『アベノミクスによろしく』 明石順平著
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うちは新聞をとっていない。テレビも置いてないので、基本的にみる習慣がない。
ニュースは全部インターネットで読んでいる。より深い情報が必要なときは、店頭で新聞か雑誌か本を買って読むなり、セミナーや講演会にいって専門家の意見をきく。でも正直なところ、経済学の分野にはこの歳になってもさっぱり疎い。
とはいえアベノミクスがだいたい何をやらかしたかくらいはうっすらわかる。確かに株価は上がったし、どこでも人手不足で仕事も増えている。だがそれだけで「景気が良くなった」といってしまうのは絶対に違うということだけははっきりわかっている。
物価も税金も社会保険も健康保険も上がったのに、平均所得はぜんぜん上がってない。というか下がってる。失業率は下がったかもしれないけど非正規雇用がふえてるだけ。エンゲル係数は上昇しっぱなし、大学の授業料は値上がり、奨学金を借りる学生の数はうなぎのぼり、子どもの貧困はどんどん進行している。
こんな状況のどこをどうすれば「景気が良くなっている」などといえるのか。
この本では、経済にくわしいモノシリンが太郎にアベノミクスの実態を話して聞かせるという対話形式になっている。大幅な金融緩和で安倍政権が何をしようとしてどう失敗し、その失策をいかに誤魔化したかを、てんこもりのグラフを用いて説明してくれる。章ごとに冒頭にコミック「ブラックジャックによろしく」のページのセリフを差し替えたグラフィックで要点を示し、章末には簡潔なまとめもついている。とてもわかりやすい。
たとえば、よくいわれるアベノミクスの三本の矢は「金融緩和=お金を増やす」「財政政策=公共投資」「規制緩和=企業の経済活動を活性化」だが、ここまではフツーに考えれば理解できても、問題はなぜそれがこうも見事に大失敗し出口なしのインフィニティ状態にまでハマったという理屈が、新聞もロクに読まない輩にはイマイチすかっとはわからない。
まあ乱暴にいえば三本の矢そのものの考え方は間違ってなかったんだろうけど、その具体策が全部裏目に出た、やり方が間違ってたということに尽きる。
お金をじゃんじゃん刷れば市場にお金がまわるだろうと思ったのにさっぱりまわらなかった。投資をしても利益は全部企業が懐に入れただけで所得に反映されなかった。規制緩和をしたら一般消費者・労働者ばっかりわりをくう仕組みになってしまった。
つうか、なんでそうなるかはわかるよね。いまのこの状況みればさ。日本の企業の体質がそもそもそういう政策向きになってなかったんだよね。確かに企業収益は増えて有効求人倍率もあがった(これはアベノミクスの成果じゃない。団塊世代が定年退職にさしかかった=労働人口の大幅下落がスタートした民主党政権時代からあがり始めている)。けどみんな生活は苦しくなってる。子どもや高齢者や少数者といった弱い人にばかりしわよせがいっている。
なのに、その事実に目を背けてる人がこんなにいっぱいいるのはどうしてなんだろう。クサいモノにふたでもしてるつもりなんだろうけど、己れもじゅうぶんクサいってことにどうしてここまで気持ちよく目がつぶれるんだろう。
そこは本を読んだって、専門家の話を聞いたって、やっぱりちょっとわからない。
なぜなんだろう。
もっとハラたつのは、これだけ見事にやらかしてんのに、それをまた信じられないような方法で誤魔化して平気で国民を騙してるってことだよね。
顕著なのは2016年に内閣府がGDP(国内総生産)の算出方法を変えただけでなく、それに伴って1994年以降のGDPを全部改定したこと。これによって、2015年のGDPが旧基準では過去20年間のピーク時の1997年より20兆円下がった計算になるのに対し、新基準では1兆円しか下がってないことになっている。そんなわけあるか。
新基準では研究開発費など新たな分野から算出された費用がGDPに算入されることになったというのだが、いったい何をどうやってこんなに派手に金額が変わるのかがはっきりしない。そんな数字がいったいどんな事実を表せるというのか。政権がやりたい放題やってうまくいかなかった大失敗を粉飾するためだけの数字ではないのか。
読んでてアタマにくる話ばかりではあるけど、章ごとに挟まれる「ブラックジャックによろしく」のページがおもしろくて、つい笑いながら読めてしまう本でもあります。
読みつけない単語が多くて読むのに時間がかかって、途中で他の本に浮気しながら読んでしまったので、あとでもう一度通しでおさらいしようと思います。
