落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

告白耐久戦

2013年05月19日 | movie
『私は告白する』
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聖マリー教会の神父ローガン(モンゴメリー・クリフト)は、深夜に帰って来た職員のケラー(O・E・ハッセ)から、強盗殺人の罪を告白される。ケラーが法衣を着て変装していたことと、ローガンにアリバイがなかったことから、警察はローガンを犯人と見て捜査を進めるのだが・・・。
1953年のヒッチコック作品。

舞台がケベックで、台詞にフランス語やイタリア語やドイツ語が混ざってる、ちょっとエキゾチックな作品。フランスの戯曲だった原作の雰囲気を活かそうとした演出だと思うんだけど、正直ストーリーとはあんまり関係ないですね。おそらくは公開当時の社会背景を取り込むことで、堅苦しい宗教的題材をちょっとでもやわらかくエンターテインメント映画にしようとしたんじゃないかと思うんだけどどうでしょう。あとアメリカ人のヨーロッパ人に対する妙な偏見描写もちょっとしつこい気がします。

それはそれとして、法廷ドラマのはしりとしてもなかなかおもしろかった。ローガンは聖職者の職業倫理から、決して告解の事実を他言することができない。むしろ信徒の罪をこそ被ることでその職務を全うすることをも受け入れようとする。そこに最後まで揺るぎはない。
逆にいえば、聖職者以外の登場人物たちの人間性と、ローガンの精神力との戦いがこのストーリーの軸になっている。
なかなか折れない聖職者がいつ挫折するのか、挫折するべきか否か、というシンプルなその一点だけで最後まで引っ張っていくサスペンスって、たぶんアメリカだからこそつくれるんじゃないかなあ。少なくとも日本じゃ無理だね。ヨーロッパもどうかなあ。
アメリカのことはよくわかんないけど、この映画を観る限りでは、教会がアメリカ人にとっていかに精神的な大きな拠り所かというところがひしひしと伝わる。

ぐりはヒッチコック作品でも『裏窓』や『ハリーの災難』みたいな、ちょっとコメディー要素の強い作品が好きで、小さい頃に観たこの2本の印象がすごく強いんだけど、実はこのタイプの作品てあんまり多くないみたいですね。いや『サイコ』や『鳥』も好きだけどさ。
けど子どものときの刷り込みってコワイもんで、ヒッチコック観るたびに「どこで笑いがくるんやろ」と無意識に期待してしまうワタシ。絶対なんか間違ってるよねえ。
すんまへん。こないだ観た『バルカン超特急』もまあまあ笑えたもんですからつい・・・。

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