竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

御仏に奉らむ紫藤花六尺

2017年03月31日 | 龍之介鑑賞
御仏に奉らむ紫藤花六尺




白梅や夕雨寒き士族町

寂として南殿さびしき春の雨

海遠く霞を餐せ小島人

徐福去つて幾世ぞひるを霞む海

饅頭の名も城見とぞ春の風

かたまりて木花黄にさくや雪解水

したたらす脂も松とぞ春の山

欝として黒松に春の朝日せる

雲か山か日にかすみけり琵琶の滝


今回からしばらく芥川龍之介を鑑賞したい
表題句はいかにも龍之介らしい
龍之介の背後にはっ常に仏様がおられる
背後と云うよりは共にお気付いているようでもある

六尺の見事な藤の房
この世のものにしてはあまりにも雅でいて寂しい華やかさだ
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求道のごとく箒目桜守 丈士

2017年03月29日 | 
求道のごとく箒目桜守



30分ほどの電車にのってS市の城山公園にでかけた
桜は綻び駆けていてのどかな春の日差しが気持ち良い

花見の準備もさかんでぼんぼりも用意万端
あとは開花を待つばかりというところ

桜を愛し桜を守るひとたちのご苦労を感じる

掲句は一度はつくりたかった桜守を句材にした1句
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毛糸帽ひとりが好きでさみしくて  丈士

2017年03月26日 | 
毛糸帽ひとりが好きでさみしくて



毛糸の帽子を被った高齢者は何故かひとりでいることが多い
雑多な諸事を離れてやっと一人の安寧がおとずれた
こよなくこの一人を愛して謳歌しているのだが
おとずれるこのさみしさはまた辛くもある


だいぶ時季外れの俳句だがご容赦
ある月刊誌での入選作
12月の投句が4月号に発表になる

発表前にはブログに掲載すると未発表作品にならないらしい
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春遅し泉の末の倒れ木も

2017年03月25日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(16)

春遅し泉の末の倒れ木も




雪嶺に覗く苗代かぐろしや

春の飛雪鉄路が踊り集まりゆく

わが肺も三色菫の鉢も寧し

風搏つや辛夷もろとも雑木山

馬車馬を春の驟雨が荘厳す

春逝くと冷き厚き苜蓿

はこべらや春二重なす妻の顎

蒲公英や懶惰の朝の裾さむし

鳰見つつ肩ぬくもりぬ彼岸過



10句の中で表題句を採った
泉の末の倒木
この表現に波郷ならではの心象を感じてならない
遅い春ではない 
永遠に春はこの倒木に巡り来ないのだとの思い


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肋切りし日ははや遠し蝌蚪見れば  波郷

2017年03月22日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(15)

肋切りし日ははや遠し蝌蚪見れば






麺麭屑を蝌蚪にやる他の生もなし

あかあかと雛栄ゆれども咳地獄

春嵐鉄路に墓を吹き寄せぬ

春嵐鳴りとよもすも病家族

一樹無き小学校に吾子入れぬ

捨菜の花墓群見ゆるばかりなり

松の蕊赤きとき又菌を出す

墓への道春の荷馬車に後れつつ

子の髪の春の捲毛や墓地の中


10句の中で表題句を採った
表題句の凄さに驚嘆する
ここまで自分を詠み切る精神の強さはどこに残っているのだろう
心は決して折れていない 病んでもいない

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首塚の由来は知れず犬ふぐり  丈士

2017年03月21日 | 
首塚の由来は知れず犬ふぐり



曝し首にされた時の権力者への反乱
平将門の伝説もあるが
名の知れぬ首塚は全国にある

弔う人も絶えてなくなっている
ただ小さな花をつける犬ふぐりが律儀に
毎年詣でているばかり
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天地に妻が薪割る春の暮

2017年03月20日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(14)


天地に妻が薪割る春の暮




死なざりしかば相逢ふも実朝忌

春昼の墓こゑもなし手鏡に


胸の上に雁ゆきし空残りけり

苜蓿の焼跡蔽ふことをせず

春夕べ襖に手かけ母来給ふ

蝶燕母も来給ふ死に得んや

蠶豆の花の吹降り母来て居り

月食の春夜を母も寝並べり

きらきらと八十八夜の雨墓に


10句の中で表題句を採った
今回の掲句はなんとも哀しいものばかり
採った句にすくわれた
私も療養の体験があるが
隣の寝台が空いた時の心の悲惨さは残酷だったのを忘れられない

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降る雪や傘にあまりて供華の枝  波郷

2017年03月15日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(13)

降る雪や傘にあまりて供華の枝





榛の青楊に幾日後れけむ

寝返りをうたんとするや春の雁

春立つや白衣の袖に小買物

消えがての雪や月夜を重ねけり

立春の米こぼれをり葛西橋

早春や道の左右に潮満ちて

風塵に羽搏ち連れたり春の雁

三月の産屋障子を継貼りす

春の夜の子を踏むまじく疲れけり


10句の中で表題句を採った
春の雪のやさしい静けさ
そして傘からはみ出しているいる大ぶりの花枝
療養中の波郷には
こんな心象風景も読んでいる
この供花の届け先は読者に委ねている

