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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

無意識の罪

2008年10月11日 | lecture
ピープルズプラン研究所で行われた一度に読み解くセックスワークと人身取引という講義に行って来た。月イチ全6回の今日が第一回、今日のお題は「セクシュアリティの基礎知識・ジェンダーの基礎知識」。

基礎知識ってホントに思いっきり基礎中の基礎で、大学のジェンダー論の講義の初日にやるような内容。8月に行ったAIDS文化フォーラムin横浜での講義と大同小異といったところ。
まあでもこういう話を改めて聞いてると、ジェンダーやセクシュアリティってほんとうに感覚的・観念的なもので、誰もが無意識の領域に埋め込んで意識的には考えないものなんだなと強く感じる。けど文化的に成熟した社会では既にそれは許されないことになっているから、許されてる社会は文化的成熟度が低いともとらえられてしまう。そこは意識すべきだよね。やっぱし。

出席者にこないだのポラリスジャパン勉強会で会った人がいて、世の中狭いと思い。だって今回の出席者は20人足らず(内輪の関係者も含む)だし。ちょっとビックリ。前回ぐりがその人に話した渡鹿野島(ウィキペディア←この記述はかなり曖昧なので要検索)ネタにすごい食いついてて、なんと現地取材まで計画してるとゆー。やるなあ。
関係者以外の出席者は全員女性。社会学の専門家やボランティア活動家などまた濃ゆい面子ばかりだけど、少人数ということもありいたって和やかな雰囲気の勉強会でした。次回も行けたら行きます。その前に青山講師の本読んどかにゃー。


青山にて。

無知は罪なり

2008年09月29日 | lecture
一昨日の土曜日、ポラリスジャパン事務局主催「人身取引大国ニッポン:女性や子どもたちへの暴力をなくすために」 第一回勉強会というのに行って来た。
ポラリスを知ったきっかけは先月のAIDS文化フォーラムin横浜グダグダなレポ)。今回は藤原志帆子氏のお話ががっつり聞けるとゆーので、前回聞き逃したこともチェックできるかもと思って参加。内容は1時間の講義と質疑応答。
パワーポイントで図表などを映写しつつの講義で、「後でこのパワーポイントをPDFファイルに落として配信します」との説明があったのだがまだ来ない。けどこのままおさらいしないと忘れそうなのでとりあえずアップしておく。後日改訂します(たぶん)。前回と一部カブッてるとこもあります。


*ポラリスジャパンとは
もともとアメリカで活動していたポラリスの日本支部。日本支部の立ち上げは2004年。
主な活動は人身売買やドメスティック・バイオレンスの被害に遭うなどして困っている女性のホットライン。
基本は24時間、3ヶ国後対応。
2007〜08年にかけて、風俗女性の暴力被害が多くなっている。

*ポラリスが始まったきっかけ
立ち上げたのはアメリカの大学生ふたり。
大学のすぐ傍で韓国系の売春宿の摘発があり、被害者の多くがタバコによるやけどを負っているなどの事実を知って、ショックを受けたのが最初。

*人身売買の被害者は8割が女性、5割が子ども。
被害者は何も悪くないのに、全員が「ごめんなさい」「私が悪い」と謝罪の言葉を口にする。
自責の念が強いために、精神的に追いつめられて逃げられなくなっていく。

*人身売買市場
ここ数年飛躍的に拡大しており、現在では銃器取引と同程度の規模になっている。
その額310億ドル/年

*日本国内で人身売買の被害に遭っている外国人は20万人(国際移住機関)
カウント方法は明らかでないが、他の各種データに照らせばあながち大袈裟な数字ではない。
だがこのうち警察に被害が把握されているのは1割にも満たない。
日本での被害は80年代頃から増加傾向にあるが、日本政府が被害の統計を調査し始めたのはなんと2000年以降

*被害女性の出身地は東アジア、東南アジア、東欧、中南米
コロンビアでは麻薬取引の取締りが厳しくなり、代りに女性の輸出が始まった。最近はまた取締りの効果もあり減少傾向にある。

日本には人身売買そのものを取り締まる法律はない
2005年にやっと刑法に226条人身売買罪が追加された。
実際の取り締まりにはこの他関連の法律6つを組み合わせるが、管轄の警察や入管によって解釈や適用法が統一されておらず、その都度見解は異なる。
つまり、行政自体に人身売買に対する態勢づくりがまったくされていない。

