静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

高等教育の外国依存は学術生産力・技術革新力の衰退に   <エネルギー・農産物>同様 高等教育も自給自足の対象にしよう

2024-10-02 08:26:00 | 時評
【AERA.dot】「『最終学歴はアメリカ』は亡国の兆し」内田樹  全文
* 自民党総裁選の候補者9人のうち6人の最終学歴がアメリカの大学または大学院だということに気がついた。なるほど、今の日本の政治エリートは「最終学歴はアメリカ」がデフォルトになったのだと
  知った。富裕層では、中等教育からの海外留学がもうふつうである。どこで高等教育を受けようと、個人の自由だ。他人が口を出すことじゃないと言う人がいるかもしれない。せっかく海外で質の高い
  教育が受けられるのに、何が悲しくて質の低い日本の大学に行かなければならないのか、と。だがこれは「高等教育のアウトソーシング」であり、それが意味するのは「高等教育の空洞化」である。
   国産の農作物よりも安くて質の良い農作物が海外から輸入できるなら、国内に農業がある必要がないというのと同じである。そのロジックが日本の農業の空洞化をもたらした。

* だが、「グローバリスト」たちは「必要なものは、必要な時に、必要なだけ市場でいつも買える」わけではないということを忘れている。戦争でもパンデミックでも円安でも「必要なもの」は
  いきなり入手不能になる。それはコロナの時の医療資源の枯渇で思い知ったはずではなかったか。<教育も医療もエネルギーも農作物も「それなしでは集団が生き延びてゆけないもの」である
   そういうものは自給自足が原則である。たしかに困難な目標ではあるが、「それなしでは生きてゆけないもの」は自給自足を目指すべきなのだ。この四半世紀、日本の大学の学術的な生産力は
   目に見えて衰えた。為政者自身が日本の高等教育を世界最高レベルのものにして、子どもたちが海外に出る必要がなくなる日が来ることを別に願っていないのだから当たり前である。


★ ハーヴァード大学の学費は年額5万6550ドル(約800万円)である。生活費を入れて一人に毎年1千万円仕送りできる家の子供しかアイヴィー・リーグに留学できない。
  それができる富裕層たちは「日本の大学のレベルがどうなろうと俺は知らんよ」と思うだろう。そういう人たちが今教育政策を起案しているのである。亡国の兆しと言う他ない。

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 これまで論じられてきた自給すべき対象とは永い間「エネルギー、農作物」。然し、コロナウイルスの流行で「医療」分野でも新薬研究や開発の遅れから外国依存の脆さを日本人は思い知った。
だが「高等教育」も自給自足の対象だという内田氏の発想を、少なくとも私は持ち合わせていなかった。皆さんは如何だろう? 確かに「教育」は、戦争でもパンデミックでも円安でも妨げられる。

 第二次大戦時、欧州や米国に留学していた多くの学生・研究者は帰国を余儀なくされ、敗戦後の占領軍による制約が戦後の産業技術革新の遅れに結びついた。此の記憶を忘れてはいけない。
 現在は、欧米に加え中国の大学への依存度も高くなっている。  国家存続に欠かせない自給自足を脅かすカントリーリスクは減らそう!
コメント
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