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【米銀が危機回避策を米政府ではなくFRBに頼るのは…】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑨

2020-05-25 00:22:57 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、いまや第一の米国債ホルダーとなったアメリカの中央銀行FRBは、そもそも民間資本(である米各地区の連邦準備銀行の上位組織)であるため、本稿タイトルのような、政府債務を減らすために中銀に債権放棄をさせるという策はアメリカでは成り立ちません。そりゃそうでしょう、FRB(各連銀)の株主は100%民間企業―――正確には米欧金融機関(内訳等は非公開)―――であるがゆえに、この債権放棄はその株主である米欧金融機関にとって貸し倒れ損失になってしまうのですから。そのへんがアメリカと日本などとのけっこうな違いかな、と考えています。つまり上記策の場合、アメリカの場合は損害を被る側(FRB≒米欧金融資本家[政府出資ゼロ])と利益を得る側(政府≒国民)が異なるのに対し、日本などの場合は前者(日銀≒政府出資55%≒国民)と後者(政府≒国民)が同じで損害と利益が相殺消去される、といったようなことです。

 このあたり、金融危機が発生したときの対応にも微妙な差が出てくるところかと思っています。こちらの記事等でも書いたように、20世紀末、バブル崩壊後の同危機に直面したとき日本は、債務超過に陥った大手銀行(当時)のいくつかの破綻を容認するとともに、過小資本にあえぐ残りの銀行に巨額の公的資金を否応なく注入し、「失われた20年」などとも表現される長い年月をかけてこれを回収して乗り切ったわけですが、他方、これによって銀行の経営者らの多くは(理不尽な思いを抱きつつも)退陣せざるを得ず、その株主や債権者は大きな損害を被ったことになります。で、いまアメリカ(をはじめとする日本以外?のすべての国々?)は当時の日本・・・をはるかに上回るスケールのバブルの末期、あるいはその崩壊過程にあり(?)、このままだとその金融システム深刻な局面を迎えざるを得ない?でしょうが、これへの対処としては、やはり公的資金を使って・・・

 ・・・って、少なくともアメリカにはそれはできないでしょう。その最大の理由は、本ブログで何度も指摘しているとおり、米政府には上記に必要とされる公的資金額(≒米銀のB/Sに開いた穴[債務超過額])の規模がデカすぎて用意できないため。そして別な理由としては、上記の公金での救済に(米国民はもちろん)金融機関の側もネガティブであろうことも考えられるかと思います。「血税で救うのだから、その代わりに」と米銀の経営者や株主が責任を取らされる(経営者:辞めさせられる、株主:所有株が紙くずになる、等)ことに対する拒絶反応がより強い、といったことです。でもだからといって、このままだと危機を防ぐことはできない・・・

 ・・・って、そこで彼ら金融機関は、米政府(≒米国民)ではなくFRB、すなわち自分たちが出資する連邦準備銀行を総括する組織に対策を頼ることになります。FRBにどうしてもらいたいか?は上記からすれば当然、公的資金が注入される事態の回避、つまり・・・バブルすなわち(資産)インフレの無限膨張・・・

(続く)

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