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台湾の頼総統、あえて「中華民国」を前面に   よくぞ言った!

2024-10-10 13:27:01 | 時評
◆【産経新聞】中国の統一圧力に対抗、注目集める「祖国論」 【台北=西見由章】
1) 頼氏は5日の「双十節」(建国記念日に相当)の祝賀イベントで演説。1911年に始まった辛亥革命で誕生した中華民国(RC)は、49年に成立した中国共産党の中華人民共和国(PRC)よりも
   歴史が長いと指摘し、(PRC)発足以前に生まれた75歳以上の中国人は「中華民国が祖国になり得る」とも述べた。 ← 「台湾人は」と言っていない事に注目

2) 与党、民主進歩党の支持層が距離を置く「中華民国」という概念をあえて前面に出し、中国による台湾統一の主張に反論しているのが特徴だ。「台湾独立」論に否定的な中間層を取り込み、
   世論を団結させて習近平政権の統一圧力に対抗する狙いがあるとみられる。頼氏の主張は「台湾は祖国の懐にかえるべきだ」と訴える中国側の論理破綻を突いたものだ。
   一方、中国側が「頑固な台湾独立派」と敵視する頼氏が自ら、旧来の「台湾独立」論を否定した側面もある。

3) 台湾の清華大栄誉講座教授、小笠原欣幸氏は「頼氏の現状認識は中国との統一か独立かではなく、台湾の現状を守り切れるか、圧力を強める中国に統一されてしまうかだ」と指摘。
  「台湾の世論が割れたままでは中国に隙をつかれるので、国民党の看板である中華民国を利用して統一反対という多数派の世論をまとめ、中国からの圧力をかわすというのが頼政権の狙いではないか」
  と分析する。中国共産党と台湾の最大野党、中国国民党に共通する「国共内戦が完全には終結していない」という歴史観は、一つの中国という理念の根拠になっている。

4) 国民党の馬英九元政権下で対外政策の立案に関わった政治大教授の黄奎博氏は、「中華人民共和国が中華民国の人々の祖国にはなり得ない」という頼氏の主張は「歴史的事実」と認める一方、
  頼氏が「中華民国と中国大陸との民族、法理、歴史的関係」を切り捨てていると批判した。 ← なぜ「中華民国と中国大陸との民族、法理、歴史的関係」を切り捨てることになるのか?
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 かねてから私は、台湾の指導者が国民党であれ他の政党であれ「自分たちは中華民国そのままだ」と主張し<”中国”からの独立ではない>という論法をなぜ使わないのか?と問うてきた。
やっと、ここを衝く指導者が台湾に顕れたかと安堵しているところだ。 毛沢東自身が中共建国に際し「なぜ中華民国を継承した」と宣言しなかったかと後年になり後悔した旨を発言している。
 長く中華人民共和国自身は中華民国の後継国家だと名乗らず別国家のままでいたが、1970年前後の米ソ対立時、漁夫の利とばかり、国連で継承国家だと認めさせた。これは周恩来の知恵だった。

 これも以前触れたが、” 中国 ”という抽象概念は、辛亥革命時、梁啓超が編み出した新しい中華民国体制を支えるスローガンであり、中華人民共和国が創ったものではない。
従い≪台湾は” 中国 ”の一部≫という主張は論理的に成立しないし、中華民国は中華人民共和国の一部でもない。全く別の国家であり香港・マカオのような旧植民地でもない。何故なら、
 1945年の日本敗戦で、台湾島は国際的に中華民国の領土に復帰しており、そのころ中華人民共和国はこの世に存在すらしていないから、台湾島はPRCの一部になるべき、というのは荒唐無稽だ。
 PRCの領土になれ、と強要するのは問答無用の【征服】でしかない。 日本人は同じ議会制民主体制の中華民国を見捨てるのか? 香港吸収の実例を思い出そう。


 第二次大戦後70年、中華民国は国交を結ぶ国こそ減ったが、大陸の専制独裁国家とは全く別の自立した自由体制国家として存続している。従い【独立】は当てはまらない。
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