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紙雛この家にをみな妻ひとり 丈士

2017年03月14日 | 
紙雛この家にをみな妻ひとり



娘や孫で賑やかだった家も
二人になった
雛飾りも暫く仕舞ったままだ

この家に女性はは老いた妻だけなのだ
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最上川嶺もろともに霞みけり  波郷

2017年03月13日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(12)

最上川嶺もろともに霞みけり





遠足や出羽の童に出羽の山

山下りてもんぺ鮮し春祭

栃の芽や古雪を抽き捧げらる

縁談を措き来し旅の春惜しむ

こけし買ふ数の恋しき四月尽

手に足に蟻や国原霞みけり

国原や雪解の山のなだれあひ

花冷の簷を雲ゆく別れかな

花冷の顔ばかりなり雲の中


10句の中で表題句を採った
最上川といえば芭蕉の
「五月雨を 集めて速し 最上川」が浮かぶ
おそらく波郷もこの句を念頭に芭蕉に挑んだのではないだろうか

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散るさくら空には夜の雲愁ふ  波状

2017年03月12日 | 波郷鑑賞

石田波郷の春の句10句を鑑賞(11)

散るさくら空には夜の雲愁ふ




嗽霞を見つつ冷たかりき

春暁のまだ人ごゑをきかずゐる

自動車の深夜疾走し散るさくら


花の下双猫夜の翳におぼれ

春日染まり自動車あふれゆき昏れぬ

花の路地老婆唄うたひ暁けはじむ

新聞をいらち断れば散るさくら

朝飯をわづかに食へり散るさくら

花の路地をとびだせり童女を見送れり

10句の中で表題句を採った
夜の雲愁ふ が難解だ
散るさくらを雲が愁うという「だけではあるまい
波郷自身の療養の日常をも愁うのでは浅い

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梅の香や吸う前に息は深く吐け

2017年03月10日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(10)


梅の香や吸う前に息は深く吐け





春の雪点滴注射ゆるやかに

アネモネのむらさき面会謝絶中

立春より仰臥ひたぶるにつづけける

生き得たりいくたびも降る春の雪

箸通ふ春の人参仰臥食

白粥のこの頃うまし梅の花

草餅や石田氏水分摂取量

病む手もて腕撫でをり遊蝶花

芽苞散る白粥まじるものもなし



10句の中で表題句を採った
ほとんどが療養生活の句の「なかで
掲句は療養者でなくも実感できるものだ
しかしながらやはり結核療養中の波郷にとっての
梅香は格別の味わいだったのだと分かってくる

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春曙林来る灯のひとつ見ゆ  波郷

2017年03月08日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(9)

春曙林来る灯のひとつ見ゆ





立春の巨き鴉に驚きぬ

雪降るか立春の暁昏うして

はるかなる地上を駈けぬ猫の恋

夜は熱の無ければ起きて雛あられ

木移りをしきりに鳩や西行忌

鳩尾長総出の日なり彼岸前

師を仰ぎ春の彼岸の入盈ちぬ

師のかげに夫人は菫そと賜ふ

老師来ませしよりの日数よ菫籠



10句の中で表題句を採った
林の中の灯は最愛の奥様のことだろう
療養中の波郷にとって
奥様は全てなのだと知らされる
病を除けば波郷は幸せな男だったと思えてくる

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釣堀に水輪あふれぬ花の雨 波郷

2017年03月07日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(8)

釣堀に水輪あふれぬ花の雨






澎湃と富士の前山芽ぶくなり

水底にある水草や西行忌

ひとつ咲く酒中花はわが恋椿

病経てやや気弱にて椿市

臀並べたる女流らよ金鳳華

枝重りして咲ける椿や実朝忌

田螺和彼我死にゆきし者ばかり

彼岸の日朴の幹にも傷多し

三鬼忌の雹の水輪の大粒に


10句の中で表題句を採った
療養中の苦悩の句の多い中で
この句にはほっとさせられる
波郷自身も
この時はいっとき病を忘れていた
花の雨がなんとも良い

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芝焼く火ひろがりて妻隔てけり 波郷

2017年03月06日 | 波郷鑑賞
石田波郷の春の句10句を鑑賞(7)

芝焼く火ひろがりて妻隔てけり




墓の間に彼岸の猫のやつれけり

春もはや乙女らを焼く艇庫の日

行春や吾がくれなゐの結核菌

葛飾に歳時記を閉づ野火煙

紙漉の額のしろさよ梅日和

祝婚やミモザのもとに咳こぼし

とまり木に隠れごころや西行忌

春立つて十日の酒をこぼし合ふ

壁の絵の濤みどりなり春嵐


10句の中で表題句を採った
最愛の妻との距離を不安に思う
波郷の療養の心細い心境が分かりすぎるほどに分かります

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