静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

 相手をたて 花を持たせた風に装う 優し気な言い回しには気をつけよう  自分を隠す点では曖昧ボカシ表現と同根

2022-08-16 15:15:25 | 時評
毎日💛<メディア万華鏡>「させていただく」この装った言い方にモヤモヤ感:山田道子・元サンデー毎日編集長 要旨抜粋
・やはり「させていただく」が登場した。8月7日に東京・渋谷であったイベント「国語辞典ナイト16」。昨年12月に出版された「三省堂国語辞典」第8版を取りあげ、
 担当した編者、それに「国語辞典収集家」や「国語辞典マニア」らが登壇して議論を交わした。SNS時代にフェイクに惑わせられないためのガイド・豆知識を「!」の
 印をつけて解説している。  その「!」印がついたものの一つとして、スクリーンに映し出されたのが「させていただく」だった。

「させていただく」はこの辞典によると(1)許しをもらってするときの、謙遜した言い方(2)許しをもらってするかのように、自分の行為を謙遜する言い方・・という。
  さらに「!」印をつけた解説では「『感動させていただきました』のように、相手と関係ないことに使うのは、ていねいすぎる」と注意喚起している。
  私(山田氏)は政治家が「〇〇させていただきます」と言うのを聞くとムカッとする。へりくだる気持ちもないのに、と。今回、辞典やイベントの説明で得心がいった。
 辞典の分類の(2)、すなわち実際に許しをもらうのではなく、「許しをもらってするかのように」装ってけんそんする言い方だからなのだ。

・「させていただく」と同じようにモヤモヤする言葉に「~をもらった」がある。例えば「感動をもらった」。これは、スポーツ選手ががんばった時によく使われる。
 「元気をもらった」「勇気をもらった」も同じ。エッセイストの酒井順子さんが「うまれることば、しぬことば」(集英社)で、この「もらった」を掘り下げている。
  酒井さんは「もらった」と表現する背景に、相手に花を持たせ、ありがたがる「感謝ブーム」をみる。

★ かつては「もらった」を使わず、直接的な表現がなされた。酒井さんが例にあげたのは、2001年、当時の小泉純一郎首相が横綱・貴乃花をたたえた
 「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」。「させていただく」「~をもらった」に共通するのは、自分の意思よりも他者への意識を優先していることだ。
  人と人との関係で、傷つけない・傷つかないよう距離を置く意識が広がった世の中だからか。
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 山田氏が上で述べている『装って謙遜する』&『自分の意思よりも他者への意識を優先する』言い回しに隠れているのは<謙譲の美徳>をまとう狡猾な逃げであろう。
だから、此の逃げを使う人物が政治家だと、私も山田氏同様に「ムカッとする」。奈良県で銃弾に倒れた元首相は「させていただく」を多用する政治家の一人であった。

これと似た曖昧表現;<~とか><~みたいに><~のカタチで><これはXX(例:チャーハン)になります>式の意味なきボカシ表現も、断定を避け、相手の顔色を見る
点では政治家の「~させていただく」スポーツ関連者の「感動をもらった」と同じ根をもつ。 これを多用する若者はそこに気づいて欲しい。
  明解な言葉で意思・意見を表さない習慣・・これは決して大げさな誇張ではなく、自ら言論を封殺する愚に繋がりかねないのだから。
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