はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

鑑賞サイト2008(008:守)

2008年03月14日 19時00分55秒 | 題詠100首 鑑賞サイト
洗いたての膝むきだして守衛室前を駆け抜ければ赤い花
                   ひぐらしひなつ (エデンの廃園)

意味そのものは、読んだとおりですね。
でも、状況設定を、歌はなにも明示してくれません。
なぜ「洗いたて」?どうして「駆け抜け」?「赤い花」って?
想像しようと思えば、いくらでも拡がっていきます。
つまり、これは読む側がどんなに深読みしてもよいという種類の歌なのでしょう。

深読み好きな中村としては、充分に堪能したいところですが、今回は控えておきます。
意味そのものよりも、目の前にフラッシュのように浮かぶ光景を楽しみたい。
まだ湿った、赤みを残した膝。
その赤が、残像を残しつつ駆け抜けていく。
それは「赤い花」とオーバーラップして、鮮烈に目に焼き付きます。

後半は句跨りの連続です。
この方法は、使い方を誤ると一首を台無しにしてしまう恐れがあります。
でもこの歌では、主体の危うい疾走を表現し、読み手に快い緊張感を与えてくれます。

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