ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015ヤマザキナビスコカップ予選リーグ第4節FC東京vsサガン鳥栖@味スタ20150422

2015-04-23 19:40:02 | サッカー

朝方の快晴から一転。仕事先の名古屋から東京に戻ると曇天が広がり、雨が降ってました。

怒涛の7連戦の第2戦。それでなくても開幕からの疲労が現れる時期です。東京は怪我の不安がある選手が多く、心配です。

今日はヤマザキナビスコカップの予選です。相手は鳥栖。

今日のYou'll Never Walk Alone♪

互いにサブメンバーのアピールの機会となりましたけど、チームとしての完成度の高さで東京が圧倒しました。

東京はモリゲ、よっち、ヨネ、カニーニが違和感でお休み。梶山と河野もお休みで、ターンオーバーです。シフトは変わらず4-3-1-2。GKは権田。CBは今日はカズとまる。SBは徳永と宏介。今日の3CBは右からたま、秀人、羽生。トップ下は今日は慶悟。2トップはナオと容平です。

鳥栖も大幅にターンオーバーしました。てか、ほぼ入れ替え。こちらもコンディションを考慮したのでしょう。シフトはおなじみ4-2-3-1。GKは守護神彰洋。CBは中島と久晃。SBは右にチェ・ソングン左に磯崎。ボランチは鎌田と岡本。WGは右にペク・ソンドン左に田村。トップ下は早坂。1トップは山崎です。彰洋以外はターンオーバーという大胆布陣。

鳥栖は今年から監督が森下さんになりました。ユン・ジョンファンさんが作った財産をどう使うのか使わないのか、森下さんなりのアレンジをどう加えていくのか、とても楽しみです。そもそも森下さんのサッカーは一度しか見てませんし。今年のスタートは好調です。リーグ戦は4勝2敗。現在3位。昨年の実績を短期決戦のスケジュールに合わせたら1stは優勝ですから、いまの順位もさもありなんです。まずは森下さんの方向性が間違ってないということですね。

今日はターンオーバーですから、森下鳥栖のサッカーにどんな変化があるのか、楽しみでした。で、おそらく鳥栖は、普段着のサッカーをしようとしていたと思います。

まずは鳥栖の代名詞、守備から。これは、ユンさんの財産を継承しようとしているようです。つまりフォアチェックです。前線から激しく起点を追い込み、相手に攻撃の形を作らせません。ちょっと昨年までと違うかもしれないのは、守備網です。

ユンさんの鳥栖は、守備網を作るというよりも、豊田を先鋒に、起点に機動部隊が突撃を繰り返すようなダイナミックな守りかたを旨としていました。森下さんは守備網を形成します。しかも、4+4+2の3ラインです。同じフォアチェックですけど、カウンター一辺倒の守攻を一体として考える守備志向ではなく、イニシアチブを握ることも視野にしたコレクティブな攻撃を目指しているような気がします。ところが、この守備網が今日の勝敗を分けるポイントになります。

この鳥栖の志向は、ポジティブトランジションを前提としています。つまり、中盤の高い位置でトランジションし、鳥栖の得意な攻撃パターンに迅速かつスムーズに移行することを目指します。さて鳥栖の攻撃パターンとは、サイドアタックです。鳥栖のサイドアタッカーは、スピードとアジリティを持つ選手が揃っています。キム・ミヌしかり宏太しかりソンドンしかり田村しかり。ただ長いスプリントとドリブルはないので、アタッキングサードで、いかに有効な形でサイドアタッカーにパスを回すかが鳥栖の攻撃のテーマになります。なので、その意識は守備網形成時に顕著に現れます。鳥栖の3ラインはフラットではありません。中盤のサイドが高めに位置取るボックス型の4-4-2です。トランジションすると、両WGは最前線に並びます。フラットな守備網は、選手間の距離バランスを取りやすく、ボールホルダーを囲い込むのに適しています。ボックス型にしているのは、はやく攻撃態勢に移行したいという意図ではないかと思います。

序盤は、山崎と早坂が仕掛けるフォアチェックと、ソンドンと田村の高いポジショニングに東京守備陣は手を焼き、守備が安定しません。もしかすると鳥栖は、東京が混乱している序盤に先制し、逃げ切るプランだったのかもしれません。