*人身売買がどれだけの利益を生むかという、非常に劣悪なケーススタディ
コロンビア人女性のストリップ劇場には、電話ボックスのようなブースがあり、客は料金を払ってコンドームとティッシュを受取って並ぶ。ブースの中の女性は1時間に5〜6人の客を相手にする(・・・・・・・売春っちゅーか便所じゃねーかよ!)。
この業態では1週間で女性ひとりあたり50万円の売上げが見込まれ、女性が3人雇われていれば年間7000万円もの利益を上げることができる。
この種のストリップ劇場は取締りが厳しく、現在ではほとんど営業していない。

警察によれば日本の風俗店の半数は違法営業であり、日本のGNPの1〜2%は売春産業によるものと推定されている。
(つまり、フーゾクに通う一般市民が支払う料金の半分は犯罪組織に流れていて、日本という国が生み出すカネの0.5〜1%は違法な風俗店から生まれてるとゆー理屈)

*ポラリスはさまざまな外国人向け雑誌やフリーペーパーに広告を掲載しているが、同じ雑誌に風俗業者の募集広告が掲載されている。募集要項には「売春」の文字はないが、「コンドーム使用100%」と書かれている。

*人身売買の加害者は売春業者だけではない
風俗街で営業している名刺などの印刷業者、風俗嬢と客が連れ立って食事するラーメン店、風俗店のHPを制作するインターネット業者、看板屋など、搾取の末端は関係するさまざまな業種にひろがる。

*民主党は人身売買禁止ネットワークなどNGOと協力して「人身取引等の防止及び被害者の保護に関する法律案」を国会に提出、衆議院で審議中。

*被害者保護の第一歩は、被害者の言語で聞取りのできる専門家が対応すること。
いちいち通訳を挟んでいたのでは被害者と捜査側の信頼関係を築き、正確な聞き取り調査をするのは困難である。
また日本には被害者を支援する行政システムが存在しないため、被害者側でも認定(※下記参照)など必要ないと判断してしまう。

*われわれ市民にできることは、まずこの問題を知り、ひとりでも多くの人にひろめること。
チャリティイベントやパーティーもいいし、ただ話し合うだけでもよい。
ポラリスではRadioheadの日本公演にMTVといっしょに参加する予定。

All I Need - Radiohead
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以下は質疑応答の内容。

被害者認定※
警察と入国管理局が行う認定でフォーマットがあるはずだが公開はされていない。
警察と入管ではおそらく内容が異なる。
また、日本には移民法がないため、被害者は認定後に日本に留まることが非常に難しい。
入管では条件が揃えば留まることはできると説明しているが、それはあくまでも建て前。
ちなみにアメリカには3年間有効なトラフィッキング・ビザがある。この期間に永住権を取得することも可能。
なおこのビザの目的は加害者を逮捕・訴追するためである。

*人身売買の需要をなくすために、ポラリスでは学校での講演を行っている。
まずは正しい性教育が必要である。

*被害者の多くが違法な借金を背負わされているが、正式な借用書などは存在せず、利率も利息制限法に違反しているなどの情報は被害者にはいっさい与えられていない。
海外から日本にやってくる被害者は3ヶ月のビザで入国するが、このビザの取得に預金証明が必要となる。
現地ブローカーはこれに必要な現金をまず被害者に渡し、航空券を渡す。この時点で航空券が被害者の借金となる。
成田空港に到着すると日本のブローカーが被害者を待っている。このブローカーが現金を没収し、新たに滞在費用としてカネを貸す、という仕組みになっている。(
*人身売買の被害者は世界中どこの国でも、外国人被害者の3倍は自国民であるといわれている。つまり日本の場合60万人と推定される。
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銀座の花。

岸部一徳VS大滝秀治

2008年09月02日 | lecture
ダルい。
先週風邪をひいてから異常に体がダルいです。これが夏バテとゆーものなのでしょーか?ダルいよー!(うるさい)

日曜日に映画『闇の子供たち』を観た、あるいは原作を読んだ人を対象とする某NGO主催のトークイベントに行ってきたんですが。
こーゆー内容の映画ってやっぱ他人と感想とかシェアしてナンボじゃないかと思うんだけど周りで観た人は皆無、ネットでレビュー読んでも「育てられないのに子どもつくるなんてサイテー」「日本に生まれてよかった」「自分の子が重病だったらたとえ誰かの命を犠牲にしても助けたいのが親心」「ぺドファイルなんて変態は生きてる資格ない」なんとゆーぐり的にはアタマにお花が咲いてるとしか思えないレビューがやたら多くて逆にショックを受けてしまったので、多少なりとももーちょっとまともな意見が聞ける機会があればと思い。

