まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

富山・高岡視察(6)土蔵通りの町並みと人々

2014-11-24 18:57:09 | 建築まち巡礼大学院 Research Tour

山町筋は重要伝統的建造物保存地区に指定され土蔵造りの町並みが残っています。

大変豪壮な町家です

   

  

市のホームページによると「高岡は近世から近代を通して米や綿などの集散地となり、越中における商業の中心地として繁栄を極めた」まちです。山町はその中心となった商人町です。市街地の約6割を焼き尽くした明治33年の大火の後県の条例(県令51号)に基づき繁華街での新築が防火構造に義務付けられたため、土蔵造りが選択されたそうです。

鋳物の柱があります

    

切妻2階建て、平入、出し桁の土蔵造りですが、レンガ造りの袖夘辰や下屋を支える鋳物の鉄柱など、新時代の新しい意匠が凝らされています。レンガ造りの袖夘辰は埼玉県の深谷の町にも多く残っています。山町の場合には屋根から突き出るような柱頭など、面白いデザインだと思います。蛇足ですがレンガの目地は左官屋さんが工夫した覆輪目地でした。

特徴的な袖夘辰

    

この町にも若い方たちの新しい動きがあります。山町筋の東の方にコンマコーヒースタンドがあります。

中も素敵です

   

若い建築家と、バリスタの奥様二人の店です。

他にも面白い店がいくつも生まれています。まちっこプロジェクトだけではなく、同時並行的に若い人たちが活動を始めたようです。

 

 


富山・高岡視察(7)鋳物のもたらした町並みと文化

2014-11-24 18:56:49 | 建築まち巡礼大学院 Research Tour

視察の最終日には鋳物師の作った町金屋町を見学しました。

写真

   

いわゆる千本格子の町並みです。

切妻2階、出桁、平入で千本格子と呼ばれる目の細かい連子格子が特徴的です。

写真

   

2階には袖夘辰があり、黒い貫きを見せた白い壁が印象的です。

たまたまそのうちの一軒にコーヒーの看板があったので入ってみましたが、中を見て私たちは

大変驚きました。大変豊かな暮らしの文化が千本格子の向こうにずっと続いているのです。

写真

  

 

   

万延元年創業の大寺商店の町家は築もそのころと推定されています。部屋の意匠にも驚きましたが、奥には素晴らしい庭とかなり格式の高い茶室があります。大変風雅な趣の数寄屋です。

茶室(4畳半)

茶室(2畳台目)

お話をしていただいたご主人は今もこんなに素晴らしい建築にお住まいです。

鋳物をデザインし、原型を自ら作るデザイナーです。

息子さんは新しい感性の鋳物創造を求める、この世界の若いリーダー。

金沢の町家に入った時にも感動しましたが、観光地された金沢と全く違った静かな町並みの中に

こんなに素晴らしい建築文化と、暮らしの文化があることに驚きました。

これは新幹線が開通すると大変な高岡ブームが起きるのではないか・・・そんなことを考えながら町を後にしました。

 


富山高岡視察(8)シェアハウスとシェアカフェ

2014-11-24 18:56:31 | 建築まち巡礼大学院 Research Tour

ほんまちの家を出発、山町筋、金屋町を散策するうちに、残りの時間が少なくなってきました。

早足でまちっこプロジェクトの目玉であるシェアハウスに向かいます。

外観

   

外観は元のそばやのまま。

この建物は鉄骨3階建てです。2、3階をシェアハウス(建築基準法上は集合住宅)にしているので建築基準法上の既存遡及をどのように処理し、どの程度の工事費をかけているのか、事業計画はどうなっているのかなど、詳細については研究室の皆さんが後日報告してくれると思います。

小物ギャラリー

    

2,3階のシェアハウスは男子禁制ですので見学はできません。私たちは1階のmerry smile cafeに入り昼ご飯を頂きました。

緩やかに仕切っています

    