10分を過ぎる頃、東京が鳥栖の攻撃パターンに慣れ、アジャストします。フォアチェックをパス回しでかわせるようになります。ここに今日の鳥栖攻略の糸口がありました。

15分頃から、東京が明確な意図を持って攻撃をはじめます。ソンドンと田村の背後、ソングンと磯崎の前、ボランチの脇とも言えますけど、そこを狙います。今日の鳥栖の泣きどころです。鳥栖はフォアチェックの壁の裏側にセキュリティホールがあります。とくにソンドンの背後を、羽生と慶悟が執拗に狙います。そこで安定した基点が作れるため、前線が安心して動きだせます。信頼のなかでの連携が生まれます。そして、この作戦がいきなり成就します。

18分。東京が自陣でボールを回すところから。鳥栖は高い位置で4+4+2の3ラインを引いています。秀人が自陣の真ん中から右に展開。引いて受けたたまを経由して徳永に渡ります。鳥栖陣に入ります。徳永はターンしてルックアップ。この時前線は、左寄り中央に慶悟がいて中島が見ています。その外寄りにナオが上がっていてソングンがマッチアップ。ニアは磯崎の裏から容平が上がろうとしています。徳永はナオを狙ったアーリークロスを送ります。これは中島がクリア。ロブはイーブンボールになります。落下点に羽生とソンドンが走り込みますけど、ソンドンが勢い余り、ボールは羽生が拾います。羽生は戻ってきたナオに預けます。この時岡本は羽生をマーク。中盤がガラ空きです。そこにたまが目をつけます。ナオはこれを見逃しません。上がってきたたまにパス。たまは左足トラップで浮かして、タイミングを計って左足を振り抜きました。雨でスリッピーなことを計算した、グラウンダーでGKの前でバウンドするシュートは、ゴール左隅に決まりました。ゴラッソ。東京1-0鳥栖。

先制以降も、東京が同じスペースを狙い続けます。もうひとつの東京がイニシアチブを奪えた理由はフォアチェックです。東京のフォアチェックは、ターンオーバーしてもコレクティブです。基本は前線からサイドに追い出します。トップ下がパスコースを消している間に、トップとWHで起点を追い込みます。これは、高い位置でのトランジションだけでなく、攻撃のリズムを崩す意図もあります。サッカーはミスを重ねるスポーツです。ミスを自チームにとって有利な場所で誘発させることも、作戦の重要なテーマです。

ここからが、今日のターニングポイントです。東京にウィークポイントを狙われた鳥栖の選択が、勝敗を分ける綾となりました。鳥栖のウィークポイントは、なのでストロングポイントの裏返しです。ですから鳥栖が取れる作戦はふたつ。ひとつはフラットな4+4+2のラインにして守備を安定させるプラン。もうひとつは攻撃姿勢を維持すること。

森下さんの選択は、アクティブでした。ソンドンと田村が高いポジショニングを維持します。もしかしたら、鳥栖の現在地では、守備を安定させてから反転攻勢というシナリオは持ち合わせていないのかもしれませんね。

どうしても比較をしたくなるのは、ベストメンバーだったらどうなっただろうということです。鳥栖の編成では選手の組み合わせで作戦を変えることは難しいと思います。てか鳥栖に限らず、他ならぬ東京もそうです。なので、サイドアタックを活路とするやり方が基本とすると、ベストメンバーでは宏太とミヌがキーマンになります。宏太とミヌの守備範囲とサポートする、丹羽、義希、豊、藤田のカバー範囲を組み合わせた時、今日と同じようなギャップができるのかな?。さらに豊田と池田のチェックの威力は今日を基準とするとどのくらいなのかな?。いずれにしろ、今日の東京は、今日の鳥栖ならではなウィークポイントを見出し、見事に攻略したと言えると思います。

東京は、試合のテーマが明確になったことで、躍動します。その躍動感を牽引したのはたまです。たまはまだ、守備バランスに力点を置いた試合経験を必要とするタクティカルな試合ではらしさを発揮できません。たまは個性のかたまりですから、コレクティブなグループの中でのアクセントとして活きます。たまの個性は、飛びの大きい、ナオに似た独特のランニングフォームが醸し出す躍動感にあります。たまがのびのびと躍動することで、チームの血流を活性化します。今日のたまは、まさにそれを体現していました。

鳥栖が攻撃姿勢を崩さないことを確認した東京は、リトリートします。もしかしたら森下さんには、東京がリトリートすることが計算の中にあったのかもしれません。中盤のリスクが減るので、攻撃の枚数を増やしやすくはあります。SBも高く位置取るようになりました。前半は東京リードのまま終了。

