はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

鑑賞サイト2008(015:アジア)

2008年08月24日 21時14分17秒 | 題詠100首 鑑賞サイト
まっさらな地図をひろげてevianをこぼすアジアの果てのみどりに
                    015:アジア(こはく) (プラシーボ)

「エビアンは、フランスのエヴィアン=レ=バン近郊、カシャ水源で採取される、フランス・ダノン社のミネラルウォーターのブランドである。水質は硬水」(ウィキペディア)

「アジア」の地理的定義は諸説ありますが、一般にはヨーロッパを除いたユーラシア大陸全般を指すようです。
そのアジアの真新しい地図に、ヨーロッパ生まれの水をこぼす。
この場合、地図は撥水加工の紙よりも、滲んで染み込むふつうの紙であって欲しいです。

さて、「果て」とはどこを指しているのでしょう。
方角的に見ると「みどり」あふれる「果て」は、南のインドまたは東南アジア、あるいは東の日本(最近はそうでもないですが)。
アジアよりも西で生まれた水をこぼす、という意味で言えば、相応しいのはやはり東の果て、日本でしょうか。
しかし地理的な場所としてより、むしろ「アジアの中のどこでもない場所」と読んだ方が、歌がさらに広がる気がします。
こぼしたのは地図のさらに外側、とまで行くと、さすがに深読みしすぎかな。

「まっさら」「evian」「アジア」と、どことなく音が似通う語がさりげなく配置され、心地よさが増しています。

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