竹とんぼ

先達の秀句を味わいながら
自得の一句を求めて多作多捨です
古希すぎの晩学で楽しみながらの遅々緩歩です

山がひの杉冴え返る谺かな

2017年04月18日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句8

山がひの杉冴え返る谺かな




更けまさる火かげやこよひ雛の顔

薄曇る水動かずよ芹の中

冴え返る枝もふるへて猿すべり

冴返る隣の屋根や夜半の雨

冴え返る身にしみじみとほつき貝

町なかの銀杏は乳も霞けり

雪どけのなかにしだるる柳かな

午もはやするめ焼かせよ藤の花

盆梅の枝にかかるや梅のひげ
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春雨や檜は霜に焦げながら 龍之介

2017年04月17日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句7


春雨や檜は霜に焦げながら







春雨や霜に焦げたる門の杉

春雨や霜に焦げたる門の杉

山吹やしどろと伸びし芝の上

山吹や雨に伏したる芝の上


花ちるや踏み枯らしたる芝の上

矛杉や霜に焦げつつ春の雨

藤の花雫とめたるたまゆらや

竹の秋茜の産衣ぬひけらし

ちらほらと田舎の花や茶のけむり

鉢前の著莪もしどろや別れ霜




表題句と本文の第1句
2句目と3句目はほとんど似ている
両句を発表しているが現代では認められないところだろう
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春寒やのび損ねたる日陰独活 龍之介

2017年04月12日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句6


春寒やのび損ねたる日陰独活





白酒や障子さしたる風曇り

沈む日や畑打ちやめば海の音

蜂一つ土塊噛むや春の風

春寒き小包解けば和布かな

軒先に和布干したる春日かな

桃煙る中や筧の水洩るる

春雨や作り木細る庭つづき

ゆららかや杉菜の中に日は落つれ

春に入る柳行李の青みかな


のび損ねたる の措辞に龍之介の心情が現れているようだ(丈士)
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水朧ながら落花を浮べけり  龍之介

2017年04月05日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句4

水朧ながら落花を浮べけり






夜桜や新内待てば散りかかる

遠火事の覚束なさや花曇り

白木蓮に声を呑んだる雀かな

この頃や戯作三昧花曇り

残雪や墓をめぐれば竜の髯

春返る竹山ならん微茫たる

大風の障子閉しぬ桜餅

陽炎にもみ消されたる蝶々かな

菩薩名は心王と申す春の風
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暖かや蕊に蝋塗る造り花

2017年04月04日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句3

暖かや蕊に蝋塗る造り花





酒饐えつ日うらの桜重ければ

遅桜卵を破れば腐り居る

冷眼に梨花見て轎を急がせし

人行くや梨花に風景暗き村

流るるは夕鶯か橋の下

熱を病んで桜明りに震へゐる

裸根も春雨竹の青さかな

この匂藪木の花か春の月

暖かや蕊に蝋塗る造り花

草の戸の灯相図や雉ほろと
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初花の疎らに昼の曇りかな

2017年04月03日 | 龍之介鑑賞
芥川龍之介鑑賞 春の句2

初花の疎らに昼の曇りかな




病間や花に遅れて蜆汁

山藤や硫黄商ふ山の小屋

春雨の雨脚見えず海の上

冴返る燕の喉赤かりし

大寺は今日陽炎に棟上げぬ

糸桜かすかに昼の曇りかな

夕闇や枝垂桜のかなたより

花とぶや加茂の小路の夕日影

負うた子のあたま垂るるや初蛙


疎らに昼の曇りかな
龍之介の措辞はなんとも憎い
花曇りといったら句にはならない(丈士)
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御仏に奉らむ紫藤花六尺

2017年03月31日 | 龍之介鑑賞
御仏に奉らむ紫藤花六尺




白梅や夕雨寒き士族町

寂として南殿さびしき春の雨

海遠く霞を餐せ小島人

徐福去つて幾世ぞひるを霞む海

饅頭の名も城見とぞ春の風

かたまりて木花黄にさくや雪解水

したたらす脂も松とぞ春の山

欝として黒松に春の朝日せる

雲か山か日にかすみけり琵琶の滝


今回からしばらく芥川龍之介を鑑賞したい
表題句はいかにも龍之介らしい
龍之介の背後にはっ常に仏様がおられる
背後と云うよりは共にお気付いているようでもある

六尺の見事な藤の房
この世のものにしてはあまりにも雅でいて寂しい華やかさだ
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