ドロンパの一輪車ショー

後半から東京の優位性が揺るぎないものになります。ソンドンと田村が上がることで、攻撃時の鳥栖が間延びします。てか、中盤に鎌田と岡本しかいない状況になります。東京の3CHにとっては、トランジションのポイントをわざわざ鳥栖のほうから示してくれているようなもので、当然東京が中盤を支配します。

東京が完全にオーガナイズした状況のなか、試合を決定付ける追加点が生まれます。

57分。鳥栖陣高い位置での東京のポゼッションから。鳥栖は山崎以外は全員自陣に戻っています。秀人は左ライン際の羽生につけます。アタッキングサードに入ります。羽生はルックアップ。鳥栖最終ラインは絞っています。羽生の縦はソンドンがケア。インは早坂がケアしてます。東京は前線中央に容平。ニアに前残りしていた宏介がいます。宏介がソングンの内から目の前に出て、そのまま左奥に走り込みます。羽生はタイミングを計って長い縦パスを宏介に送ります。これにソングンが先に追いつきますけど、宏介と交錯して転倒。ボールをロストします。イーブンボールは難なく宏介の元に。宏介は大きくインサイドに蹴り出してカットイン。ルックアップします。鳥栖はニアから中島、久晃、磯崎が並び、ゴール前を閉じてます。久晃の背後を容平が伺います。鳥栖の最終ラインは宏介の動きに集中しています。鎌田と岡本もボールウォチャーで立ってるだけ。なのでファアからやや遅れてダイアゴナルにペナルティエリアに入ってくるたまを誰もケアしていません。宏介は良く見ていました。丁寧なクロスをたまに送ります。たまは右足ダイレクトで合わせました。ゴラッソ。東京2-0鳥栖。

ヒーローがヒーローらしい活躍を見せました。これで今日の結果は決まりました。

森下さんが動きます。一気に二枚代えです。中島に代えて谷口、岡本に代えて義希を投入します。同ポジションの変更。やはりクオリティに満足できなかったのでしょう。まずは守備の安定化をはかりました。

これを見て、ミステルが動きます。選手の状態が良かったので、ここではシフトだけ4-4-2に変更します。2トップはナオと容平。これは、鳥栖の唯一の攻撃パターンであるサイドで数的不利を解消する意図でしょう。

守備網を磐石に整えて、ミステルが少しずつ布陣を代えます。まず容平に代えて河野を投入します。今日の容平は、シュートを狙う意欲を見せましたけど、バイオリズムが合わないというか、なにしろゴールに嫌われました。容平の日ではなかったですね。いつものように献身性と積極性を持っていたので、近いうちにチームを救うゴールを取りそうです。

直後にアクシデントが起きます。ナオが右足脹脛の筋肉系の怪我で動けなくなります。ナオ史は怪我との格闘賦でもありますから、軽傷のようですけど心配です。

代わって遼一がトップに入ります。

森下さんが最後のカードを切ります。山崎に代えて福田を投入。同時に布陣を変更します。早坂を1トップ、鎌田をトップ下に据えます。福田は義希と組んでボランチ。ソンドンと田村が左右ポジションを入れ替わります。

このあたりから、ゴール前でのコンタクトが激しくなります。とくに鳥栖のセットプレーで権田との接触が続いた時は、去年のガンバ戦のことがありますから心配でした。鳥栖はコンタクトの激しいチームスタイルですから、こういったプレーは不可避です。

最後にミステルが〆にかかります。慶悟に代えて拳人を投入します。拳人はJ1デビューです。同時に東京デビュー。おめでとう。キャンプからの好調をキープしていたみたいでカップ戦は全戦ベンチ入りしてたので、スタートが切れて良かったです。

東京が完璧に鳥栖を凌駕したまま、試合終了。東京2-0鳥栖。

眠らない街♪

たまとカズのシュワッチ

試合のなかで、グループとしてコンセンサスが取れるテーマを見つけ、それを確実に遂行できました。ターンオーバーのなかでこれを達成したことは、チームの成熟を表しています。とてもとても誇らしいです。

リーグ戦は短期決戦ですけど、通年のヤマザキナビスコカップは、もしかしたらシーズンの背骨になる位置付けかもしれません。バイオリズムが変わった時の調整の場として、大切に戦っていきたいものです。

敗戦で始まった7連戦のスタートですけど、早々良いムードを取り戻しました。いよいよゴールデンウィーク東北ツアーが始まります。試合も旅もいい結果で終えたいですね。現地に行かれる皆さまお気をつけて。


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