竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

小半日鉈研いでいる文化の日 流伴

2017年10月08日 | 鬼城鑑賞
小半日鉈研いでいる文化の日



文明文化の進歩は人類に
大きな貢献をしてきたと思われるが
何時の頃からかその役割は人類の劣化を助長させたのではないか
人工知能の可能性よりも
研ぎたての鉈に信頼はゆるぎない

掲句はあながちパロディではない

原句
文化の日剪定鋏新調す
句意は掲句と同様だが
剪定鋏よりも鉈のほうが句材に近い
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能舞台色なき風の舞いにけり

2017年09月25日 | 鬼城鑑賞
能舞台色なき風の舞いにけり





足利のある割烹料理店には
古びた石段を上ると能舞台がある
句会で利用したおりに
笹の葉の戦ぎの音に
突然と現れて息を呑むほどに驚いた

原句
一笙の秋の初風いざなえる
無人の能舞台
笙の音が聞こえる風情だったのだが
ちょっと無理だった
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葛水の 冷たう澄みて すずろ淋し  鬼城

2017年08月03日 | 鬼城鑑賞
葛水の 冷たう澄みて すずろ淋し



流伴鑑賞
座五の「すずろ淋し」がなんとも良い
気持ち、触感、食感、周囲の風や景までを
この一言で一色にしてしまう
冷たい、澄む、すずろ、淋し
のサ行のひびきも計算されているようだ

季語 葛水
葛粉に砂糖を入れて葛湯を作りそれを冷した飲み物。
酒毒を消し、胃腸をととのえ、
渇きを止め汗の出るのを防ぐ効能がある。

以下鬼城の夏の句を参照されたい


蝉取りの ぢぢと鳴かして 通りけり

走馬燈 消えてしばらく 廻りけり

薬玉を うつぼ柱に かけにけり

夏夕 蝮を売って 通りけり

蛇穴や 西日さしこむ ニ三寸

青葉して 浅間ヶ嶽の くもりかな

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念力のゆるめば死ぬる大暑かな  鬼城

2017年08月02日 | 鬼城鑑賞
念力のゆるめば死ぬる大暑かな



季語:大暑ー夏  出典:大正6年版鬼城句集  年代:大正5年(1916年)以前
「言語道断の今年の暑さである。
常人といえども、
もし肝心の念力のゆるむ者がいたら、
その者は直ちに病んで
死んでしまうに創意ない。の意」(中村草田男)

流伴鑑賞
なんとも歯切れのよい断定だ
読者に有無をいわせない強さが心地よい
大暑のなかで頑張っている者へのエールにも聞こえる
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夏草に這上がりたる捨蚕かな  鬼城

2017年08月01日 | 鬼城鑑賞
夏草に這上がりたる捨蚕かな



季語:夏草ー夏  出典:大正6年版鬼城句集  年代:大正3年(1914年)
絶望視され、捨てられた小さな命(捨蚕)が、
夏の日の下にのび茂る夏草の上に、
いつか這い上がっている。
(捨蚕:病気にかかったり、
発育不良の蚕は、野原や川に捨てられる。)

流伴鑑賞

捨蚕の
死んでたまるか
鬼城自身の気迫を感じさせる
小さな命の必死な生命力が伝わってくる

村上鬼城
俳人。東京生。
名は荘太郎。鳥取藩士小原平之進の子、母方の村上家の養子。
初め司法官を志したが、耳疾のため代書人となる。
のち正岡子規・高浜虚子に師事、渡辺水巴・飯田蛇笏・前田普羅らと並んで「
ホトトギス」における代表的俳人として活躍した。昭和13年(1938)歿、74才。
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