大阪倶楽部を堪能した後、今橋ビルヂング。
(下写真)もともと消防署(1925築、RC造)で消防車がいた場所をお店にしているとのこと(この記事も「橋爪伸也ほか2015、2018『生きた建築大阪1』、『生きた建築大阪2』 株式会社140B」から適宜引用させていただきました)。軒などは歴史主義的、全体としてはアールデコ的な造形ということになるんでしょうが、様式でくくり切れない時代に来ていると感じます。もちろんモダニズム建築の自由さとは質の違う自由ですが、設計者がそれぞれ思い思いの工夫を凝らす時代だったのだと思います。
お店のダル・ポンピエーレというのはイタリア語で消防士のことだそうです。にくいネーミングです。
ここから北方面中之島方面に向かうと、土佐堀川に面して、三井住友銀行大阪本店ビル(下写真)。
大迫力。もともとは住友の本社です(19261期、19302期、SRC)。
今橋ビルと同時期ですが、こちらはイオニア式オーダーを持つ、古典主義建築。とはいえ、玄関周り以外は、シンプルなオフィスビルの表情(下写真)。外壁は高砂の竜山石(黄、凝灰岩)とイタリア産トラバーチンを混ぜた擬石ブロックだとのこと。装飾を排して規格化を進めています。モダニズム建築に通じる合理的な思考がうかがえます。
土佐堀川を渡って、中之島に入ります。まずはダイビル本館。ダイビルというのは大阪ビルということだそうです。住友と同時期の建築、1925築RC造です。こちらも玄関がすごい(下写真)。一部本社機能を持つ貸しビルとして建てられました。設計は渡辺節。担当者に若き日の村野藤吾がいたという話はよく聞きます。ロマネスクが基調となっているとの解説ですが、こうなると、歴史主義の○○様式といった捉え方は難しいように思います。足元廻りは素晴らしい彫刻作品です。
インカやマヤの影響はあるのでしょうか。
この建物は、中にも入れました。1、2階はレストラン街になっています。原形を尊重して建て直しているのです。ダイビルのビジネスモデルは「建てたビルは長期にわたって保有する」ということだそうです。サステイナブルですね。
天井は、復元でしょうか。飲食街、あるいは貸しビルとして生きた建物です。
外に出て、振り返ると驚きます(下写真)。こんなごっついのが上に載っていたんですね。
新しくできた中之島美術館を目指します。黒く抑制されたファサード、入ってみたくなりますね(下写真)。
(下写真)無料ゾーンが限定されており、この建築の見どころである積層するパサージュが堪能できなかったことが残念です。私の写真も不出来です。
建築・都市デザイン architecture/urban design
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