それほど広い空間ではありませんが、中をうまく仕切って様々なアクティビティに対応しています。

一段上がったギャラリースペースを含めると5つの緩やかに区切られたエリアに分かれます。

食事や会合もしていますが、数人での講習会などにも使われています。

   

 

この場所はまちっこプロジェクトの発案者の一人である女性経営者の会社が運営しています。会社は自然素材を使った低燃費住宅を作るハウスメーカーです。カフェのインテリアもその会社の設計施工でしょうか。女性が好みそうなやさしい雰囲気です。会社のパンフレットも置いてあり、ショールームとしての役割も少しは果たしているようです。

   

この事業も企画やアイデア出しには多くの人が参画していますが、事業運営はやはり実績のある会社が責任を持って行っています。フロアマネージャーの方が話をしてくれましたが、その方もその会社に所属しています。富山銀行の融資もその会社に行われたものです。

 


富山・高岡視察APPENDIX 伏木のまち

2014-11-24 18:55:59 | 建築まち巡礼大学院 Research Tour

今回の視察旅行では、多くの人々からおはなしを伺い、また

たくさんの新しい試みに触れることができました。

鶴岡に帰る研究室のみんなと別れたあと、東京行きの飛行機まで少し時間があったので北前舟で栄えた

湊町伏木に向かいました。

しかし、いつもの癖で少々寄り道・・・・。

高岡美術館

   

   

まずは市立美術館。なぜか20年以上前、建設中に見に来ています。設計は内井昭蔵。

内井ワールドです

 

 

 

   

世田谷美術館の少し後の作品でしょう。随所に共通なところが感じられます。

しかし世田谷美術館のような「これでもか、という力の入り具合」あるいは

「内井さんというよりはF.L.ライトでないの?」とも言える「形」への強いこだわり具合は

あまり感じられません。

周囲の状況に配慮しつつ内井ワールドをさらりと表現しています。それでも十分内井さん的な雰囲気に満ちています。

このあとJR氷見線で伏木に向かうはずだったのですが、1時間以上運行がなしということがわかり、路面電車で伏木に向かいました。

万葉線では地元出身の志の輔が車内アナウンスを担当(もちろん当人はいません)。お国自慢も混じる案内の中で「さまのこの町並み」が紹介されました。そこで、ひとまず吉久で途中下車。

登録文化財でした

  

  

米商いで栄えた町だとのこと。「さまのこ」は千本格子のことです。町屋の形式としては金屋町と同様のように思えました。平入の切妻、千本格子、貫きを見せた二階の塗籠の壁、袖夘辰など共通の要素の多さを感じました。

ここから小矢部川を横断して伏木の町へ。橋からは工場の家並みの上に立山連峰がきれいに見えます。この辺りは産業都市としての顔を見せます。

橋の上から

  

伏木では急いで重文の勝興寺へ。

勝興寺

   

浄土真宗のお寺は本当に巨大です。浄土真宗は信徒集団の結束力の高さを背景に、時の権力と対峙することをも恐れません。日本の宗教の中では珍しい存在のように思えます。寺内町を築いた中世まで遡らなくとも、明治の廃仏毀釈の折にも敢然と戦ったのは真宗でした。

そういったことと、伽藍の大きさには何か関係があるのでしょうか?勝手な想像を巡らせながら北前船の開運で栄えた旧秋元家へ。

外観

  

なんといっても面白いのが、この望楼です。

望楼

  

ここから見たとの船の出入りを見たといいます。でもほんとは贅沢な男の隠れ家だったのではないか・・・再び根拠のない想像が頭のなかを巡ります。

 

 

 望楼から


庄内町町湯のギャラリーボックスの作品展示

2014-11-19 11:15:21 | 公共建築 Public architecture

町湯土縁ギャラリーのギャラリーボックスが地元の作家やオリジナルグッズの展示に使われています。作品の陳列でずいぶん雰囲気が変わりました。

新聞ラックも登場し、生活感も出てきました。

一日あたりではかなりのお客さんが来てくれていますがお昼頃は少しゆったり入れそうです。

 

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