結果。
大失敗だよ!
とりあえずこのイベントで「誰」に対して「何」をやりたいのか全然考えてないよね?主催者さんよ?少なくともぐりには理解できんかったよ。単に自分らの宣伝がしたかっただけとちゃうん?
最初に理事のレクチャーが20分、そのあと45分間でグループワーク、最後に発表という構成だったんだけど、レクチャーがもう意味不明。主に児童の人身売買や子どもの人権に対する各国際機関の取り組みについての説明だったんだけど、そんなんココで説明する必要ある?だいたいそれ映画と1ミリも関係ないやん(ちなみにこのNGOが活動してるのはカンボジア。映画と関係ない)。そもそも出席者に人身売買の歴史や社会的政治的背景の基礎知識があるかどうかもわからんのに、専門用語だらけの超早口でわたしたち=専門家はこんなことやってますあんなことやってます的な自慢話ダラダラ喋ってなんか意味あんのけ?予備知識あって聞いてたらよけいに「だから何?」な内容ゼロなお話でしかないし。何冊かこの分野の本を読んでりゃ普通にわかる程度のどうでもいい話で、聞いててもおもしろくもなんともない。大滝秀治氏なら間違いなく「つまらん!お前の話はつまらん!」と突っ込んでとっととお帰りになったであろー。
グループワークも段取り悪すぎてグダグダなまま無駄に時間だけ過ぎ。そんなんで発表ったってどないせっちゅーの。
しまいにゃ「わたしたち学生と社会人なりたてのNGOで」なんとゆー言い訳が始まったときはブチキレそーになりました。商業映画ダシにしといて何いってんの?知らんがなー!

せっかく映画観た人が集まったんだから、もっと実のある意見交換ができると思ったのになー。がっかりだわい。都内でも拡大公開始まったし、もうちょっと動員増えたらもっとマシな機会もつくりやすくなるかな?
しかし今回のはイタかったわー。あれじゃあ映画に対して失礼なんじゃないかねえ?常々日本人は議論が下手な国民だってのは周知の事実だけど、明確な目的性をもって議論するための最低限のスキルさえあまりにもお粗末すぎるとゆーことを痛感させられましたです。日常生活はそれでよくても、議論のための場をわざわざ設けて人間集めてる側にすらそれが欠けてるなんてのは致命的では。
頭にきたので帰りに同じグループにいた学生とスタバであれこれ語りくれてしまったよ。こーゆーワークショップとかトークセッション行くと学生けっこう多いんだけど、はやってんのかね?とかゆーと誰かに怒られそーですがー。けどこーゆー活動が「青春の思い出の1ページ」で完結しちゃわないで意識を高くもち続けられる人がどんくらいいんのかは、今回のイベントの惨状みてるとかなり心もとなく感じるのも事実でございます・・・。


金魚槽の花。

週末のおさらい其の参

2008年08月07日 | lecture
AIDS文化フォーラムin横浜 8月3日
「日本における人身売買〜ホットラインの向こう側」 てのひら〜人身売買に立ち向かう会ポラリスプロジェクト藤原志帆子氏(初出

*全世界で人身売買の被害者は1200万人。市場規模は310億ドル/年。被害者の8割が女性、5割が子ども(国際労働機関)。
日本国内での外国人被害者は20万人(国際移住機関)。

*日本で発覚する被害は全体の1割程度。
人身売買が地下産業で社会の認知度が低いことにくわえ、システムが複雑でわかりにくいことも原因。当事者本人が被害に気づいていないことも多い。

*アメリカ留学中、アジア系留学生から日本人の買春ツアーの存在を聞いたのをきっかけにワシントンDCでポラリスを立ち上げた藤原氏。
LGBTや売春させられている女性たちのホットラインを設置、次第に警察や地域社会の信頼を得て、警察側からも協力を求められるようになった。

*日本の問題に取り組むため2004年東京事務所を開設。活動資金は主に外資系企業やアメリカ企業から募った。
もともと関心の高い企業を除けば、日本企業は重すぎるからという理由で協力したがらない。

