練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

モネ大回顧展

2007-07-02 | アート
「あれ~~?モネ展今日(7月2日まで)までじゃん!!!」と気がついたのが昨日のこと。
モネとか多分もうフランスにも行かない限り見ること出来ないかもなぁ・・・と思って一念発起で見に行った。

小雨がちらつく乃木坂駅。
チケット売り場はそんなに混んでいない。
でも、会場の中に入ると・・・
すっごい人!ほとんどがおばさま。(私だって傍から見りゃおばさまだけどさ)

「こちらの美術館は順路はございません!お好きな順序で作品をご覧になって下さい!」と叫ぶ係員。
それがいいのか悪いのか・・・。あちこちに向かう人の波に右往左往するわたし。

こりゃゆっくり見るのは不可能!と早々に見切りを付けてめぼしい作品めがけて突進する。
チラシなどにも掲載されている、日傘を持つ女の絵を人人人の頭越しに鑑賞し、
パステルカラーの風景画なんかも遠目に見てやりすごす。
この辺の風景画とか、実家に似たような雰囲気の絵がたしか祖母が買ってきてあったなぁ(モネではないです)。やっぱり日本人には受けがいいのだろうか。確かに見ていて綺麗だし、癒されるし、お家のインテリアにはスッと溶け込む感じ。

どこかのサイトに「よかった!」と書かれていた「かささぎ」を見る。
前評判があったというのもあるけど、なるほどよかった!
雪の白い様子、そこだけ光を受けて光っているみたい。
その白い色がとっても綺麗。どうやってあんな色を出してきたんだろう。
そんな雪景色の中に一羽かささぎの黒。かっこいい。構図がいいと思った。

それから、水を描いた作品が何点か。草花のパステル調と対比して、グリーンの濃淡が力強い。水の描写も透明な水ではなくて、風景の緑を映しつつ、水深も感じさせるような全体的に深みのある男らしい(って言っていいのかな?)印象。
いろんな筆風の変化が見てとれて面白い。

たった一点だけ気がついたのだが、まるで写真が額に入っているかのような、リアルアートに近いんじゃないか、と思うような精巧な描写の絵も・・・。
いろいろ試行錯誤していたのだろうか?

そして一応モネといえば「睡蓮」なので、それについてもコメントせざるを得ない。
最後のお部屋は睡蓮の部屋になっていて、さまざまな「睡蓮」が展示されているのだけれど、思ったよりも「暗かった」。
よく見る有名な絵。あれだけ見ればとても美しい睡蓮の池、という印象で終わるかもしれないが、
全体的に色調も実は暗く、底なし沼にすい込まれて行きそうな雰囲気のほうが勝っている、と私は思った。
解説を読んでみると、晩年睡蓮に傾倒していったモネは庭に睡蓮池を作ってなにやら水を異国から汲んで持ってこさせたほどの入れ込みようだったらしい。
そして睡蓮池を描くことによって単なる植物の描写に終わらず、その池の奥底に沈むものを人間のこころというものに投影して、哲学的な表現をその中に描きこんでゆくことをライフワークにしていた、とのこと。
そういうことなら、なんとなく暗い印象を持った、ということも納得できる。

あまりの人ごみで、人に疲れてサ~~~っと見てきてしまったモネ展だけど、
あまり精魂こめて鑑賞しなくてちょうどよかったかも。
いい加減に見てきたという意味ではありません。
一点一点じっくり見ることができれば素晴らしいと思うけど、
多分私、疲れちゃう。
だいたい、絵画とか、時間をかけてつくる芸術作品って、作家の魂がこめられているというか、強い気持ち、執念、怨念みたいなものまで画材と一緒に時空を超えて伝わってくるような気がするのだ。
そのつよ~い磁気みたいなものにあたりすぎると鑑賞するほうも体力がいるし、見終わった後はへろへろになっていてもおかしくないかも、なんてことを思いました。

モネ大回顧展
国立新美術館
2007年4月7日(土)~7月2日(月)