竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

虫の秋白くて長い長寿眉 流伴

2017年08月31日 | 
虫の秋白くて長い長寿眉



虫の音が盛りの季節だ
じっと寝床で耳をすます

少し耳の遠くなったのを自覚する昨今だが
蟋蟀も鈴虫もはっきりと聞き分けられる

去年よりも長くなったような白い眉毛を
しごいている自分がいる

2016年の原句
虫の秋わけなく顰め長寿眉

原句にほとんど変わらないが
中七わけもなく顰め
は意味がない
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露天から乗り出す五体渓紅葉 流伴

2017年08月30日 | 
露天から乗り出す五体渓紅葉



川沿いの露天湯のある温泉は多い
どこも紅葉の季節は賑わっている
秘湯といわれる地域も
ほとんどが秘湯の名を返上するほどの賑わいだ

谷底を覗く理由はないのだが
谷底を見届けようと
五体を乗り出す人が後をたたない
みな少年に戻りたいのだ


2015年9月の原句
渓もみじ秘湯に五体そまりきり

秘湯は余分な措辞だった
五体を染める これも平凡すぎる
掲句は紅葉に気分が高揚している
あたりが感じられれば成功だが・・・
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猪の泥浴の痕富士の野趣 流伴

2017年08月29日 | 
猪の泥浴の痕富士の野趣




富士の裾野、凡そ200kmを12回に分けて1年間で一周したことがある
旅行社のツアーだが元気な中高年で評判のツアーだった

その折丁度今頃の季節
猪の泥浴びの痕に遭遇した
なんとも野趣にあふれた光景に息を呑んだが
全員がいるはずもない猪を感じて周囲を見回したものだ


2015年9月の原句
猪の泥浴痕や富士一周

富士一周は句意に離れていると感じたので省き
猪の野趣を加えてみたが・・・
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星流る懺悔のあとの天主堂  流伴

2017年08月28日 | 
星流る懺悔のあとの天主堂




青の時代のひとこまだが
日曜日にしばしば訪れていた協会に
独りで夕方行ったことがある
懺悔の内容は記憶からは消えているのだが
帰りに振り返るとその協会の十字架の上を
はっきりとした流星が飛んでいた記憶は鮮明だ


2016年9月の原句
月の雨懺悔のあとの天主堂


月の雨と原句はしていたが
懺悔の後の心根を思えば
すっきりと星の飛ぶの季語がよさそうだ
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稲の秋新の頭巾の六地蔵 流伴

2017年08月27日 | 
稲の秋新の頭巾の六地蔵





稲穂は大きく頭を垂れて
収穫に時期が近い

豊作に感謝して
お地蔵様の頭巾を新しくする

こんな農村の風習がなんとも平和を実感させる


2016年9月の原句
地蔵尊頭巾を替へし秋の暮

収穫の感謝をはっきりとさせてみたが
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銀杏散る院の窓より小さき手 流伴

2017年08月26日 | 
銀杏散る院の窓より小さき手




獨協大学付属病院の銀杏は素晴らしい
妻の通院、友人の見舞いで何かと訪れる機会が多い

碧い銀杏の葉が色づきだすと早い
金色に輝く黄落が終わるとギンナン拾いの人々が現れる

その後は見事な冬木立
これも素敵だ

病院の窓からも入院の人たちの顔が覗ける
小さな手が元気に振れていると自然と顔がほころんでくる


2016年9月の原句
銀杏散る観る人掃く人拾ふ人

場所を特定して焦点を絞ってみたのだが・・・
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秋暁の橋杭巌に聖観音  流伴

2017年08月25日 | 
秋暁の橋杭巌に聖観音



和歌山県串本町の箸杭巌
1500万年前からの波の浸食による景観だ

日本の朝日百選にも選ばれる名勝である
朝日に映える奇岩の列

阿修羅のような巌のなかに
優しい聖観音が佇立している
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とうすみの風のほとりに来ておりぬ 流伴

2017年08月25日 | 
とうすみの風のほとりに来ておりぬ



とうすみは糸蜻蛉のことだが
ひらがなで「とうすみ」とするとより具象に近くかんじる

風のほとり に苦心して
辺 畔 を配しても見たが
句意からしてもやはりひらがなが正解のようだ
産経新聞㋇23日の宮坂静生選で採られたもの
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海亀の百度の泪卵百  流伴