*ホットラインという形にしたのは、当事者の声を集めないことには具体的な法改正にはつながらないから。

*電話スタッフは10人。常駐では日本語・英語・韓国語に対応。臨時でスペイン語とロシア語もスタッフがいる。

*電話相談件数は年間750件。
相談内容は闇金、ドメスティック・ヴァイオレンス、国際結婚に関する悩み、妊娠、HIVを含む性感染症に関する問題、仕事のトラブルなどさまざま。
いちばん多いのは法律相談で、そもそも110番を知らない人もいる。

*当事者からの電話相談に対応するのが基本的なサポート活動だが、気になるケースでは1ヶ月に1度ポラリス側から電話をして「元気?」などと世間話をすることで状況確認をとる場合もある。

*アメリカなどでは人身売買を「現代の奴隷制」などといって社会的な関心も高いが、日本では性産業に携わる女性に対する偏見が厳しく、「好きでやってるんでしょ」「お金目当てでしょ」という見方から誰も離れない。
最も理解を必要とする公的機関においても同様。

実はこのインタビュー、ろくにメモをとってないのでおさらいしようとしても、あんまりうまくまとまらない・・・。すごくいいお話だったんだけど。
聞いてていちばん心に残ったのは、語っている藤原氏の飾り気のなさ。年齢的には30代前半くらいだと思うんだけど、アメリカ留学の理由を聞かれても「頭悪くて日本の大学に入れなかったから」なんてサラッといってしまうし、実際には政府間会合や警察の勉強会で発言するなど専門家として相応の活躍をされているのに、そういった「あたしこんなことやってすよ」感がいっさいない。
正直な話、ぐりがこの手の人権団体の話を聞いていていちばんひっかかるのが「あたしこんなことやってますよ」的な上から目線。こういう活動って結局は過去の実績よりも継続が重要なわけで、常に現実に則した地道な姿勢が何よりも当事者に強く求められているものなんじゃないかと思う。
そういう点では、電話をかけてくる人たちとまったく同じ目線で向かいあおうとしている藤原氏のスタンスって、たったこれだけの話でもすごく信頼できる感じがしました。

人身売買のすべての元凶は買う側にある。
そもそも人間をお金で買うなんて人権上では決して許されはしない。それなのに買う人間がいるから売るビジネスが生まれてくる。
海外から来る女性にしても、日本国内で売り買いされる被害者にしても(もちろん日本人も売買されている)、好きこのんで自らを売り渡したわけではない。騙されて違法な借金を背負わされ、脅迫され、暴力をふるわれて精神的な自由を奪われて仕事を強制されている。そのことに社会が無関心なために、被害がなかなか表沙汰にならない。被害者は社会からの孤立という二重の苦しみを被ることになる。
人が人を買うことがどれほど間違ったことか、そのことさえもっとしっかり認識されれば、被害はもっと少なくなるはずなのに・・・。


抜け殻。

週末のおさらい其の弐

2008年08月05日 | lecture
AIDS文化フォーラムin横浜 8月2日
「エイズ診療の最新事情」 横浜市立市民病院感染症部立川夏夫医師(初出

*コロンブスの新大陸発見は1492年。フランス・マルセイユで梅毒が大流行したのは1495〜1500年ごろ、1530〜40年には大阪に上陸している。鉄砲の伝来よりも速かった。
人類と性病は切り離せない関係だが、HIV治療に不可欠と考えられるワクチンは未だにない。ワクチン研究そのものがうまくいっていない。

*HIVウィルスってどんなもの?
CD4陽性リンパ球に吸着、RNAをDNAに変換し、インテグラーゼ酵素によってヒトの遺伝子と一体化するレトロウィルスの一種。
ヒトの遺伝子に溶け込んでタンパク質を生成し増殖する。その数は1日100億個。コピーミスが多いため感染後に体内で激しく変化し続けるのが特色。
ヒトのDNAは30億個の塩基対で形成され、うち32000個が遺伝子であるといわれる。
HIVのDNAは1万個の塩基対で形成され、うち遺伝子とされるのはわずか9個
実はヒトのDNAには10000ヶ所ほどレトロウィルスに感染したらしき痕跡が確認されている。

