まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

前橋、蚕と広瀬川美術館

2010-06-26 22:34:05 | 建築まち巡礼関東 Kanto

用があって前橋に行ったついでに敷島公園の蚕種資料館などを見学しました。

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明治末期に建てられた擬洋風の建物です。まちなかキネマのもととなった松文産業鶴岡工場の古い建物にもたくさんの糸枠が保管されていました。糸枠は蚕から取り出した糸を最初にまいておくものです。

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この糸枠を照明器具に使えないかなどと話していましたが、なんとこの建物の前の松林にすでにありました。皆さん同じようなことを考えるようです。

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蚕種資料館のすぐ近くに萩原朔太郎の生家の一部が移築されていました。

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残念ながら、ほとんど展示品はありません。午後に用事があったので早々にここを出て、どうしても見たかった広瀬川美術館に立ち寄りました。

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前には広瀬側の豊かな水が流れています。

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すぐ近くにアーケード商店街もありますが、日曜の昼というのに、少々寂しい風景でした。

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しかし、広瀬川美術館は思った以上に密実な空間でした。階段室が大変狭いのですが、その分部屋が広く感じられます。ちょうど川が北側になるのでそちらに向けて大きな開口を取っています。広すぎず大変よいスケールです。

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全体は小振りなのに、一つ一つの空間が充実しています。壁の小さな棚や開口の位置など緻密に計算されています。アールトの自邸(古いほうの事務所)の食堂や居間を思い出しました。人の存在に実にきちんと対応した空間なのです。図面を手に入れて構成の巧みさをレヴューしたいと思っています。これが昭和22年築ということですから、資材の不足など設計の巧みさで十分カバーできるという見本といえるでしょう。

 

 

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani