竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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釣鐘のいぼの落ちたる松露かな (椎本才麿)

2018-09-07 | 


釣鐘のいぼの落ちたる松露かな (椎本才麿)

茸(きのこ) (秋の季語:植物)
     茸(きのこ・たけ) 菌(きのこ) 木の子 くさびら
     茸山(きのこやま・たけやま)

季語の意味・季語の解説
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 学生時代に描いた茸.jpg秋、雨の多い時期になると、湿った土や朽ちた木などに茸がたくさん生える。
 山国では、この茸を狙って、地元の人々が茸狩りに出かける。

 ただし、茸の中には、毒鶴茸(ドクツルタケ)のような食べると死に至ることもある危険な猛毒菌も存在するので、素人だけで茸狩りに行くのは危険。
 慣れるまでは、必ずベテランを同伴することが大切だ。

 かつて、松茸、網茸(アミタケ)、初茸(ハツタケ)、松露(ショウロ)など、土に生える茸はくさびらと呼ばれ、木に生える椎茸、舞茸(マイタケ)、滑子(ナメコ)、栗茸(クリタケ)などの木の子と区別された。

 土に生える茸は人工栽培が難しく、現在、研究段階である。
 これに対し、木に生える茸は、人工栽培が比較的しやすく、季節を問わず、賞味することができる。

 なお、一般にシメジとして流通している茸は、実は、平茸(ヒラタケ)など木に生える茸であり、本当の湿地(しめじ)は土に生える。
 この土に生える湿地を食さない限り、よく言われる「匂い松茸、味しめじ」の本義は理解できない。

 茸は、それぞれの土地の方言で親しまれていることが多く、筆者の地元では花猪口(ハナイグチ)を“じこぼう”、正源寺(ショウゲンジ)を“こむそう”と呼んで、よく取りに行く。

 ちなみに、右上の絵は、学生時代にスケッチした茸。
 上から、タマゴタケ、ハツタケ、ハナイグチ。


季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 茸は愛嬌のある形をしています。
 ですから、愛嬌のある俳句が出来あがるようです。

  釣鐘のいぼの落ちたる松露かな (椎本才麿)
      松露=しょうろ。軸に傘の乗る形はしておらず、丸い形をしている。

  初茸やひとつにゑくぼひとつづつ (雲津水国)
      初茸=はつたけ。分厚い傘を持つが、中央がへこんでいる。

  扇にてしばし数へるきのこかな (小林一茶)

 読み手がくすりとほほ笑むような一句が生まれるとしめしめですね。

 さて、次は私の俳句を紹介。
 天然の茸には、その茸が育った山の、落ち葉の香りが凝縮されています。

 そういう茸を、気心の知れた仲間と食べると、その土地への愛着と敬意が深まる気がします。

  呑兵衛も下戸も訛れりきのこ鍋 (凡茶)
      呑兵衛=のんべえ。酒好きのこと。  下戸=げこ。酒の苦手な人。      




参照 http://haiku-kigo.com/category/7332496-1.html
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