*免疫とは?
免疫は「構造(皮膚・粘膜・腸管・尿路など)」「細胞成分(白血球、リンパ球など)」「抗体」「補体(血中タンパク質)」「基礎代謝」の要素からなる。
HIVが攻撃するのはこのうちCD4を表面に発現したTリンパ球。つまりHIVに感染したからといってすべての免疫機能が破壊されるわけではない。
通常Tリンパ球は体内に侵入したウィルスが増殖するのを抑制する働きを担うため、これが減ると過去に感染して抑制されたままになっていたウィルスが増殖し始める。
たとえばインフルエンザは水鳥の腸管に棲みながら水鳥の健康を脅かさずに共生しているが、他の動物に感染すると環境の変化に適応せず激しく攻撃し始める。
HIVはもともとアフリカのサルの体内で共生していたのが、これを補食するブッシュミートという習慣から1950年代までにヒトに感染し、バスの運行網によって拡散したといわれる。

*HIVの疫学
全世界の15〜49歳の1.1%が感染者
日本の感染者の男女比は9:1。
女性の感染源は多くが外国人。
男性感染者のうち9割が同性間の性交渉によって感染している。これは日本のゲイコミュニティに匿名性が高いことも原因のひとつと思われる。
性病にかかったらHIV抗体検査を必ず受けるべき。
(個人的にはゲイコミュニティの方が検査を受けやすい環境だから感染が発覚しやすいのでは?と思うし、ここのパートは聞いてて「それはどーか?」と感じる箇所が他にも多かった)

*HIVの自然経過
CD4陽性リンパ球の数を計測して進行を調べる。
これは普通の血液検査では調べない。HIVの検査を受けましょう。
200個/マイクロメートルをきるとAIDSを発症し、2年以内に死亡する。
早く治療を始めればウィルスの増殖を抑えることができ、感染時の年齢にもよるが35年は生きられるといわれている。
立川医師の患者の中には80歳代の陽性者もいる。

*HIV治療の現状
1981年 米国CDC発行の疫学週報MMWRに「AIDS」が掲載される
1987年 AZT(アジドチミジン、ジドブジン) 認可
      もともと抗がん剤だったAZTがHIVに効くことを発見したのは熊本大学の満屋裕明教授
      九州の風土病・成人T細胞白血病に感染しガン化して不死状態になったCD4細胞を使った実験が役立った
      この頃HIV感染=死を題材にした映画が多くつくられた
1992年 ddI(ジダノシン) 認可
1996年 ddc(ザルシタビン) 認可
1997年 3TC(ラミブジン) d4T(サニルブジン) SQV(サキナビル) IDV(インジナビル) 認可
      抗レトロウィルス療法が確立される 
1998年 NVP(ネビラピン) NFV(ネルフィナビル) RTV(リトナビル) 認可
1999年 EFV(エファビレンツ) APV(アンプレナビル) ABC(アバカビル) 認可
2000年 DLV(デラビルジン) LPVrtv(ロピナビル/リトナビル) 認可
2003年 T20(エンフュヴィルタイド) 認可
2004年 TDF(テノホビル) ATV(アタザナビル) 認可
2005年 FPV(ホスアンプレナビル) 認可
2007年 DRV(ダルナビル) 認可
2008年 RAL 認可
2009年 ETV MRV 認可
・現在では感染発覚後200〜1000日で半数が治療を開始
・早く発覚すれば早く治療がスタートできる
・ウィルスを減らし1日50コピー未満に抑制できれば治療は成功していると判断される
・立川医師の調査では発症前に感染が発覚した場合の死亡率は1%(自殺)、発症後発覚の場合は20%が死亡している(何年間の調査か失念)
・結論としては、HIVは慢性疾患だが、AIDSは死ぬ病気、といえる。

開始時間を間違えていて危うく遅刻しそうになった立川医師。
「のんびり『王様のブランチ』なんか見ちゃってた」なんてヘラヘラ悪びれないナイスキャラです。
立川夏夫なんて名前もまるでエアポートノベル作家みたいだし、若いしハンサムだしみるからに軽薄そうで「わー遊んでそう」とか思ってしまいましたが、講義は非常にわかりやすくておもしろかったです。遊んでそうとか思ってごめんなさい。いや遊んでてもまったく構わないのだが。
HIVウィルスの構造について「9個しか遺伝子ないのに、こんなややこしいことできるなんてよくできてる」「すごい考えてます。いや考えてないけど。9個だから」とか勝手にひとりボケひとりツッコミ。会場もドッカンドッカンうけまくり。専門的な話なのに聞いてて全然飽きないです。すばらしい。講義後も出席者にとり囲まれて質問攻めにあってました。

ノートをもとにネットでおさらいはしたけど、いかんせん素人なので間違ってるとこもあるかと思われます。気づいた方がおられましたらつっこんでください。


道端の花。