竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

鰯雲故郷の竈火いま燃ゆらん 金子兜太

2018-09-15 | 


鰯雲故郷の竈火いま燃ゆらん 金子兜太

竈火は「かまどび」と読ませる。望郷の歌ではあるが、作者はまだ若い。だから、そんなに深刻ぶった内容ではない。私が特別にこの句に関心を持つのは、若き日の兜太の発想のありどころだ。何の企みもなく、明るい大空の様子から故郷の暗い土間の竈の火の色に、自然に思いが動くという、天性の資質に詩人を感じる。兜太の作品のなかでは、あまり論じられたことがない句のひとつであろうが、私に言わせれば、この句を抜いた兜太論など信用できない。ま、そんなことはどうでもいいけれど、故郷の竈火もなくなってしまったいま、私などには望郷の歌であると同時に「亡郷」の歌としても読めるようになってきた。時は過ぎ行く。『少年』所収。(清水哲男)

【鰯雲】 いわしぐも
◇「鱗雲」(うろこぐも) ◇「鯖雲」(さばぐも)
巻積雲のこと。白い雲片の集まりで、さざ波のように空に広がっている。鰯が群れるのに似ており、鰯の大漁の予兆ともいわれる。「鱗雲」「鯖雲」ともいう。波のような白斑が、魚の鱗、あるいは鯖の背の斑紋に似ているためにそう呼ばれる。


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