認知症

夜はずっと・・・


大変お世話になったご門徒。
地位、名誉、財産・・・手に持たれた方。
でも、驕ることもなく明るくて楽しくて優しいお方でした。

以前から認知症を発症されているってことは伺っていました。
久しぶりに奥様に出会いましたのでその後をお伺いしますと、
「ご院さん、日に日にね・・・」

夜の徘徊が続くのだそうです。
言葉がありません。

どれだけしんどいか・・・

でもやっぱり家族で介護されている。
着いていくのが分かると機嫌が悪くなるので気付かれないように
そっと・・・

ありがたいな～・・・

御本人も辛いけど安心の中。
「おばさん、気を付けてね・・・」
コイツの精一杯です。

かと思えば、
一人暮らしのご門徒が認知症の為に施設にって話しを先日聞きショックを受けた。

どういう経緯で入所したのか分かりませんが
ご近所の働き掛けがあったのでしょう。
こういう時は田舎暮らしの良さを思います。

日本って本当に素晴らしい国です。
どのようになろうとも支えてくださる働きがある。

本当にありがたい。

コイツも認知症になることを案じます。
もの忘れが酷いし、
いままで思っていたこともパッ消えてしまい真っ白になることもしばしば。
どうしよう・・・

一人ぼっちの御門徒と重ねるのです。
コイツも直に一人ぼっちになります。

迷惑掛けてしまうな～・・・
ご近所もあるかどうかも分かりませんが。

でも今なら言えるのです、
迷うコイツのすべてをギュッと抱きしめていてくださる阿弥陀さまの御手の中。
安心、安心。

そうなれば何もかも分からなくなろうとも・・・

安心。

そう言える今でよかった。

山号額

ありがたい・・・


その時代その時代を乗り越える。
苦しいその時を何とか乗り越える。

コイツが守をさせていただている寺もその時を乗り越えて来ています。
食べるのがやっと・・・
そんな時代にこの本堂が建立されたのでしょう。
予算的にも多くあったってことはなく
それでも何とか形にしていく。
乏しい材料です。
必要最小限で造られた本堂はガタガタ。

どの寺院もそんな問題を抱えている頃のようです。
建て替えたいものの・・・
気持ちはあれどもお金がなく、
お金があれども気持ちがなく、
そんな時代で如何にこの薫りを伝えていくのか・・・

我が寺においても到底建て替えるなんて話は夢のまた夢。
すれば、今あるこの寺を少しでも長く保存できるように
ちょっとずつでも手を入れる必要があります。

どなたかが仏さまの薫りに触れたいって思う時に
いつでもその薫りに包まれるように、
何とか・・・
その時まで何とか・・・

今日、本堂に山号額をお飾りしていただきました。
あればいいな～って思っていたものの
無くてもいいものでしたので後回し。
そんなお金があれば他の箇所の修復にって思いでした。

この度、世話になっているお方が寄進してくださいました。
このお話をいただいた時に
先程の思いがあったものですからお断りをしたのですが
強き思いをいただいて寄進していただいたことです。

文字は無理を言って恩師に書いていただいたことです。
嬉しいですよね、
お忙しいお方ですのでどうかなって思いつつも二つ返事。
やっぱ最高だよねって思ったことです。

この特徴のある優しい文字が大好きです。

またお飾りが増えました。
本当に嬉しいです。

優しい文字に照らされて
一人ひとりの心が御浄土の色に榮え
この苦しき時代を生き抜けるように
この本堂を守っていきたいと思います。

寄進して下さったご門徒、
恩師、
間で心配して下さった方々、
お陰で下がらん頭が下がります。

爽やかな今

ムシムシ・・・


昨日は過ごしやすい一日でした。
夕方ゴソゴソしていても難なくクリヤー。
お～、今日絶好調やん。
そんな爽やかさでした。

今日・・・
暑かったですね。
暑いのって決して嫌いじゃないんですが
サウナスーツ着込んで
ダラダラ出る汗に
呼吸も荒くなり息も止まりそうになります。
やばいかな～、なんて本堂の中。

愛媛県の高校野球の代表校が決まったようです。
初出場になるのだそうです。

勝利が決まりマウンドに集まる。
みんな人差し指を掲げて称え合う姿、いいものです。
勿論、敗れはしたが一緒にこれまで頑張って来れた戦友と
励まし合う涙も素晴らしいものです。

汗にまみれ
泥にまみれ
息も止まりそうに・・・

そんな毎日を繰り返し繰り返し。

爽やかな人生、いいもんです。

コイツもちっとは見習いたく
掃除のムシに・・・

お陰でお夕事のひと時は肩の力が抜けます。

今日も生かさせていただきました・・・

殺生

人を殺してみたかった・・・


またも恐ろしき事件が起きてしまいました。
高校生が同級生を殺害し切断したとか・・・
殺害された友だちは中学からの仲だったとか・・・

今日のニュースで動機として「人を・・・」ということでした。

同じ県にて数年前にも・・・
それ以後、いのちの教育みたいなものを重点にされてきたらしい。
心の奥底に響かなかったのかって教育に携わる方がおっしゃられた。

僧侶としてどう向き合っていくのか・・・
一度一度の仏事が心の奥底に響くようなひと時になっているのか・・・

在り来たりのことをやっていてもなかなか心に響くようなひと時になりません。

今日、開かれた組内の住職会、
それぞれの寺院が抱える問題を話したのですが
どの寺院も同じような問題を抱えています。

ご門徒の気持ちが離れている・・・
ご門徒にも生活があり仏事どころではない・・・
などなど。

そういったこと聞きながら、さあ、どうする・・・
って、自分に問いかけるのです。

でも、やっぱりコイツにはこのやり方しかなくて、
器用に何でもできるわけでもなく、
舌がよく回るわけでもなく、

不器用で何もできないコイツにはひたむきに歩むことしかできません。

不器用なまんま阿弥陀さまに包まれる歓びを胸に
その思いいっぱいをご門徒にぶつけることしかできません。

それがご門徒の心の奥底に響いているかどうかは分かりませんが・・・
これしかないのです、コイツ。

如来の大悲に生かされている自分を見つめさせていただくことです。

婆ちゃんの香り

ようこそお参り・・・


最近、若い方がご縁に着いて下さるってことが少なくなっています。
お葬儀にはお参りするがその後は・・・
ご法事にもお参りできなくなっています。
いろんな所要がおありになるのでしょうが・・・

そんな中にも子や孫がお参り下さる姿がある。

嬉しいのです。

ようこそ、ようこそおはたらきくださるお婆ちゃん。
安らかに眠ることもできずに
必ず救うまかせよっておはたらき。

よう参ってくれたね・・・
よう手を合わせてくれたね・・・

いっしょに、
いっしょに。

暑いひと時でしたけど
集えてよかったですね。

願生ります。