2017年08月24日 | 
海亀の百度の泪卵百



季節に少し遅れた句になった
海亀の泪はなんとも深い
何年物大航海の末の産卵
大粒の涙は産卵の苦しみだけではあるまい
本懐をとげた達成感もあるが
一度に100個もうむといういのちの行く末
母の泪は一言では説明できるほど単純ではない


原句は2015年8月のもの
海亀の涙はいのち旅の果て
どうしても海亀の泪を1句にしたかった
漢字がゴテゴテしていて気になるが
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落蟬や水琴窟の遠い闇  流伴

2017年08月23日 | 
落蟬や水琴窟遠い闇 





あの蝉しぐれも収まって
今は蜩が元気だが
あちらこちらに蝉が落ちている
仰向けにそのほとんどは動かない

庭の角の水琴窟
ときおり澄んだ音を伝える

落蟬への挽歌のようだ



2015年㋇の原句
鳴き止んで待つかたちかな秋の蝉

待つかたちが捨てがたいが
水琴窟を摂り合わせてみた
蝉の哀れが詠めているだろうか
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爽気満つぶなの心音いよ高し 流伴

2017年08月22日 | 
爽気満つぶなの心音いよ高し 流伴




白神の照葉樹林での感動は今も鮮明だ
屋久島での屋久杉の威容も脳裏に深く刻まれている

秋は古木の充電期のようだ
樹肌に耳を当てればその心音は
あまりにも神々しい


2015年秋の原句 「千年杉秋の心音清しかり」
杉がぶなに変わり
苦労した季語が明確になったか?
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湖の秋ひと足ごとに色の濃く 流伴

2017年08月21日 | 
湖の秋ひと足ごとに色の濃く 流伴



富士の裾野を一周した経験がある
秋の山中湖
歩く一歩が景色を変える
そのひと足が秋に入り込むようだった

原句は「一歩ずつうつろう景や湖の秋」
旧作を推敲してみている
どうにもならない句もたくさんある
思い切って痕跡ごと
捨てるつもりだ
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手花火を命継ぐ如燃やすなり 波郷

2017年08月04日 | 波郷鑑賞
手花火を命継ぐ如燃やすなり




流伴鑑賞
当時は不治とされた肺結核を病んでいた波郷

この手花火の句はあまりにも正直すぎていて切ない
鑑賞するに説明は不要だ
「命を継ぐ」
その後のはかなく消えるきまり

波郷の夏の句を選んでみた

くらがりの合歓を知りゐる端居かな

ほととぎすすでに遺児めく二人子よ

七夕竹借命の文字隠れなし

六月の女すわれる荒筵

冷奴隣に灯先んじて

坂の上たそがれ長き五月憂し

女来と帯纒き出づる百日紅

弥撒の庭蚯蚓が砂にまみれ這ふ

悉く遠し一油蟬鳴きやめば

手花火を命継ぐ如燃やすなり

 
 
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天の川怒濤のごとし人の死へ 楸邨

2017年08月04日 | 楸邨鑑賞
天の川怒濤のごとし人の死へ



流伴鑑賞

天の川は秋の季語だが
七夕の強い印象から夏に読まれる句が多い
楸邨には「死」を詠んだ句が多いが
この句はなかでも秀逸と思われる
天の川にはロマンや夢や願のイメージが大きいが
楸邨は死を詠む
それも怒涛のごrとくである
言葉を失うほかはない

以下楸邨の夏の句を挙げる

つひに戦死一匹の蟻ゆけどゆけど

どこやらに硝子がわれぬ桐の花

みちのくの月夜の鰻あそびをり

天の川わたるお多福豆一列

天の川法螺吹き男ふとなつかし

天の川鷹は飼はれて眠りをり

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葛水の 冷たう澄みて すずろ淋し  鬼城

2017年08月03日 | 鬼城鑑賞
葛水の 冷たう澄みて すずろ淋し



流伴鑑賞
座五の「すずろ淋し」がなんとも良い
気持ち、触感、食感、周囲の風や景までを
この一言で一色にしてしまう
冷たい、澄む、すずろ、淋し
のサ行のひびきも計算されているようだ

季語 葛水
葛粉に砂糖を入れて葛湯を作りそれを冷した飲み物。
酒毒を消し、胃腸をととのえ、
渇きを止め汗の出るのを防ぐ効能がある。

以下鬼城の夏の句を参照されたい


蝉取りの ぢぢと鳴かして 通りけり

走馬燈 消えてしばらく 廻りけり

薬玉を うつぼ柱に かけにけり

夏夕 蝮を売って 通りけり

蛇穴や 西日さしこむ ニ三寸

青葉して 浅間ヶ嶽の くもりかな

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