役立たず

いけんね～・・・


フッと見た窓の外、
きれいな夕映えの色。

「お～っ、きれいな夕焼け！写真、撮ってこよ！」
携帯電話片手に外に出る。
スイッチ押すも無反応、
よく見るとバッテリー切れ。

あ～、またか・・・

スゴスゴト帰ると坊守が、
「どうしたの？」
「あ～、バッテリーが切れてた・・・」
「それはいけんかったね、
　もうその携帯じゃダメなんじゃないの？スマホにしたら・・・？」
「ん～・・・」

どういう状況になっているのか
携帯のバッテリーがすぐ崖を迎えるのです。
十分、充電もしているつもりなんですけど
なんか調子悪いんでしょうね。

スマホなんて全然興味ありませんし用事もありません。
最低限、連絡さえつけばいいのですがそれさえ儘ならんのでは・・・

いろんなことを思いつつ
長年共に歩んでいる携帯を撫でているコイツ。


いろんなご縁をいただいています。

温か～いご縁だな～・・・
もうちょっと何とかならんのかな～・・・
何でそういう考えになるかな～・・・

役に立たんコイツの有り様。
自分自身が自問自答することです。

コイツが素晴らしい人格者なればって思うものの
役立たず・・・

申し訳ない。

新品

知らないと・・・


知らないとなんでもなく過ごせますが
知ってしまうと恥ずかしくて人前に出れない。

そんなことってありますよね。

夕方、恥ずかしげもなくしている格好。
すっかり御馴染みですけど・・・

昨日のこと、
さあ！って気合入れて身に着けるコスチューム。
安物のサウナスーツはもうビリビリ、
ガムテープで補修するも追いつかず
穴の方が大きくてサウナ効果があるのかどうだかって状態。
でもこれって下着状態ですから気にすることないのですが
問題なのは合羽の方、
これなかなかガンバってくれていて
酷使するも破れはなかったのですが・・・

