『紅の豚』
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説明無用の宮崎駿1992年の傑作。
現在公開中の『風立ちぬ』と同じく模型専門誌「モデルグラフィックス」掲載の宮崎氏本人の連載が原作で、彼本人の飛行機への憧れが余すところなく表現されている。
観ていて心から気持ちよく、楽しく、心が温かくなる、正真正銘のファンタジーだ。映像はとにかく明るく美しく、どこまでも豊かな奥行きと広がりに満ちていて、そしてキャラクターの全員が善良で正直で、世の中に悪いことはなにひとつ起きていない。台詞では「仕事がない」「世界大恐慌だ」という社会背景を匂わせてはいるけど、それが物語の世界観に直接的な影響を与えるわけではない。主人公はあくまでもポルコ(森山周一郎)だが、彼を支える飛行艇設計技師のフィオ(岡村明美)や工場の職人たちがすべて市井の女性たちであったり、ジーナ(加藤登紀子)にはどんな悪党も勝てない設定になっていたり、作品の中の人物構成のバランスもいい。
これはぐり個人の見解なのだが、もしかしたら、宮崎氏本人が純粋に好きで表現したかったことがいちばん素直に描かれているのが、この映画のような気がする。作家としてとか、ビジネスとしてとか、社会的にとか、教育的にとか倫理的にとか、そういう理屈がほとんど前面に出てこない。だから観ていてとても気楽だ。なんだか頭がスッキリしてしまうくらい。
ぐりは飛行機にはぜんぜん興味がないけど、それでも、宮崎映画に常に登場する飛翔感の心地よさはほんとうに素晴らしいと思う。こんなふうに空が飛べたらどんなにいいだろうと夢見て心から願い、それをこれほどまでの芸術作品に表現できるなら、それはほとんど実際に空を飛んでいるのと同じではないかとも思う。
でも、宮崎さんは飛行機乗りではないし、自分でほんとうに空を飛べるわけではない。
宮崎さんは子どもに夢を、社会に平和と自由をと願って、身を削り魂を削って50年間アニメーションをつくって来られた。だがアニメや映画でほんとうに人を幸せにできるわけじゃないし、社会が変わるわけじゃない。大切なのは、オーディエンスが彼の作品を見た感動を心から大切に思い、それを忘れないでいられるかどうかなのだ。
すごく鮮明に覚えているのは、29年前、初めて『風の谷のナウシカ』を観たとき、「誰もがこの映画を観て、感じた気持ちを心から信じれば、世の中から戦争なんかなくなるんじゃないか」と強烈に感じたことだった。
宮崎さんが今まで、ひたすら自分を追いつめていくかのように作品を磨き続けてこられたのは、いつか、自らの思いが、ほんとうに世の中を動かしてくれるんじゃないかという気持ちを、どこかにもち続けていられたからじゃないかと思う。
勝手に思ってるだけだけど。
子どもに夢を、社会に平和と自由をと願い、身を削り魂を削って作品を世に送り出す芸術家は宮崎さんだけじゃない。多くの芸術家が同じことを願い、望み、信じた。
宮崎さんの映画は世界中に愛されてきたけれど、それらが果たしてどれほど世の中を動かしたかはまだわからない。
もう72歳だから引退するという宮崎さんだが、長編アニメーションはもう直接的にはつくらないとしても、ご本人本来の夢を決して諦めてほしくないと思う。
子どもに夢を、社会に平和と自由を。その願いはあまりに遠く、世界の未来にはあまりに重い課題が果てしなく積み上げられている。
われわれのゆくてに、ゴールを示す灯火を絶やさないためにも、宮崎さんには宮崎さんでいつづけてほしいと思う。
LE TEMPS DES CERISES(さくらんぼの実る頃) 作詞:J=B.クレマン 作曲:A.ルナール1868年発表
Quand nous chanterons le temps des cerises
Et gai rossignol et merle moqueur
Seront tous en fête
Les belles auront la folie en tête
Et les amoureux du soleil au cœur
Quand nous chanterons le temps des cerises
Sifflera bien mieux le merle moqueur
Mais il est bien court le temps des cerises
Où l'on s'en va deux cueillir en rêvant
Des pendants d'oreilles
Cerises d'amour aux robes pareilles
