落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

恋愛寫眞

2003年12月03日 | movie
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先日DVDが発売になり、レンタルも始まったと云うことで、やっと観ました。
実は公開時も観たかったんですが仕事でてんやわんやしてるウチに終わっちゃってたんですね。3週間くらいしか公開してなかった。

恋愛寫眞 Collage of our Life
売れないカメラマン誠人(松田龍平)はある日別れた恋人(広末涼子)から一通の手紙を受取る。消印はニューヨーク、個展への招待だった。その後彼女が現地で亡くなったと云う噂を聞いた誠人は、彼女の無事を確かめるため単身NYへ旅立つ。

この誠人と静流と云うカップルなんですが、写真を通じて親しくなり、写真のために別れたふたりなんですね。よくある話です。男が女の運や才能に嫉妬してダメになる。逆も然り。若いですね。青いですね。すっぱいですね(くどい)。
前に日記にも書きましたが、ぐりは美術系大学の出身でこの手の話は目に見える限り至るところに腐るほど転がってると云う環境にいたので、ちょっと郷愁を感じるシチュエーションです。写真もやってたしね。しかも始めた頃は当時の彼氏に教えてもらったりとかね。フフフフフ。
年をとれば、“才能”や“運”なんてすぐ傍にいくらでもありそうなのにどこか遠くて、まぶしくて甘くて苦くて、あやふやな、形のない、幻のような光のような、そんなものに訳もなく振り回された頃が、ただ「若かったんだなぁ」で済んじゃうんだけどね。
若いって不便です。

映画はですね、えーと面白かったです。傑作かと云うと違いますね。秀作でもないな。あえて云うなら平均点。よくできましたともっとがんばりましょうの中間くらい。
ストーリーそのものは途中までは結構良いです。終始誠人の目線───優しくて誠実ではあるけれど、どちらかと云うと鈍い、不器用でアタマのめぐりの良くない、ごくごく普通の男の子───から見たぱっとしないキャンパスライフ、謎の美女静流、ニューヨークの街、と場面転換のリズムは流石に堤監督だなと思わせるナチュラルさです。ぐりもフツーに「面白いじゃん」と思ってました。ただし途中までは。
ではナニが気に入らないのか?
パンチがない。寿司で云うとワサビ抜きみたいなカンジですね。ワサビ抜きのお寿司がお好みな方も勿論世間にはいらっしゃるでしょう。しかしぐりは物足りない。激しく物足りない。そんなんで良いのか堤監督。堤監督だからこそワサビ抜きじゃいかんのじゃないでしょーか。ぐりはいかんと思うよ。

どこが「ワサビ抜き」かっつーと(以降はネタバレなので御覧になってない方はお読みにならないことをオススメします)そりゃもうオチですね。
全ての元凶をアヤ(小池栄子)にひっかぶせるっちゅーのはやっぱ強引ッスよ。それに乱暴だ。安易だ。台無しです。がっかりです。堤監督。
だってもっとマトモなオチなんか他にいくらでもあるじゃないですか。例えば犯人をカシアスかその関係者にしても良い。大体カシアスはマリファナのディーラーって設定なんだから、日本映画的には彼を悪役にしたって無理は無いハズ。手紙の偽造なんかの詐欺行為はアヤでも構わないと思う。
何より主人公の心情の揺さぶり方がこれじゃ甘過ぎます。映画的カタストロフとしては全然中途半端です。ぐりは誠人がもっともっとどうしようもなく深く傷ついて、そこから立ち上がってくれた方が、彼の男性として、人間としての成長物語としてきちんとした広がりのあるお話になった筈だと思います。
最後の最後に冒頭までお話がめぐって来る、と云う仕掛けそのものが個人的に好きなので、それだけにその「めぐり幅」の甘さと云うかイージーさが大変不満でした。

(ネタバレ以上)

あとはあのミョーな視覚効果、CGは全然要らなかったです。蛇足ですな。某大御所氏には申し訳ないがー(どーせ実際につくってるのは大御所じゃないしな)。
広末嬢はあいかわらず可愛いですね。良い女優さんだと思います。ただこの物語が誠人=男性目線に絞った描写なので、なんだか美化され過ぎてるのは不自然には感じました。このままいっちゃうと某小説家の奥さんになってパリ在住の元アイドル女優みたいに(まわりくどすぎ)、無意味に神格化・伝説化されちゃいそうな役柄ではありました。よく考えてみればこの静流と云う女性はなんつうかめちゃめちゃ可哀想なキャラクターですね。彼女に同情するのはどーもフェアじゃないような気もするけど、でもやっぱり救いが無さ過ぎです。そこもぐりは不満だ。ぷんぷん。
松田氏はお芝居上手くなりましたね。そしておとーさんソックリだ。彼の場合は広末さんと逆で、これまで松田クン個人のキャラクターに頼るような役柄が多かったので(カリスマ性、狂気、美貌・・・)、どこまでもニュートラルな誠人と云う男の子を器用に演じることで「ちゃんと演技出来るんだぞー」と云う、スキルは他の作品以上に発揮されてたと思います。英語の台詞がホニャララなのはあれはワザとですよね(笑)?誠人の“普段からやたら英語で喋る人”と云う設定が超どーでもいい。その設定いらんやろ、みたいな。ハズイだけやん。どーでもいいと云えば松田クン、美脚です。ぐりはそこに目を奪われました(笑)。

監督がこの作品に関して「これを観て胸がキュッとなった人は青春の内側にいる」と云っていましたが、キュッとしましたよ。ええ一応。おおそうかぐりも内側なんだーなんてホッとする自分がなんだかちょっとイヤ。
ぐりが観たレンタル版じゃなくてセル版DVDは2枚組で特典映像が200分も収録されてるそうな。200分かよ。本編よりなげーじゃん。おいおいおいおい・・・。
要するにアイドル映画なの?いいのか堤監督よ・・・。いいんだろーな・・・。うーん。

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