ブッ裂け！

お尻の部分が情けないことになっている。
「ありゃ～・・・！」

流石に昨日のお荘厳は気になりました。
堂内はいいのですが縁になると外ですから・・・
コイツみたいなものでも道路の方にお尻を向けないように・・・

でも、思いっきり下着が見える訳でもないのです。
合羽のメッシュの素材のものもあり
サウナスーツもあるのですから・・・

でも、行きかう人々はそう思わないですから
ブッ裂けの部分だけ見て言われますから・・・

いらぬ罪を作らせないように
今日、雨合羽２号を買ってきました。

ちょっと奮発して
中に糸が縫い込まれているという頑丈そうなもの。
ちと重いかな～って思ったのですが・・・

今日のお荘厳コスチュームは新品で統一。
合羽もサウナスーツも・・・

お尻も気にすることもなくゴシゴシゴシ、
でも、ゴワゴワでいつものように動けませんでした。

次第に馴染むでしょうか・・・


しかし、コイツは・・・

こころの有り様も知らされ
恥ずかしきホンマを突き付けられるような毎日。
でも、恥ずかしさもそのままシャ～シャ～とお参りしますもんね。

どこまでも外面ばかり・・・
外面ばかり常に新品のように磨いてはいますが
内面は腐ったまんま・・・

恥ずかしい・・・

暮れるのが早くなったね

もう、お取り越しだね・・・


ご飯を頂きながら坊守がポツリ、
「日が暮れるのが早くなったね～」
「そうだね～」
って話しつつ思う２人の子どもたち。

何してるんだろう・・・
まだ、願生ってるんだろうな～・・・

そう思うとウルウルしてしまう、コイツ。


忙しいってことなどないのですが、
お盆が終わり、秋季彼岸会となりお取り越し。
急かされるように
追い立てられるように、
生かさせていただきます。

秋から冬へと移ろいで行きます。
その時々は気付かないのですけど
確かに移ろいで行きます。

もの悲しい季節です・・・


会いたいな～と思います。
思えば思うほど切なくて・・・

ザワワワワ

ギャョェ～・・・


暑さ寒さも彼岸までってことでしょうか、
でも、またすぐに暑くなるということです。
台風もまだまだ続くようです。

それでも朝晩、楽ですね～・・・
気持ちいいです。

しかし、こう涼しくなってくると困るのが
汗が流れ難くなるってこと。

一連のお荘厳をしていても真夏の頃といったら
全然、汗の量が違いますもんね。

ストレスが溜まります。

それでも、ふざけた格好でゴソゴソしていると汗が流れ出て下さるので
終わるとシャワーで汗を流すのが気持ちいことです。

ついでに、サウナスーツも合羽も汗臭くなるので水洗い。
たらいに入れてジャブジャブしていると
何やら左足の甲に違和感を感じます。

ザワワワワワ・・・

えっ、て目を落とすと
２０センチほどの大ムカデ！

ギャョェ～～～～って飛び上がるコイツ。
こんな時は痛いところも感じずに飛び上がれるから面白いですね。

どうやって払ったのか覚えていません。

しかし、人様に見せることができない格好と形相は
今も尚、心に残像のように残っています。

彼岸だというのに・・・

この住職は、どこまでも恐ろき姿でありました。
身も心も・・・

お前、死ぬよ！

心配ないよ・・・


境内の彼岸花が咲いています。
鐘楼堂の周りに総代さんが植えていただいたものです。
今年は咲かないのかって心配していましたが
大地から真直ぐに芽を伸ばし花を咲かせています。

この時に、変わらず・・・


ご縁に親戚が集われる。
同世代が集うと楽しそうでいいものです。

同世代だから抱える身体の状況が気になる。
血圧が高い、
総蛋白が、
コレステロールが、
バンバン出てきます。

病院嫌いの施主さんに参った親戚が仰られます、
「お前、死ぬぞ！」
失礼ながら聞きながら笑ったのですが、
でも、真のところ。
言われた施主さん、ちょっと神妙なお顔でした。

そりゃ、そうですよね、死を突き付けられるのですから・・・

コイツの作業着はふざけた格好。
それ見かけた人々は笑っておられるのでしょう。

サウナスーツに雨合羽スタイル。
流れ出る汗に止められないコイツ、
笑われようとも・・・

そんな夕方、
ちょっとした用事で自治会長が参られた。
みんな留守だったの本堂の縁から応対させていただいた。
そんなコイツの格好を見た自治会長、

「あんた、そんな恰好しとったら死ぬで！
　水でも飲みながらせんと！」
「アザ～ス！」

気持ちよく死を突き付けられます。
お荘厳しながら

「死ぬ・・・か」

ホンマのことです。
必ず死ぬのです、老いていようが若かろうが、必ず！


幼き頃の娘はよく「死」を感じいっぱい泣きながら坊守に抱かれていた。
「ママが死んだら嫌だ～」って。
しかし、坊守は「ママは死なないよ！」っていうことはなかったのです。
ただ、泣いている愛しき娘を抱きしめる毎日でした。

そんな娘も大きくならせていただきました。


このいのち、いただいてからず～っと死が隣り合わせの人生。
なのになかなか見つめようともせずにこの年・・・

だからなのでしょうね、
恥ずかしき生き方は変わらないことです。

数十年、生かさせていただいています。

支えられて、支えられて今をいただいています。
心配かけて、心配かけて歩ませていただいています。
この人にも、あの人にも。

お陰で生かさせていただきました。

死ぬ人生に変わりはないけど
往き生まれるいのちを大切にさせていただきます。

だから、また会える・・・
きっと会える・・・

もう迷いの世界を巡ることのない今を聞かせていただいた今生、

そう言える気付きの人生でよかった。


今生にいのちの花、開かせていただきましたよ～って宣言して数十年、
ありがとうごさいました。

これからも願生ります。