はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

鑑賞サイト 031:寂

2006年05月23日 19時15分12秒 | 題詠100首 鑑賞サイト
一人では寂しい空だ 僕たちがつくられた日もこんな青かな
                   かっぱ (きゅーりをこのむ)

  一口に青空と言っても、いろいろな青があります。
  でも、寂しいなと感じる青は、実はどの青空にも当てはまりそうな
  気もします。
  一人でいると寂しいときに、見上げる空。
  「つくられた」日と同じ青であるなら、人は自分の内面に、自分だ
  けの青を持っているのでしょうか。
  (かっぱさんのブログを拝見し、改作された歌が掲載されていたの
  で、そちらを鑑賞させていただきました。)

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間違いはすべて消されて正解が寂しくひとつ残る黒板
                        ドール (花物語)

  このサイトは、投稿歌を拝見していて「おっ」と意識に引っかかっ
  たものをご紹介しています。
  このお歌はまさにそれで、画面をスクロールしていて、いったん通
  り過ぎてから「おっ」と引き返してきました。
  間違いたちの残骸(黒板消しで消されたチョークの跡)に囲まれた
  正解。
  ふと、目を引く寂しさです。
  多くの間違いと一つの正解は、少なくとも見た目はそんなに違わ
  ないのにね。

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静寂がやぶられて空ゆるされてヒコーキ雲をつくりはじめる
                   斉藤そよ (つれづれつづり)

  どこで切るのか、ちょっと迷いました。
  やぶられて/空 か、空/ゆるされて か。
  静寂を続けていた空が許されたのか。
  空の静寂が破られたことにより主体が許されたのか。
  後者は読みに無理があるかな。
  前者だとすると、「やぶられ」るというマイナスイメージの行動に
  よって「ゆるされ」る、という展開の仕方が素敵ですね。

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静寂をわたる波紋は三秒で途切れてしまう 途切れてしまえ  
                  松本響 (春色ぶれす SIDE-D)

  第4句・5句が、波紋の連なりのように見えます。
  途切れるまでの三秒に、もっと多くの波紋が拡がっていったんで
  しょうか。
  しまおう しまうな しまいたい しまった…
  でも、ここまで読み過ぎると、歌意を変えてしまいそうです。
  一字空けは、あまり好まない人も多いですが(僕もその傾向があ
  りますが)、この歌には絶対に必要です。

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2 コメント

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ありがとうございます。 (かっぱ)
2006-05-23 23:48:38
こんばんは。

取り上げていただきどうもありがとうございました。

「人は自分の内面に、自分だけの青を持っている」

っていいですね。

そう言われるとなんだかそんな気がします。

改作にも目を通していただけて嬉しいです。

自分では改作のほうがいいかなあと思っています。
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Unknown (斉藤そよ)
2006-05-30 22:40:00
こんばんは。

ゆるされた空の歌、自分ではとても気に入っているので、取り上げていただきとてもとても嬉しかったです。

ここで、他の方のお歌につけられた中村さんのコメント、興味深く拝見しています。ひとつのお歌を何倍も味わうことができて、勉強にもなるし、そしてとても和みます。いつもありがとうございます。





ではではまたお邪魔しますね。



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