロールの粉があたりに飛び散る。


新しいバナナの制作風景。
みんなで呼吸を合わせて丁寧に仕上げていく、集中力と根気がいる作業である。
気を許すと間隔が乱れてくる、少しでも乱れてしまうと全て剥がして初めからやり直す、
というのはウソで「マッいいか?」とみんな笑顔で良いことにしてしまう。ハハ


初めて挿す人形はやはり「カヨナン」。ブスッ!


左が「使用後」、右が「使用前」、中央は「・・?」
梅スタジオにて(2017.11.26)

スチさん

2017-09-10 | ワヤンのお話

耳の大きなスチさん(撮影:ウメダ)

先日、トゥンジュク村のグンデルの名人「スチさん」が亡くなりました。
ご冥福をお祈りいたします。
〜〜〜
とても残念です。
お世話になりました。
〜〜〜
トゥンジュク村の「スチさん」は、
我々一座のグンデル・グループの「目標」のような、とても大きな存在でした。
〜〜〜
「いつかはスチさんのように、自然体で楽く〜にグンデルが弾けるようになれるといいね」
「スチさんのように、ワヤンが自由自在にできるといいね」と、
そんなことを思いながら私たちは練習をして来ました。
だから今は、なんだか気が抜けてしまったような、とても悲しい気持ちです。
〜〜〜
「スチさん」ありがとうございました。


スチさん。(2003.03.撮影)


スチさんとトゥンジュク村の仲間たち。(2003.03.撮影)

ワヤンの夜はなんだか楽しい!

2017-02-23 | ワヤンのお話

素晴らしいワヤンでした。
ワヤン終了後の歓談風景(このときの撮影はOK)。
とても大きなクリル(幕)です、我々一座の倍の面積はあるようです。
LED光源なのでこの面積をカバーできるのですね。

・・・・・
 先日、日も暮れた小雨の中、武蔵小金井駅前の市民ホールまでワヤンを見に出かけた。
 我が家からは徒歩15分ぐらい。妻と歩きながら「ワヤンに出かけるのはやっぱり暗くなってからの方が気分が出るね」とワクワクしながら会場に向かった。
 私たちのワヤン公演が最近明るい時間帯に多いこともあってそんなことを思った。本来ワヤンは夜の芸能だからでしょうか。
・・・・・
「バリ島のワヤン(影絵芝居)上演と解説」
主催:日本インドネシア・バリ教育文化協会(JIBECA)
演目:アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)
ダラン:カデ・チャプン(I Kadek Budi Setiawan)
グンデル演奏:ブダ(I Ketut Buda Astra) 他
・・・・・
 とても素晴らしいワヤンでした。
 特に興味深かったのはたくさんの動物たちの動き。獣、鳥、魚などたくさん出てきました、どれも生きているような素晴らしい動きに感心しました。動物たちの人形もとてもよくできていた。
 日本で、ほかのグループのワヤンを見るのはとても楽しい、ダランもグンデルも上手かったし、とても楽しめました。また公演してください、是非小金井で。
・・・・・
 帰り道「ワヤンを観てから、歩いて家まで帰れるなんて贅沢だね」と妻と話しながら、その足でコンビニに寄ってビールとつまみの「チーズたら」を買って帰った。
 ワヤンの夜はなんだか楽しい!