ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015J1リーグ第9節FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20150502

2015-05-03 13:37:53 | サッカー

ゴールデンウィークでございます。今年は真ん中あたりの天気がよくないそうですけど、前半は快晴。行楽日和でございます。

初夏の花が咲き始めました。

怒涛の7連戦も後半戦。いよいよ佳境を迎えます。連戦の初戦を落とした東京ですけど、その後はカップ戦も入れてしぶとく4連勝。

いよいよ上位対決シリーズの幕開けです。今年のクラシコ初戦はホーム味スタ。J1でのホーム対決は、2000年1-0○、2005年0-1●、2006年5-4◎、2007年0-7●、2008年4-2○、2009年2-3●、2010年1-2●、2012年1-2●、2013年2-0○、2014年0-4●。4勝6敗。16-25。すべてドローが無いガチ勝負です。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

コーヒールンバ♪

皆のアイドルよっちの逆転ゴールと宏介のドラマティックFK、嘉人のJ1通算140ゴールと、豪華絢爛メインディッシュてんこ盛りの、これぞプロの試合という42,604のお客様が大満足の極上エンターテイメントでした。

東京は梶山がサスペンションから戻りました。前線は試行錯誤です。シフトはお馴染み。GKは権田。CBはモリゲとカズ。SBは徳永と宏介。3CHは右から羽生、梶山、ヨネ。トップ下は河野。今日の2トップはよっちと容平です。

川崎は前節の大敗を受け、布陣をアジャストします。シフトはオーソドックスな、スクエアの4-4-2です。GKは西部。CBは今日は井川が入り彰悟と組みます。今日のSBは右にエウシーニョ左に車屋。ボランチは憲剛と大島。メイヤは右に悠左にレナト。2トップは今日の嘉人の相棒は船山です。

リアリストとロマンチスト。守備起源と攻撃起源。カウンタースタイルとポゼッションスタイル。男前集団とそうでもない集団。東京と川崎は、まったく正反対のキャラクターを持ったチームです。ですので、対戦の構図がとても明白。クラシコなのでただでさえ盛り上がるのは必至な上、試合内容もダイナミックになることが多いです。それもあってか、快晴のゴールデンウィークのスタートデーマッチは、42,604人のお客様がいらっしゃいました。ありがとうございます。

風間さんは相手無用の我が道タイプな発言を繰り返しますけど、実際はけしてそんなことはなく、相手によってサッカーの内容を変えてきます。東京がやることが明確なチームですので、今日の試合のキャスティングボードは風間さんが握っています。大まかに言うと、攻めてくるのか、守ってくるのか。等々力の浦和戦を観ているので、もしかしたら守り合いもあるのかなと思っていました。

で、川崎は通常運転です。攻撃モードで臨んできました。ゆえに、のっけから川崎が攻め、東京が受ける形ができあがります。今年の川崎は、これまでの川崎らしからぬオーソドックスなシフトを基本としています。もとより風間川崎はシフトレスなチームですから、それほどの意味は無いのかもしれませんけど。風間さんはそう言いそうですね。とは言え、川崎のシフトパターンは3つあります。かつてのベースは4-2-3-1。昨年から時に3-4-2-1もしくは3-4-1-2。で、今年のオリジンはスクエアな4-4-2のようです。すくなくともクラシコでは見た覚えが無いので新鮮です。いちおうシフト決定のポイントは、森谷のようです。森谷がスタートスコッドにいると、トップ下を使うスタイルになるようです。前節から森谷が不在です。怪我でもあったのかな?。

同じ4-4-2でも布陣の組み合わせは豊富です。憲剛、嘉人、悠、レナト、大島、エウシーニョ、車屋が、ちょっと懐かしい言い方をするとポリバレントで、配置の自由度が高いです。2トップにした理由を探していましたけど、風間川崎はポジションレスという結論に帰結しましたw。ようするに、シフトはどーでも良い。船山を使った理由は、単純に調子が良いから、だと思います。

さて試合は、そんなわけでいきなり川崎がイニシアチブを握ります。そもそも東京は、冒頭からある意味攻撃権を川崎に渡します。川崎のポゼッションが優った結果というよりも、4+3の守備網を作って引きこもります。いつものように前線2人がフォアチェックを仕掛けますけど、トランジションというよりも帰陣のタイムメイクと、守備コースのコントロールが目的だと思います。

