竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

とうすみの風のほとりに来ておりぬ 流伴

2017年08月25日 | 
とうすみの風のほとりに来ておりぬ



とうすみは糸蜻蛉のことだが
ひらがなで「とうすみ」とするとより具象に近くかんじる

風のほとり に苦心して
辺 畔 を配しても見たが
句意からしてもやはりひらがなが正解のようだ
産経新聞㋇23日の宮坂静生選で採られたもの
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海亀の百度の泪卵百  流伴

2017年08月24日 | 
海亀の百度の泪卵百



季節に少し遅れた句になった
海亀の泪はなんとも深い
何年物大航海の末の産卵
大粒の涙は産卵の苦しみだけではあるまい
本懐をとげた達成感もあるが
一度に100個もうむといういのちの行く末
母の泪は一言では説明できるほど単純ではない


原句は2015年8月のもの
海亀の涙はいのち旅の果て
どうしても海亀の泪を1句にしたかった
漢字がゴテゴテしていて気になるが
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日雷さざれ波よす手水鉢 流伴

2017年06月25日 | 
日雷さざれ波よす手水鉢



梅雨明けも近い
夕暮れ時になると遠雷も毎日のようになるが
炎昼に突然の雷があることがある
雨を伴わないものだがその音は凄まじい
先日は寺の手水鉢の水が波がたった


夏の革ジャンハーレーダビットソン



吟行の途中で立ち寄った道の駅
あの刺激的なハーレーのエンジン音が聞こえる
60才見当のライダーが革ジャンパーで
まさにスタートの瞬間だった
3回ほどアクセルをふかして
立ち去る姿はなんとも格好良かった


キャンプ場まだ踊れそうオクラホマ


聞き覚えのあるあのオクラホマミキサー
湖畔のキャンプ場で若者が踊っている
この曲は今でも使われていることにただ嬉しくなる
次々とパーヨナーが入れ替わる形もおんなじだ
気持ちはもう一緒になって踊っている
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ハンモック宙の深みへ運ばるる 流伴

2017年06月24日 | 

ハンモック宙の深みへ運ばるる






ハンモックのあの心地よい感触を忘れない
宙と地の間に漂う
不安定な揺れは
億年の記憶に残っている原体験なのかもしれない
しばらく現世を忘れる特権を得たる気分になる



千社札振り出し竿に大守宮


あの山門の天井にところせましと貼ってある千社札
貼り付ける道具を「振り出し竿」という
竿の先に札を取り付けて張るのだが
それなりの作法が決まっているという
守宮は驚いたり竦んだりのことだろう


山の宿瀬音に沈む女梅雨 

昨夜の蛍は見事だった
そんな思いも覚めやらぬ山宿の朝
明けやらぬ露天湯はしずかな雨
瀬音を聞きながら雨にも濡れて湯に沈む
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送り梅雨腑分けのやうな形見わけ 流伴

2017年06月23日 | 
送り梅雨腑分けのやうな形見わけ






梅雨明けの近い頃になると
残りの雨を使い切るかのように
激しい雨に風
時には雷鳴に稲光があったりする

こんな中、故人の遺品を整理している
形見分けを選んだりもするが
なかなか捗るというものでもない


万緑に頭を抜ひて摩崖仏



夏のトレッキングは辛いが
夏ならではの達成感もある
万緑のなかを進む
標高が高いのと木立のつくる緑陰が涼しい
突然視界が大きく開ける
見上げるとそこには巌まるごとの仏様


むずる嬰々夏座布団の薄締めり

生後間のない赤ん坊がむずっている
泣くわけでもないのだが非常に不機嫌だ
扇風機はまわっているが気温も湿度も高い
寝かされている座布団が湿っているのかもしれない
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天の川クルーズ船に喜寿の妻 流伴

2017年06月22日 | 
天の川クルーズ船に喜寿の妻




結婚して金婚の年月も超えた
今は荒海を乗り切った戦友のようなクルーの妻と
穏やかな余生を楽しんでいる
故里ヨコハマでのナイトクルーズでの
妻の笑顔はとびきりった


ひもすがら三猿となる日永かな


夏至もすぎて日永の毎日
訪ねるでなく訪ねられるでない毎日
気が付けば三猿のような毎日だ


朴の花なにもかくさず月光下

大きな朴の花がいくつも咲きだした
日暮れになると大きな白さが際立ってくる
月光の下
その露わな肢体はかくすもののない
自信にみちている
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忠魂碑灼けたまんまに夏の蝶 流伴

