永子の窓

趣味の世界

蜻蛉日記を読んできて(136)

2016年07月19日 | Weblog
蜻蛉日記  中卷  (136) 2016.7.19

「さながら明け暮れて廿よ日になりにたり。明くれば起き暮るれば臥すをことにてあるぞ、いとあやしくおぼゆれど、今朝もいかがはせん。今朝も見出したれば、屋の上の霜いと白し。童べ、昨夜の姿ながら、『霜朽ちまじなはん』とてさわぐもいとあはれなり。『あな寒。雪はづかしき霜かな』と、口おほひしつつ、かかる身を頼むべかめる人どもの、うち聞こえごち、たあだならずなんおぼえける。
神無月も、せちに別れ惜しみつつ過ぎぬ。」

◆◆そんな状態のまま明け暮れて二十日ほどになりました。夜が明ければ起き、日が暮れれば寝るという、ただこれだけを仕事としている毎日は、無意味な暮らしだと思うけれど、今朝もこんな状態でどうしたものかと思う。今朝も外に目を向けると屋根の上の霜が真っ白です。幼い召使たちが昨夜の寝巻き姿のままで、「霜焼けのおまじないをしよう」言って大騒ぎしているのも面白くいじらしい。「ああ、寒い。雪も顔負けの霜だこと」と、口を袖で被いながら言っているのを聞くと、こんな私を頼みとしている召使いたちにじっとしていられない気がするのでした。
十月も日の経つのを心に惜しみつついるうちに、過ぎてしまいました。◆◆