竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

空耳の遠く近くに春の風邪  たけし

2018年04月22日 | 
空耳の遠く近くに春の風邪



春先の寒暖の差は大きく
寝込むほどではないものの
風邪気味の人は多く
私などはこの期間中ほとんど風邪をひいている

神経の異常な過敏さだろうか
空耳に反応して
家人にいつも呆れられる(笑)

2018/4/22
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春の雨ささず終ひのをんな傘 たけし

2018年04月21日 | 
春の雨ささず終ひのをんな傘




別れ際にふり出した雨
差し出された傘を借りて歩き出す

濡れながら傘は開かないで小走りする
ついにささないままの傘
返すための再会はない

発表 2015/3/15
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春の雨一樹の仮宿逸れ鳥 たけし

2018年04月20日 | 

春の雨一樹の仮宿逸れ鳥



北へ帰る鳥の群
なかには逸れる鳥もいるという
残り鴨などともいうらしい

気まぐれな春の天候
春雷とゲリラ豪雨に行く手を阻まれた
逸れ鳥が木立に潜んでいるような



初案 2013/4/15
春の雨一葉をゆらし逸れ鳥

一葉では身を護れない
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春炬燵幼きころの雨の音  たけし

2018年04月19日 | 
春炬燵幼きころの雨の音




炬燵が我が家から姿を消したのはいつだったか
知人宅を訪ねても炬燵に招かれることはなくなっや

炬燵に入ると誰もが家人のようになる
心身が文字どうり温まる

春の炬燵にまどろんでいると
サワサワと雨の音
耳に残っている幼少期の雨音に変わらない



初案 2014/2/15

雨だれに齢さかのぼる春炬燵
齢さかのぼるが散文的だった
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春北風やまたもや届く訃の報せ たけし

2018年04月18日 | 
春北風やまたもや届く訃の報せ




年々郵便物が少なくなってくる
高齢者向けの販促物も
購入を抑えていると減ってきた

ポストは新聞と町内の回覧板の受け取り用だ
時に葉書が来れば
訃報であったり欠礼通知だったり

今年はもう三度もこんな思いをしている

初案 2014/3/15
春北風訃報の葉書三枚目
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従きまわる孕み雀やトラクター たけし

2018年04月14日 | 

従きまわる孕み雀やトラクター




今は田起こしの季節だ
天気の良い日はトラクターが田を縫うように動く
見ればその後ろにはいくつもの雀がついて回っている
トラクターに起こされた土から
さまざまな生き物が這い出てくる
雀はそれを狙っているのだ

おなかの卵への母性だろうか
巣で待つ雛への夕餉だろうか

初案 2015/4/15
トラクター孕雀の従きまわり
句意は全く同じ
何としても残したい一句なので工夫したが
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花は葉に媼ひとりの東慶寺 たけし

2018年04月13日 | 
花は葉に媼ひとりの東慶寺



鎌倉の東慶寺は縁切寺として名高い
桜も葉さくらになると人影もまばらだ

新緑がまぶしいほどに輝いている
しっかりと和服を装った夫人にであう

物静かな物腰に
ひとりの女性の来し方を覚える


初案5/15/2013

花は葉に媼ひとりの東慶寺
「女」を「媼」に添削した
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花筏見澄ますさきに鯎かな   たけし  

2018年04月12日 | 
花筏見澄ますさきに鯎かな




芭蕉記念館は隅田川沿いにあって
句会の後、連れ立って堤を散策した
散る桜は川面に流れて花筏をつくっていた

江戸の大川淵をそぞろ歩きとは行かないが
釣竿を凝視の釣り人が数人

花筏の陰からこちらを覗いているのは
うぐいのようだ
これは江戸の時代と変わらない


初案発表 2017/4/14
花の塵うぐい見澄ます竿の先
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春寒し結び目ゆるむ黒ネクタ  たけし

2018年04月11日 | 
春寒し結び目ゆるむ黒ネクタイ




桜前線も北へ去って
ときには初夏のような陽気の日もある

知己の訃報が連絡網で伝わってくる
こればっかりは待ったなし
先送りは許されない

黒のネクタイは何度締めても上手に結べない
結び目のゆるみを気にしながら斎場へ向かう

春はもう終わりなのになんとも寒い


発表 2018/3/14

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狐目の縄文ヴィーナスとゐるおぼろ  たけし

2018年04月09日 | 

狐目の縄文ヴィーナスとゐるおぼろ




茅野市の 文化財課 尖石縄文考古館 を
訪ねたのは10年ほど前の春だった

ローマのあの肉感的なヴィーナス異常に肉感的だが
いかにも日本的に香しくその違いに驚愕だった
眺めているうちになんとも暖かい安楽気持ちにつつまれてくる

その深い慈愛満ちたし眼差しは
千古に通じる真闇を見てきた

千古を通じてヴィーナスには
その狐目に映ったものはみなうつろにおぼろに過ぎ去った

一時間程の見学だったが他に見学者もいないこともあって
ヴィーナスとの対面は
悠久の時空を感じさせた

この気分こそ「おぼろ」に違いないと納得した


初案のまま7 2017/3/20 



【朧】 おぼろ
◇「朧夜」(おぼろよ) ◇「草朧」 ◇「鐘朧」 ◇「影朧」 ◇「家朧」 ◇「谷朧」 ◇「橋朧」 ◇「庭朧」 ◇「灯朧」(ひおぼろ) ◇「朧めく」
春は大気中に水分が多いので、物の姿が朦朧とかすんで見える。朧は霞の夜の現象である。ほのかなさま。薄く曇るさま。
例句 作者
葛の桶朧の生れゐるところ 長谷川 櫂
嫁といふ不思議な人とゐておぼろ 清水美代子
おぼろ夜の昔はありし箱まくら 能村登四郎
おぼろ夜のうどんにきつねたぬきかな 木田千女
ふふみては酒の名を問ふおぼろかな 吉野義子
草朧九郎判官主従かな 岸田雨童
灯ともせば外の面影なき朧かな 富田木歩
自らを緊めて朧の壺の音 河合凱夫
朧夜や殺して見ろといふ声も 高浜虚子
朧夜の蛇屋の前を通りける 山口青邨
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