東アジア共同体の虚妄ⅩⅥ

　さて中国と日本の経済関係、それは「中国との取引によって日本の経済は成り立っているのだ」というまことしやかな議論、これが本当なのかを検討してみましょう。
青山学院大学の福井義高さんの説明によると「中国と日本の経済関係は貿易で見ると日本が中国に依存しているというのは全くの嘘」で、
むしろ「中国の日本に対する一方的な依存」にあるとしています。
この中国の貿易の特徴は、広い意味での資本財を輸入してそれを低賃金の労働で加工し再輸出すると言う基本パターンにあります。
最近の経済発展に伴って石油の輸入が急速に増えています。
日本に対しては繊維製品の輸出の多さの一方、日本の主たる輸出品である高付加価値の消費財は中国にそれほど多く輸出されていないと言う特徴的な問題があります。
中国が日本から主に輸入しているのはいわゆる高度資本財、つまり日本でしか作れない部品です。
しかもこれは中国が国として輸入していると言うよりも「日本企業が中国の日本企業に対して送っている」のが実体なのです。

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