Tombant sous la feuille en gouttes de sang
Mais il est bien court le temps des cerises
Pendants de corail qu'on cueille en rêvant
Quand vous en serez au temps des cerises
Si vous avez peur des chagrins d'amour
Evitez les belles
Moi qui ne crains pas les peines cruelles
Je ne vivrai pas sans souffrir un jour
Quand vous en serez au temps des cerises
Vous aurez aussi des peines d'amour
J'aimerai toujours le temps des cerises
C'est de ce temps-là que je garde au cœur
Une plaie ouverte
Et Dame Fortune, en m'étant offerte
Ne saura jamais calmer ma douleur
J'aimerai toujours le temps des cerises
Et le souvenir que je garde au cœur
サクランボの季節を歌い
陽気なナイチンゲールやマネシツグミが浮かれる頃
乙女たちは不思議な思いを抱き
恋人たちは心に太陽を抱くだろう
サクランボの季節を歌い
マネシツグミがたくみにさえずる頃
サクランボの季節は短い
ふたり夢見ながら
イヤリングを摘みに行く時期は
揃いのドレスをまとった愛のサクランボ
血のしずくとなって葉の下に落ちる
サクランボの季節は短い
夢見ながら摘むサンゴのイヤリング
サクランボの季節になって
失恋の悲しみを恐れるのなら
乙女たちを避けよう
心の傷を恐れない私は
悩み苦しまずに生きられない
サクランボの季節になると
恋でつらい思いをするだろう
私はサクランボの季節を愛する
あの時以来、心に傷を秘めている
運命の女神にも
この苦しみを和らげることはできない
私はサクランボの季節と
心に秘めた思い出を愛する
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説明無用の宮崎駿1992年の傑作。
現在公開中の『風立ちぬ』と同じく模型専門誌「モデルグラフィックス」掲載の宮崎氏本人の連載が原作で、彼本人の飛行機への憧れが余すところなく表現されている。
観ていて心から気持ちよく、楽しく、心が温かくなる、正真正銘のファンタジーだ。映像はとにかく明るく美しく、どこまでも豊かな奥行きと広がりに満ちていて、そしてキャラクターの全員が善良で正直で、世の中に悪いことはなにひとつ起きていない。台詞では「仕事がない」「世界大恐慌だ」という社会背景を匂わせてはいるけど、それが物語の世界観に直接的な影響を与えるわけではない。主人公はあくまでもポルコ(森山周一郎)だが、彼を支える飛行艇設計技師のフィオ(岡村明美)や工場の職人たちがすべて市井の女性たちであったり、ジーナ(加藤登紀子)にはどんな悪党も勝てない設定になっていたり、作品の中の人物構成のバランスもいい。
これはぐり個人の見解なのだが、もしかしたら、宮崎氏本人が純粋に好きで表現したかったことがいちばん素直に描かれているのが、この映画のような気がする。作家としてとか、ビジネスとしてとか、社会的にとか、教育的にとか倫理的にとか、そういう理屈がほとんど前面に出てこない。だから観ていてとても気楽だ。なんだか頭がスッキリしてしまうくらい。
ぐりは飛行機にはぜんぜん興味がないけど、それでも、宮崎映画に常に登場する飛翔感の心地よさはほんとうに素晴らしいと思う。こんなふうに空が飛べたらどんなにいいだろうと夢見て心から願い、それをこれほどまでの芸術作品に表現できるなら、それはほとんど実際に空を飛んでいるのと同じではないかとも思う。
でも、宮崎さんは飛行機乗りではないし、自分でほんとうに空を飛べるわけではない。
宮崎さんは子どもに夢を、社会に平和と自由をと願って、身を削り魂を削って50年間アニメーションをつくって来られた。だがアニメや映画でほんとうに人を幸せにできるわけじゃないし、社会が変わるわけじゃない。大切なのは、オーディエンスが彼の作品を見た感動を心から大切に思い、それを忘れないでいられるかどうかなのだ。
