東アジア共同体の虚妄ⅡⅩⅠ

　こう見てきてお分かりのとおり、日中間の経済関係とはもっぱら中国が日本に対して依存している構造にあり、日本はいつでもをすることが可能なのです。
むしろをして、割高であっても自国で生産をし、日本に友好的なアジアの国で、
あるいは戦略的に有効性を高める必要のある南アジアの国にシフトをしていくことが安全保障上の観点から重要なのです。
むしろバイパスを進めたとしたら、実は中国の方が日本にしがみつかなければならないのです。しかしその構造をあからさまにしたくないために強い態度に出てきます。
こういう構造が今の日中関係にあるのです。その目くらましに使われるのが日中友好です。そして今、東アジア共同体という罠ができつつあります。
これは華夷秩序収斂主義と言っても良いでしょう。日本は華夷秩序に飲み込まれてかまわないと言う発想に繋がっています。

　これらを何としても進めようとしているのが田中均外務審議官です。
彼は最近大学人になったようですが、昨年の6月に東アジア共同体評議会と言う団体が会議を開きました。
そこで彼は『東アジア共同体構想の現状と背景と問題点』と題する基調報告を行いました。
そこで彼は「何故東アジア共同体が必要なのか」という設問に対して次の3点を述べています。
１．中長期的日本の国益にかなう　
２．中国との協力を促進するシステム作りになる　
３．日本のナショナリズムをより健全な方向に導く。
欧州連合との比較において統治形態や文化の多様性から東アジアにおける共同体作りの難しさを認めつつ、彼はこうも述べています。
「当にその困難を乗り越えてコンセプトを作り実際の産業を押していこうというのが現在の流れである」、
つまり何が何でも推進しなければならないという政治的メッセージを述べているのです。

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