まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

ウルビノとデカルロ(2011視察10)

2011-10-10 12:11:02 | 海外巡礼 South Europe

9月7日朝ボローニャからウルビノに向かいます。

ウルビノは内陸の山岳都市ですが、まず海岸部にあるPesaroにユーロスターで向かいました。Pesaroの駅で日本人建築家中下さんにピックアップしてもらう予定です。

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上の写真の左側が中下さんです。イタリアの建築家資格を持っている数人の日本人の一人だそうで、ローマの大使間関係の設計も多く手がけられています。

ウルビノはイタリア中部にあるいわゆる山岳都市のひとつです。イタリア山岳都市というのはいつごろからでしょうか、建築や都市を勉強するものにとって、近代機能主義ではつくりきれないバナキュラーな都市造形のある種の理想像のような地位を占めています。

都市計画の近代主義はAlexanderやJacobsによってファンダメンタルに批判されます。一人の建築家やプランナー、あるいは専門家の描く「絵」を短期的に実行するというそもそもの方法が批判されてしまったわけですから、大変な事態です。この状況を打開する一つの方法として、多くの人びとの集団的な行為の積み重ねによって時間をかけてつくられてきた都市に学ぶという姿勢があったのではないかと思います。そういった意味でイタリア山岳都市の美しい姿は次の時代の都市計画の方法を模索する人たちに十分魅力的であったのではないでしょうか。

私もだいぶ前ですが、シエナ、ペルージア、アッシジなどを路線バスでめぐりました。うるさい小(中?)学生の集団と一緒になりバスの中がイタリア語で充満し閉口したことを思い出します。

ただし今回の訪問では山岳都市ウルビノというよりも都市計画の近代主義に大して、ジャンカルロデカルロが建築の実践を通してオールターナティヴを提示したまちとしてウルビノを位置づけています。デカルロが1960年代に、コルビジェたちの主導するCIAMの機能主義、近代主義都市計画に対抗するような形で、既存の都市の文脈をいかしたウルビノの再生計画を提示しています。この実践を見ることが今回の視察の目的です。

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ウルビノは建築家ジャンカルロデカルノの功績に対し大変な敬意を払っています。たまたま見つけたのですが通りに建築家の名前が使われています。また市の紹介パンフレットにもアルベルティやラファエロなどとともに、功績が掲載されています。