2017年06月21日 | 
忠魂碑灼けたまんまに夏の蝶





夏蝶は色鮮やかで大きい
揚羽などは顔の近くを通ったりすると風を感じる
その大きな蝶が色褪せて忠魂碑に止まっている
炎熱にそのまま灼けて死んだのだ
忠魂碑が哀しい また8月がやってくる

騙したか騙されたのか蛍の夜



蛍の飛び交うさまは幻想的だ
それを観ていると此方も現実を乖離する
なんとなく事件のおきそうな期待
騙されても許しそうな危険な感情もたしかにある



十薬と呼ばれまたの名地獄蕎麦


どくだみは十薬と呼ばれ
昔から重宝されている
薬はもちろんお茶にしても喜ばれる
強い匂いはは薬効の確かさを語る

一方であの何処へでも繁生することが嫌悪される
地獄蕎麦の名の由来はその根の強さの事らしい
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大仏や薔薇の名前に桜貝 流伴

2017年06月20日 | 
大仏や薔薇の名前に桜貝



鎌倉の大仏は何にでもよく似合う
この季節は紫陽花だが、薔薇の展示会をしていた
なんと名札のひとつには「桜貝」
その花弁はほんとうの桜貝以上に桜色だった



父の日の笑顔遺影にふさわしく



父の日に子供らがやってきて
ひとしきりの談笑
記念の写真を撮ったりする
この日の私の笑顔は破顔100%
遺影の候補作ができそうだ



ほうたるのゐのちのかぎり闇の黙




蛍の命の灯り
せつなくも哀しいが
その漆黒の闇の舞台こそ蛍の舞に相応しい
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檀那寺の曝書に雑じり幽霊図 流伴

2017年06月19日 | 
檀那寺の曝書に雑じり幽霊図





現住居地に転居して40年になる
横浜から墓所を移して35年
葬式も2度お世話になったお寺さん

経典や寺の蔵書の虫干しを手伝った
なんと「幽霊図」がその中にあったのには仰天だった



嘘泣きがもう止まらない夕蛙


子供は大人の顔色をみるのに特異な才能をもつ
泣いたり笑ったりは計算づくのようでもあるが
時に策に溺れて間違える
こうなるとひっこみがつかない

外語交う寺の石段片陰り


古都鎌倉には外人観光客が珍しくなくなった
山門へつづく石段
木陰のできる片側に列ができて行儀よく進む
長い列の彼方此方でたくさんの外国語が飛び交っている
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山小屋にいつもの媼渋団扇 流伴

2017年06月18日 | 
山小屋にいつもの媼渋団扇



あの小母さん元気かな
山小屋の小母さんのあの甲高い大きな声
もう80才近くのはずなのだが毎年元気に迎えてくれる
山菜中心の晩飯がまた旨い
台所わきにはもう何年も使いまわしているだろう
渋団扇があるはずだ

捕虫網遠目に追ふや戦中派


昭和18年は戦争の真っ最中
私はこの年に生まれた
ひもじい幼年時代がつづいたはずだが
不思議とそのひもじいという記憶はない
捕虫網をかざして野原を駆けまわったり
蛙の卵を探ったりの記憶が夏になると蘇る
捕虫網をもった少年をみたりすると
遠目に彼をずっと追いかける


心太厭な話はとどまらず


心太をひとりで食することはない
最近はコンビニなどで手軽に手に入るが
外出先でも家庭でも必ず相伴の相手がいる
不思議なことに嫌な話は
いつのまにか消えている
脳裏には心太の原体験があって
厭な話はきっとひとつとしてなかったのだろう
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高層ネオンこれを山河と羽抜鳥

2017年06月16日 | 
高層ネオンこれを山河と羽抜鳥



産土は横浜
仕事の関係で各地に移り住んだが
高層のビル街やまたたくネオンに
郷愁を感じる不思議
そうか私にとってはこれが山河なのだった

日雷はぐれ鴉に見合ひたる

気象異常が普通になってきている
雷雲の発生は毎日で
烏も山に帰るタイミングに苦労のようだ
一羽のはぐれ鴉が雷鳴にたじろいでいる
同じく驚いて家路を急ぐ私と目が合った