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うちは新聞をとっていない。テレビも置いてないので、基本的にみる習慣がない。
ニュースは全部インターネットで読んでいる。より深い情報が必要なときは、店頭で新聞か雑誌か本を買って読むなり、セミナーや講演会にいって専門家の意見をきく。でも正直なところ、経済学の分野にはこの歳になってもさっぱり疎い。
とはいえアベノミクスがだいたい何をやらかしたかくらいはうっすらわかる。確かに株価は上がったし、どこでも人手不足で仕事も増えている。だがそれだけで「景気が良くなった」といってしまうのは絶対に違うということだけははっきりわかっている。
物価も税金も社会保険も健康保険も上がったのに、平均所得はぜんぜん上がってない。というか下がってる。失業率は下がったかもしれないけど非正規雇用がふえてるだけ。エンゲル係数は上昇しっぱなし、大学の授業料は値上がり、奨学金を借りる学生の数はうなぎのぼり、子どもの貧困はどんどん進行している。
こんな状況のどこをどうすれば「景気が良くなっている」などといえるのか。
この本では、経済にくわしいモノシリンが太郎にアベノミクスの実態を話して聞かせるという対話形式になっている。大幅な金融緩和で安倍政権が何をしようとしてどう失敗し、その失策をいかに誤魔化したかを、てんこもりのグラフを用いて説明してくれる。章ごとに冒頭にコミック「ブラックジャックによろしく」のページのセリフを差し替えたグラフィックで要点を示し、章末には簡潔なまとめもついている。とてもわかりやすい。
たとえば、よくいわれるアベノミクスの三本の矢は「金融緩和=お金を増やす」「財政政策=公共投資」「規制緩和=企業の経済活動を活性化」だが、ここまではフツーに考えれば理解できても、問題はなぜそれがこうも見事に大失敗し出口なしのインフィニティ状態にまでハマったという理屈が、新聞もロクに読まない輩にはイマイチすかっとはわからない。
まあ乱暴にいえば三本の矢そのものの考え方は間違ってなかったんだろうけど、その具体策が全部裏目に出た、やり方が間違ってたということに尽きる。
お金をじゃんじゃん刷れば市場にお金がまわるだろうと思ったのにさっぱりまわらなかった。投資をしても利益は全部企業が懐に入れただけで所得に反映されなかった。規制緩和をしたら一般消費者・労働者ばっかりわりをくう仕組みになってしまった。
つうか、なんでそうなるかはわかるよね。いまのこの状況みればさ。日本の企業の体質がそもそもそういう政策向きになってなかったんだよね。確かに企業収益は増えて有効求人倍率もあがった(これはアベノミクスの成果じゃない。団塊世代が定年退職にさしかかった=労働人口の大幅下落がスタートした民主党政権時代からあがり始めている)。けどみんな生活は苦しくなってる。子どもや高齢者や少数者といった弱い人にばかりしわよせがいっている。
なのに、その事実に目を背けてる人がこんなにいっぱいいるのはどうしてなんだろう。クサいモノにふたでもしてるつもりなんだろうけど、己れもじゅうぶんクサいってことにどうしてここまで気持ちよく目がつぶれるんだろう。
そこは本を読んだって、専門家の話を聞いたって、やっぱりちょっとわからない。
なぜなんだろう。
もっとハラたつのは、これだけ見事にやらかしてんのに、それをまた信じられないような方法で誤魔化して平気で国民を騙してるってことだよね。
顕著なのは2016年に内閣府がGDP(国内総生産)の算出方法を変えただけでなく、それに伴って1994年以降のGDPを全部改定したこと。これによって、2015年のGDPが旧基準では過去20年間のピーク時の1997年より20兆円下がった計算になるのに対し、新基準では1兆円しか下がってないことになっている。そんなわけあるか。
新基準では研究開発費など新たな分野から算出された費用がGDPに算入されることになったというのだが、いったい何をどうやってこんなに派手に金額が変わるのかがはっきりしない。そんな数字がいったいどんな事実を表せるというのか。政権がやりたい放題やってうまくいかなかった大失敗を粉飾するためだけの数字ではないのか。
読んでてアタマにくる話ばかりではあるけど、章ごとに挟まれる「ブラックジャックによろしく」のページがおもしろくて、つい笑いながら読めてしまう本でもあります。
読みつけない単語が多くて読むのに時間がかかって、途中で他の本に浮気しながら読んでしまったので、あとでもう一度通しでおさらいしようと思います。