竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

日だまりに来し方の染み柿落葉  流伴

2017年09月24日 | 
日だまりに来し方あらわ柿落葉



落葉は樹種によって序列のあるように規則正しい
桜に始まり銀杏、柿などは最後になる
落葉は冬の季語だが
桜落葉は晩秋の季語のように扱われる

柿落葉の染みは裏にも表にもあって無傷なものをみることはない
人の一生のように生き抜いた風雪を物語っている
人もまた皺や染みを顔や肌にあらわしている

陽だまりに落ちる落葉は老人の好きな日だまりだろうか


原句
生きざまの隠すことなし柿落葉
生きざまは生々しすぎる
隠すことなし も直接的表現すぎる
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七七日忌明けのもやに竜の玉  流伴

2017年09月23日 | 
七七日忌明けのもやに竜の玉



妻が弟の四十九日に実家へ行った
朝の日差しにけぶる
庭先には竜の玉

明けたるは朝と忌明けを通じさせるしかけだが


原句
暁闇やたしかに吐息濃竜胆
四十九日の具体的な設定をした
竜胆は竜の玉に変わるのは必然だった
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駒下駄の音軽やかに秋簾 流伴

2017年09月22日 | 
駒下駄の音軽やかに秋簾




暑い日差しを防いでいた簾も
この季節になるとまた別の趣がある

簾越しに映る景は澄んでいて爽やかだ
仰げば高い空はあくまでも青い

簾ごしに
ときおり聞こえる昼の虫も良い

京の小路には素足に駒下駄の芸妓が
小気味よい音を響かせる
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師をおくるバリトンサックス月の雨 流伴

2017年09月21日 | 
師をおくるバリトンサックス月の雨




俳句の手ほどきをしてくださったTT師がなくなって、おう3年
先日の偲ぶ会では
俳友の一人がバリトンサックスの演奏をした
彼の演奏会には師は必ず顔を覗かせていたという

おりからあいにくの雨だったが
月がおぼろにけぶっていて
素敵な会だった
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もの欲しき人にまつわる秋思うかな  流伴

2017年09月20日 | 
もの欲しき人にまつわる秋思うかな



いつまでも煩悩に囚われていると
愁思は離れない

煩悩の凡そは五欲が起因している

老いてくると五欲が薄れてくる
仏の導きかもしれない


五欲とは
仏教用語。5つの感覚器官に対する5つの対象,
すなわち形体のある物質 (色) ,
音声 (声) ,
香り (香) ,
味,
触れてわかるもの (触) をいう。
これらは,欲望を引起す原因となるので五欲という。
また,財欲,色欲,食欲,名誉欲,睡眠欲を五欲という場合もある。
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長屋門風になびかぬ猫じゃらし 流伴

2017年09月19日 | 
長屋門風になびかぬ猫じゃらし





朝散歩は気分屋転校によって道筋を変える
今朝は久方ぶりに刈田になった畦道を抜けて北へ向かった
難題もつづく大きな農家がある
立派な長屋門が健在だ
この門の開放されたのを見たことは無い
長屋門の脇に小さな扉から家人は出入りするのだろう

長屋門の前には猫じゃらしが密生していた
頑固に父祖伝来の農家を死守している主を想像する

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さかずきに女の揺るる今年酒 流伴

2017年09月18日 | 
さかずきの女の揺るる今年酒




新酒は今年酒とも言って
新米を醸造したものだったが
現在はほとんどが寒造りのようだ

新酒には格別の味わいで
一人良し、また友良しである
遊び心を囃すような杯もご愛敬だ


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末枯れや尖ったままでは生きられぬ 流伴

2017年09月17日 | 
末枯れや尖ったままでは生きられぬ



旺盛な生命力を誇示していた夏草も
晩秋になると冬支度の様相をみせる
彼て尖った刃先のような葉も萎えて色を変える
決して果てるのではなく冬の用意なのだ

尖るのも丸くなるのも生きる術と知る
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晩節の始めは知れず桐一葉 流伴

2017年09月16日 | 
晩節の始めは知れず桐一葉




晩節は人生の終わりのころ、晩年を総称するものだが
その始点は定かではない
老年がそのまま晩年でもない
寿命も長くなってくると晩節は途方もなく長いものになる
私の晩節はいつから始まったのだろう
そしていつまで続くのだろう
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小半刻外人墓地に秋の暮 流伴

2017年09月15日 | 
小半刻外人墓地に秋の暮



横浜は故郷だ
身は都会に住んでいて
故郷は懐かしい句さの匂いがするのが普通だが
私は逆に田舎に現在住んでいる

時折ヨコハマを訪ねるが
外人墓地、港の見える講演は外せない
秋の夕べ小半時は動けない

原句
外人墓地ひとつひとつの秋日影

石畳のひとつひとつに濃い影を発見したのだが
あまりにも句意が平易でおもしろくない
時間の経過を表現しようとしたところ
季語を変えることとなった
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秋霖や粗石の列ぶ殉死の墓(き) 流伴

2017年09月14日 | 
秋霖や粗石の列ぶ殉死の墓





日光には多数の寺院がある
諸般の大名を祀った寺もあって
その寺の門外に粗い石が並んでいたりする
身分の低い家臣の殉死者の墓である
しとしとと秋の長雨は
彼らをやさしく慰めているかのようだ


原句
首塚や木の葉時雨のしとどなる
首塚を殉死の墓(き)に
木の葉時雨を秋霖とした
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知りたるを神妙に聴く菊の酒  流伴

2017年09月11日 | 
知りたるを神妙に聴く菊の酒




老いては子に従えは名言だ
幼い子供らに話したり教えたことを
その子供が一生懸命に語っている
初めて聞くふりをして感心してみせる
こんな時の酒は格別な味わいでもある

陰暦9月9日の節供。
五節句の一つ。九の数は陽とされその九の重なることをめでたいとした。
この時群臣に賜る酒を「菊の酒」といい、季語とされる

原句
菊の酒知ってても知らぬふりの知恵

句意は同様だが表意を工夫してみた
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黄落の走り根つづく奥の院  流伴

2017年09月10日 | 
黄落の走り根つづく奥の院



日光の奥の院は眠り猫の脇から狭い道を上る
この急な坂の風情が四季おりおりになかなか良い
冬の雪道も良いがやはり秋が最も味わい深い
走り根を踏みながら黄落を身に受けてすすむ
行きつくとあっけないほど粗づくりの奥の院がある

原句

走り根の階のぼる紅葉やま


紅葉山を具体的な地名にした
奥の院は日光の外にも共通するだろう
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菊花展拍手の外の鼻ほじり 流伴

2017年09月09日 | 
菊花展拍手の外の鼻ほじり




菊花展は丹精の菊鉢を持ち寄っての悲喜交々のドラマがある
表彰式では得意の人、失意の人があきらかで切ない

てれかくしの鼻ほじりの彼は得意か失意か
原句
ぽつねんと鼻ほじりなど菊日和

鼻ほじりの人を
菊鉢の出品者にしてみたら面白くなった
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龍神の総身はいかに鱗雲 流伴

2017年09月08日 | 
龍神の総身はいかに鱗雲



秋天の鰯雲には懐かしい少年期が蘇る
少年時代に補注網を持って
走り回っていた頃の空の記憶だろうか

鰯雲より厚ぼったい鱗雲
いつも竜の鱗のように感じる
空をゆうゆうと泳ぐ竜も澄み切った
秋空の空気を満喫しているようだ
茜色の鱗雲には息をのむ

原句
龍神に空はせまさう鱗雲

「空はせまそう」があまりにも平易だったようだ
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