所要があり2月2日に大阪市へ行きました。
集合場所が通天閣下の「ずぼらや」だったのでJR新今宮駅で下車しましたが、駅前の風景がコロッと変わっています。まさに浦島太郎です。
通天閣を目的に歩きだしましたが、あまりにも様変わりです。
路傍に在った段ボールハウスは無く、失業者(アンコ)も浮浪者もいません。そして淫靡な店で溢れていた新世界もすっかり変わっていました。
エロ映画館も1軒残っているだけ、風俗の店も消えています。同伴喫茶、ノーパン喫茶、ビンゴゲームの店、パチンコ屋・・・すべて消えていました。
代わりには串カツの店が軒を連ねています。
そして外国人観光客が大声で喚いていました。田舎の女子高生が5人ほどの群れで何か食べながら歩いているのは印象的でした。
ずぼら屋のテッチリも2000円からと随分高価なり、河豚は2切れ入っていただけです。
少し鼻の下の長い老人には、魅力のない町になっていました。
坂田三吉もこれを見れば、眼を廻すでしょう。
安全無害になっているでしょ。
大阪や神戸は、胡散臭さみたいなものが魅力だったと思います。それが薄っぺらな安全無害のテーマパークになって魅力が無くなった。
あの異様な雰囲気がなくなってしまいました。
半世紀ぶりの天王寺界隈、修学旅行生がくるほど健全な
街になりました。
それでも、朝から飲んだくれているらしきオヤジたちも、自転車でウロウロしています。
商店街を歩いていると、提灯をつけたお店がずらり。料亭かと思えば、あれが飛田遊郭。若い女性が店先にちょこんと座り、傍らには割烹着のおばさん。厚化粧以外はごく普通の人が多く、あっけらかんとした様子。
夜になると、がらりと雰囲気がかわるのでしょうね。
わずかな年月でも、街はこのように変貌するのですね。
老人にとって遊郭は縁がなく、杖を曳いて歩くだけです。
時折よろけて女子高生に接触すると「キモ悪いジジイ!」とあらぬ疑いを掛けられます。
「お前らも50年すると、こうなるのや」と胸の内で叫びます(からたち日記風)。
彼女らには憐憫の情と想像力がないようです。
陰影とか淫靡か、全くない街になっています。
ところが女性から見ると、そうでもないようです。
露店で盗品の靴片方や、時計(セイコーの機械が入ったローレックス)を売っていたのが夢のようです。