すごく鮮明に覚えているのは、29年前、初めて『風の谷のナウシカ』を観たとき、「誰もがこの映画を観て、感じた気持ちを心から信じれば、世の中から戦争なんかなくなるんじゃないか」と強烈に感じたことだった。
宮崎さんが今まで、ひたすら自分を追いつめていくかのように作品を磨き続けてこられたのは、いつか、自らの思いが、ほんとうに世の中を動かしてくれるんじゃないかという気持ちを、どこかにもち続けていられたからじゃないかと思う。
勝手に思ってるだけだけど。
子どもに夢を、社会に平和と自由をと願い、身を削り魂を削って作品を世に送り出す芸術家は宮崎さんだけじゃない。多くの芸術家が同じことを願い、望み、信じた。
宮崎さんの映画は世界中に愛されてきたけれど、それらが果たしてどれほど世の中を動かしたかはまだわからない。
もう72歳だから引退するという宮崎さんだが、長編アニメーションはもう直接的にはつくらないとしても、ご本人本来の夢を決して諦めてほしくないと思う。
子どもに夢を、社会に平和と自由を。その願いはあまりに遠く、世界の未来にはあまりに重い課題が果てしなく積み上げられている。
われわれのゆくてに、ゴールを示す灯火を絶やさないためにも、宮崎さんには宮崎さんでいつづけてほしいと思う。
LE TEMPS DES CERISES(さくらんぼの実る頃) 作詞:J=B.クレマン 作曲:A.ルナール1868年発表
Quand nous chanterons le temps des cerises
Et gai rossignol et merle moqueur
Seront tous en fête
Les belles auront la folie en tête
Et les amoureux du soleil au cœur
Quand nous chanterons le temps des cerises
Sifflera bien mieux le merle moqueur
Mais il est bien court le temps des cerises
Où l'on s'en va deux cueillir en rêvant
Des pendants d'oreilles
Cerises d'amour aux robes pareilles
Tombant sous la feuille en gouttes de sang
Mais il est bien court le temps des cerises
Pendants de corail qu'on cueille en rêvant
Quand vous en serez au temps des cerises
Si vous avez peur des chagrins d'amour
Evitez les belles
Moi qui ne crains pas les peines cruelles
Je ne vivrai pas sans souffrir un jour
Quand vous en serez au temps des cerises
Vous aurez aussi des peines d'amour
J'aimerai toujours le temps des cerises
C'est de ce temps-là que je garde au cœur
Une plaie ouverte
Et Dame Fortune, en m'étant offerte
Ne saura jamais calmer ma douleur
J'aimerai toujours le temps des cerises
Et le souvenir que je garde au cœur
サクランボの季節を歌い
陽気なナイチンゲールやマネシツグミが浮かれる頃
乙女たちは不思議な思いを抱き
恋人たちは心に太陽を抱くだろう
サクランボの季節を歌い
マネシツグミがたくみにさえずる頃
サクランボの季節は短い
ふたり夢見ながら
イヤリングを摘みに行く時期は
揃いのドレスをまとった愛のサクランボ
血のしずくとなって葉の下に落ちる
サクランボの季節は短い
夢見ながら摘むサンゴのイヤリング
サクランボの季節になって
失恋の悲しみを恐れるのなら
乙女たちを避けよう
心の傷を恐れない私は
悩み苦しまずに生きられない
サクランボの季節になると
恋でつらい思いをするだろう
私はサクランボの季節を愛する
あの時以来、心に傷を秘めている
運命の女神にも
この苦しみを和らげることはできない
私はサクランボの季節と
心に秘めた思い出を愛する