こみあぐる老ひの童心あめんぼう


あの重力を全く感じさせないあめんぼう
大変な磁力を持っている
寺社などにある大きな水瓶
あめんぼうが空の雲を見下ろしている
じっと動かない
いつのまにか水瓶の周りには人が集まっている
童心がこみあげてきて誰も動かない
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きのうけふたいらのあした夕端居 流伴

2017年06月15日 | 
きのうけふたいらのあした夕端居




今日は何日、何曜日?
夫婦で交わす毎日のような会話である
何日でも何曜日でも特に何ということもない
物足りないこともあるがそれは
心の貧しさの証明
老後が毎日平らに過ごせること以上に何を欲しがっているんだ
と自戒する



宿浴衣少しゆるめの上気かな


温泉地への旅行では気持ちが上気す
非日常にはなんらしかの刺激がともなう
飲酒も普段よりは量がかさむ
素肌に着る浴衣の肌触りも格別だ
胸をはだけてゆるめに着るのはいつものことだ


狼藉のかぎりに果てし凌霄花


この花の狼藉ぶりは目に余る
あとさきを考えないで上へ上へと伸びる
派手な濃い橙色の花は大きい
その花の散ったあとの様子は凄まじい
元気なやんちゃ坊主の遊んだあとのようだ
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美しき射位の少年夏袴 流伴

2017年06月13日 | 
美しき射位の少年夏袴





孫が中学生になって弓道部に入部
その年の夏の新人戦に出場した
いつものJ君とはまるで違う姿に息をのむ思いだった
彼は現在大学4年生になっている


かたくなに唯我独尊ひきがえる



あの蟇のふてぶてしい顔とふるまいは
唯我独尊の悟りのようだ
いつだって己が意思で行動する
後悔もなければ逡巡もない

大旱や遺跡niまがふダムの底


吟行で奥日光の湯西川温泉に行った
途中湯西川ダムにて小休憩をとった
万緑のなかにあるそのダムは渇水の極み
遺跡のように小学校がダムの底から現れていた
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箸一本急くなの教え心太 流伴

2017年06月12日 | 
箸一本急くなの教え心太




心太を箸一本で食する風習がある
地方によって違うところもあるが
一本箸が主流であることに相違はなさそうだ
安価な食物なので箸2本は出せない
心太は柔らかいので2本では力が入り過ぎてちぎれてしまう
とか諸説があるが
私は心太を味わうときぐらいは
まあ、ゆっくりゆっくり
と日頃の忙しさを諫めているのだろうと解釈している



贈られて口の強張る父である


父親は子供に対しては常に保護者で供給者である
子供に与えることで父親を実感し
子供の喜色を至上の喜びとしてきた

父の日なるものに
子供から何某かの贈り物を頂くことになって久しい
その度に言葉を探すのに手間取って
真面に礼を云えたことがない


転生のひと突きで足る心太


心太を押し出す四角い道具を「てんつき」という
あのこんにゃくのような四角い塊が
そのてんつきを通ると
一瞬に姿容 触感 食感を変える
まるで転生のようだとはちと大げさか
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はらからの間合いのちぢむ初盆会 流伴

2017年06月11日 | 
はらからの間合いのちぢむ初盆会





故人の一周忌、三回忌などは身内外の人もみえるが
初盆会はほとんどが身内である

日頃は疎遠の兄弟姉妹が
故人を偲びながら様々な話で盛り上がる

こんな身内の距離を近づけるのも仏様の功徳だと云われる
つくずくありがたいことだと思う



羽化のごと上掛けを蹴る子の素足



真夏の寝苦しい夜
小さな子供たちも同じである
気付くと蒲団を剥いで両の素足は畳の上だ
子供の成長を感じる一瞬でもある
羽化のようだとは大げさかな

焦げ痕のあの日のままに蟬時雨


熱暑のあの8月の空は炎熱に燃えた
大空襲、原爆、B29の爆音
彼の地には亡くなった人の影が焼き付いた石が保存されている
蝉の声が焦げたように聞こえるのは
あながち気のせいだけではないだろう
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