『アメリカばんざい』
2008年3月までに4000人を超えたアメリカ軍のイラク戦争戦死者。
入隊すれば奨学金がもらえて職業訓練が受けられ、たとえ怪我をしても補償があり、除隊後も年金がもらえると宣伝されるアメリカ軍だけど、実情はそんなに甘いものじゃない。
ベトナム戦争以後の帰還兵のPTSD発症率は驚異的な数字だが、彼らは国からなんのケアも受けていない。奨学金ももらえるのは申請者のうち4割。恩給だって月にせいぜい118ドル。除隊しても仕事がないから、アメリカの路上生活者の3割が帰還兵というていたらく。
しかしぐりが驚いたのはこの映画がなんと邦画とゆー事実。なんでだ?マイケル・ムーアとか喜んでやりそうなネタなのにねえ。
インタビューに答えてるのは全員アメリカ人で大半が帰還兵やその家族なんだけど、外国人である日本人スタッフによくぞここまで赤裸々に語ってくれたもんだと思う。いや、外国人だからなのだろうか?
それでまたみんなよく喋る。みんなすごく弁が立つ。というか素直。それぞれいいたいことがいっぱいあるんだろうけど、にしても論点が明確で聞いてて話が非常にわかりやすい。国は国民に嘘をついてる、戦争は正義なんかじゃない、自分たちは殺人なんかやりたくなかった、目の前で友だちを亡くしたり、罪もない市民を殺したり、そんな悪夢が常に自分たちを苦しめている、もうこれ以上誰かにそんな思いはさせたくない・・・。
そんな酷い経験をした帰還兵はどうなるか。
怪我の後遺症や悪夢から逃れるためにアルコールに溺れたりドラッグに奔ったり、完全に精神のバランスを崩したりして社会から転落してしまう。元が貧困層出身だから転落するのもあっという間である。行く先は路上生活あるのみ。捨て身で助けてくれる家族や友人がいないかぎり、彼らを待っているのは死しかない。国にとってもう戦場に出て行かない帰還兵など使い捨てのゴミでしかない。
これでもアメリカは自由と平等の国だなどといえるのか。そんなものは完璧な嘘である。欺瞞である。こんなことがまかり通る国には人権なんかない。あるなんていうことが間違っている。
てゆーかさ、戦争やめりゃあそれでいいんじゃないの?国民騙してまで戦争やんなきゃいけない国って、やっぱヘンですよ。
関連レビュー:
『告発のとき』
『華氏911』
『ジャーヘッド』
『ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白』 アンソニー・スオフォード著
2008年3月までに4000人を超えたアメリカ軍のイラク戦争戦死者。
入隊すれば奨学金がもらえて職業訓練が受けられ、たとえ怪我をしても補償があり、除隊後も年金がもらえると宣伝されるアメリカ軍だけど、実情はそんなに甘いものじゃない。
ベトナム戦争以後の帰還兵のPTSD発症率は驚異的な数字だが、彼らは国からなんのケアも受けていない。奨学金ももらえるのは申請者のうち4割。恩給だって月にせいぜい118ドル。除隊しても仕事がないから、アメリカの路上生活者の3割が帰還兵というていたらく。
しかしぐりが驚いたのはこの映画がなんと邦画とゆー事実。なんでだ?マイケル・ムーアとか喜んでやりそうなネタなのにねえ。
インタビューに答えてるのは全員アメリカ人で大半が帰還兵やその家族なんだけど、外国人である日本人スタッフによくぞここまで赤裸々に語ってくれたもんだと思う。いや、外国人だからなのだろうか?
それでまたみんなよく喋る。みんなすごく弁が立つ。というか素直。それぞれいいたいことがいっぱいあるんだろうけど、にしても論点が明確で聞いてて話が非常にわかりやすい。国は国民に嘘をついてる、戦争は正義なんかじゃない、自分たちは殺人なんかやりたくなかった、目の前で友だちを亡くしたり、罪もない市民を殺したり、そんな悪夢が常に自分たちを苦しめている、もうこれ以上誰かにそんな思いはさせたくない・・・。
そんな酷い経験をした帰還兵はどうなるか。
怪我の後遺症や悪夢から逃れるためにアルコールに溺れたりドラッグに奔ったり、完全に精神のバランスを崩したりして社会から転落してしまう。元が貧困層出身だから転落するのもあっという間である。行く先は路上生活あるのみ。捨て身で助けてくれる家族や友人がいないかぎり、彼らを待っているのは死しかない。国にとってもう戦場に出て行かない帰還兵など使い捨てのゴミでしかない。
これでもアメリカは自由と平等の国だなどといえるのか。そんなものは完璧な嘘である。欺瞞である。こんなことがまかり通る国には人権なんかない。あるなんていうことが間違っている。
てゆーかさ、戦争やめりゃあそれでいいんじゃないの?国民騙してまで戦争やんなきゃいけない国って、やっぱヘンですよ。
関連レビュー:
『告発のとき』
『華氏911』
『ジャーヘッド』
『ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白』 アンソニー・スオフォード著
時々、「私は帰還兵です。食べるものを買うお金を下さい」という札(ダンボール端切れにマジックで書いてある)を持っている人がいます。
今まで、中には騙っている人もいるんでは?と思っていたのですが、意外に全員本物の帰還兵なのかもしれません。
アメリカ人は基本的にとても正直な人たちだと思います。機会さえ適切に用意されていれば実に率直に思ったことを話します。
ただ、無意識と意識の壁がもの凄く分厚くて、つまり、彼らの中で言語化されない部分は「存在しないもの」になっているため、彼らのそういう部分を引き出そうとすれば、それはとても困難な作業になると思います。
>今まで、中には騙っている人もいるんでは?と思っていたのですが、意外に全員本物の帰還兵なのかもしれません。
ホントかもしれません。すごい多いみたいですから。
日本にもたまにいるんだけど、アレは嘘だろーなー(って今もいるかな?最近は見ないか?さすがに)
>アメリカ人は基本的にとても正直な人たちだと思います。機会さえ適切に用意されていれば実に率直に思ったことを話します。
>ただ、無意識と意識の壁がもの凄く分厚くて、つまり、彼らの中で言語化されない部分は「存在しないもの」になっているため、彼らのそういう部分を引き出そうとすれば、それはとても困難な作業になると思います。
なるほど。
こういうドキュメンタリー観てていつも思うんだけど、インタビューされてるのがアメリカ人だと「こういうことがいいたいんだけどいえない、察してほしい」みたいなことがあんまりないんですよね。
いいたいことを自分ですごくよく把握してる。
日本人だと「こういうことがいいたいけどいえないんだろうな」的な空気が伝わってきて、それが味になってるときがよくあります。一種、心の中に監禁されてるような部分を持ってるというか。
国民性なのかな?