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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

流血の祭典

2009年06月07日 | movie
『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』

ある富豪からフィリピンで行方不明になったひとり息子シタオ(木村拓哉)の捜索を依頼された元刑事クライン(ジョシュ・ハートネット)。ミンダナオ島でシタオは殺害されたという目撃証言を耳にするが、香港で生きているらしいとの情報も得て、香港警察のメン・ジー(余文樂ショーン・ユー)を訪ねていく。

どーも賛否両論のよーですが。ぐりはかなりおもしろかったです。ハイ。
好き嫌いはかなり分かれる映画だとは思いますけどね。SM趣味的傾向がまったくない人、痛みの快楽を絶対に受け入れられない人はちょっと受けつけないかもしれない。ちなみにぐりは暴力表現は好きじゃないけど、「二枚目がモンゼツする映像」は大好物とゆーキチクなんで(爆)、たーいへん楽しゅうございました。イヤもうマジでー。
シタオは「他人の痛みを自身に移し換える」という特殊能力をもったキャラクターなので、トーゼン悶絶シーン満載でございます。画面に出て来るたんびに血みどろで七転八倒してます。
シタオだけじゃなくてクラインの悶絶シーンも多い。警察を辞める原因となった連続殺人事件の犯人ハスフォード(イライアス・コティーズ)にいたぶられるシーンなんか、超エロです。すいません、めっちゃワクワクしちゃいました。

あとコレ、サスペンスの形式をとってるけどサスペンス好きな人にもたぶん厳しいと思う。ストーリー展開に理論的な裏づけがほとんどないから。
たとえば、物語のキーとなるシタオは突然アジアに旅立ってミンダナオ島で孤児院を開設し、そこで地元住民の反感を買って殺害される。ところが遺棄された洞窟で息をふき返し、例の特殊能力を身につけて、なぜか香港で人々を助けてまわる。この流れに、サスペンス映画に必要とされる裏づけがほとんどない。シタオ自身ロクに喋らないし。
でも映画全体をみれば、そういう理屈の上での裏づけはあんまり重要じゃない気がしてくる。人が「痛み」に溺れ取り憑かれつつ畏れるという根源的な感覚は、あくまでも本能的なものであって、単純な理屈では片づかないからだ。
人間の脳は激しい苦痛に見舞われるとエンドルフィンという一種の麻薬物質を分泌して、意識を苦痛から解放させるという。ランナーズハイと呼ばれる現象や、性行為でのオルガズムもこの物質が引き起こすといわれている。
そうした生理的・心理的な「痛み」を軸に展開する内省的な世界を、人間誰もが抱える「善」と「悪」と「迷い」をそれぞれに象徴した3人のキャラクターによって語らせた映画としてみれば、これはきちんとまとまってるし、ちゃんと楽しめます。

音楽がレディオヘッドなんだけどほとんどの曲がエライ古くて、観ててなんだかレディオヘッドのPVみたくなっちゃってるとこがあったのはイマイチ興醒めではあったかな?グスターボ・サンタオラヤのスコアはよかったと思うんですがー。
ド変態芸術家役のイライアス・コティーズは相変わらずええ感じ。実はこの方ぐり結構好きです。シブくかつエロなハゲ。サイコーじゃないすか。
何考えてんのか意味不明な美女リリを演じた監督の奥さんトラン・ヌー・イェン・ケーは相変わらず美しい。ミステリアスで色っぽくって。李炳憲(イ・ビョンホン)ともキムタクとも密着し放題で羨ましいですね。ははははは。
余文樂の役はもともと呉彦祖(ダニエル・ウー)がやる予定だったんだよね。確か。怪我で降板したんじゃなかったでしたっけ?それを思うとやっぱ余文樂じゃ若干色気負けはしてるかも(笑)。
李燦森(サム・リー)がまたアブナイ役でちょろりと出て来るんだけど、この人顔がおもしろいから(笑)こーゆー役はホントにうってつけですねえ。
しかしなんだかんだいっていちばんおいしいのはキムタク。今後これが世界で公開されたらどーゆー反響があるのか、楽しみですなー。

ところでぐりはこれを六本木ヒルズで観たんだけど、観終わって帰ろうとしたら玉置浩二・石原真理子夫妻にばったり出くわしてビックリ。玉置浩二めちゃめちゃフツーのおっさんでした。オーラ0。石原真理子は異様に顔がちっこいからスグわかったけど。手をきゅっとつないで仲良さそうにしておられました。『ターミネーター4』の先行オールナイトでも観に来られたのかなー。

青森の変な人

2009年06月07日 | movie
『ウルトラミラクルラブストーリー』

青森県、海沿いの農村に住む陽人(松山ケンイチ)は25歳。亡くなった祖父がテープに録音したノウハウに従って無農薬農法で野菜を育てて売り歩くある日、幼稚園に新しくやってきた保育士の町子(麻生久美子)にひと目惚れ。猛アタックを開始するのだが・・・。

観終わって劇場のトイレにいったら、他の観客が「ミラクルすぎる」と感想をもらしておられたのが聞こえたのですがー。
まあぐりもそう思う。ぶっちゃけ、全然観なくてよかったかも(爆)。
たぶんこの監督自体はいい作家だと思うんだけど、なんか無理矢理マツケンのためのアイドル映画をつくろうとしてうまくまとまんなかった・・・みたいな感じ。ほのぼのラブファンタジーが撮りたかったのか、生命の神秘が撮りたかったのか、農村ブラックコメディが撮りたかったのか、そのどれもちゃんと消化しきれてないとゆーか。

ただ青森出身のマツケンのなりきりぶりは確かにものすごくて、全編津軽弁の台詞もちょーディープっす。他の俳優の津軽弁がインチキくさすぎて、そのギャップが笑える。いや、俳優としてはうまいはずなんだけど(藤田弓子なんか絶妙だと思う)、当り前だけどマツケンのネイティブ津軽弁には負ける。
しかしシナリオ全体がこの津軽弁にふりまわされてる感もアリアリ。あとあまりにリアルな方言にこだわり過ぎたのか、まったく何をいってるのかわからないパートもあって、耳が疲れました。

しかしあの役にわざわざARATAを使うっておもしろいよね。そこは笑った。エンドロールで(爆)。
それと、これ観ると人がなぜこんなに映画に熱狂するのかが妙にわかったような気分にはなる。だって登場人物がヘンすぎるから。映画を口実にこんなにおかしいことやれるなんて、おもしろいじゃん。クセになるよね。うん。