ポスト見て今日も手紙が来ていない やっぱり君は忙しいんだ
かのこ (短歌*かのこ流)
下の二句は、声に出してつぶやいたんでしょうね、きっと。
ポストを家側から開けるかちゃりという音、バイクの音を聞いて
「郵便屋さんか?」と顔を上げる動作まで目に浮かびます。
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母からの手紙はいつも頼りなくみの字が泳ぐ 帰れないのよ
水須ゆき子 (ぽっぽぶろぐ。)
体が震えました。「みの字が泳ぐ」が特にすごい。
達筆ゆえか、手がかすかにふるえるのか、「母」の年齢を感じさせ、
さらに母娘の微妙な気持ちのすれ違いも表現している。
一字あけが、とても苦しく胸を突きます。
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夕風が手紙をひらくように咲く枝垂れ梅いっぽん風を流して
行方祐美 (やまとことのは)
風景が、さあっと目に拡がっていくような歌です。
少しずつ暖かくなってきた風に、梅の花が開いていく。
花を開かせた風を、枝は受け止めるのではなく、自らを泳がせて
さらりと流していく。
風流なだけでなく、どことなく〈いなせな〉感じがするのは、
「いっぽん」のためでしょうか。
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便箋を君がたどれば手紙から解き放たれる青い心臓
かっぱ (きゅーりをこのむ)
手紙の本質ってこれですよね。
相手が読んでくれることによって、こちらが込めたときめきや体温が
よみがえる。
手書きであればなおさら、でしょうか。
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あたたかい言葉まみれの決別の手紙ちいさくちいさくたたむ
田丸まひる (ほおずり練習帳。)
「まみれ」が非常に効いています。どんなに暖かくても意味はさよなら。
そんな相手の偽善が伝わってきます。
きっと、立方体に近くなるまで折り畳んだんだろうなあ。
下二句のひらがなが、そう想像させます。さて、そのあとは?
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