川崎は攻撃モードになります。攻撃モードの川崎は、ボランチを縦に配置します。大島がアンカーに入ってタクトを振ります。憲剛はトップ下の位置に上がり、チャンスメークします。そして両SBが高く位置取り、包囲網を敷きます。攻撃が遮断されてもイーブンボールを拾い続け、攻撃を不断にできる形になります。包囲網のなかを、嘉人、レナト、悠、船山が自在にスペースメイクし、憲剛からのパスをきっかけに、ゴールに向かいます。序盤は嘉人を中央にはらせて軸としていました。でもこれでは東京の堅固な守備網を崩せません。なので、今度は嘉人が広範囲に動いて、下がり目でポストを受け始め、リズムが出来はじめます。それでも川崎は、なかなかペナルティエリアに進入できません。東京の完璧な守備網が形成されます。

ところが、相反するもので、当然のことながら東京の攻撃は散発になります。基本的に3人で攻撃することを余儀なくされます。この形を予見していたのか、川崎は守備のポイントを一点に絞っていました。バイタルエリア中央の基点を潰すことです。今日は容平がポスト役として入っていました。新潟戦の容平は、中盤に下がってポストを受け、ボールを散らしていました。もともと容平はこのプレーが得意で、容平のポストからダイナミックなリズムが生まれます。川崎は、ここを消してきます。容平に対し、大島と憲剛がタイトにコンタクトし、ポストを自由にさせません。もちろんよっちに対する彰悟と井川のタイトなマークは前提です。今日もよっちは自由にドリブルをさせてもらえませんでした。

序盤のテーマは、川崎がいかに東京の守備網をこじ開けるのかでした。川崎がやることはある意味シンプルで、アタッカー全員がスペースメイクを繰り返すイリュージョンです。ただ、非常に小さなスペースに的確にパスを出せる技術を持った選手が揃っていないと攻撃は成立しません。足元につけるだけでなく、とくに憲剛は、微妙にずらしたパスで守備網にギャップができ易くしていました。それでも東京が川崎にシュートすら許さなかったので、ジリジリする展開がどこまで続くかなと思っていたら、風穴はやはりセットプレーでした。

21分。アタッキングサード中央左寄りの憲剛のFK。東京はゾーンです。壁は河野の一枚。ニアのレナトのケアは羽生。ペナルティエリアにかかる辺りに東京のラインが並びます。ニアから徳永、容平、よっち、モリゲ、カズ、梶山、宏介。ヨネが彰悟を見ています。川崎は東京ラインに対峙して、ニアから彰悟、井川、嘉人、悠。車屋がラインに入っています。憲剛のキックモーションと同時にまず、井川がカズの背後、車屋が梶山の背後から抜け出そうとします。この動きにカズと梶山がつられ、瞬間、宏介と嘉人のマッチアップが形成されます。嘉人はまず、宏介の背後をとります。そして憲剛が蹴る瞬間に過重をゴールとは逆向きにかけ、宏介をつります。これで、一瞬はやく宏介よりゴールに向かってスタートが切れました。細かいですけど技ありです。あとは憲剛のクロスに合わせるだけ。東京0-1川崎。

嘉人はJ1通算140ゴールを達成し、ついにキングを抜きました。おめでとうございます。記念すべきゴールとカズダンスを目撃できて、嬉しかったです。

川崎は、守備モードに入ります。と言っても東京のように極端な変化はありません。憲剛と大島が今度は横配列になり、憲剛が低い位置でパスを裁きはじめます。川崎に4+4の守備網ができるので、東京がカウンターを仕掛けられるタイミングがありません。ゆえに、東京もポゼッションスタイルを選択します。東京のポゼッションは、基本的にサイドで基点を作って、SBの裏への突破を試みます。今日はバランスを重視したのか梶山が前目に上がってタクトを振るシーンが、試合が進むにつれ序々に見られなくなりました。梶山は、ちょうど憲剛のように中央でアクセントになれますから、攻撃パターンに課題がある今、もしかすると新たな攻撃パターンの緒口になるかもしれません。

前半は、フィニッシュに持ち込む形もなかなか作れず、ビハインドのまま終了。

後半頭からミステルが動きます。河野に代えて慶悟を同じくトップ下に入れます。これで東京の攻撃にリズムが生まれます。後半から東京は、ついに意を決したのかひさしぶりに攻撃モードに入ります。WHとSBが高く位置取ります。慶悟がサイドで基点を作れるようになったので、サイドアタックが活性化します。

さらにミステルが動きます。容平に代えて遼一を投入します。相手から消えるポストの容平から、相手に自らを晒すポストの遼一に変更することで、東京に明確なアタックルートができます。試合ごとに有効な基点の形が変わり、サッカーはホントに不思議です。

そこで風間さんが動きます。悠に代えて武岡を投入します。悠のコンディションを考慮したのだと思いますけど、東京の攻勢が続いていたのを意識したのかもしれません。オリジナルはDFの武岡を前目で使い、右サイドの守備を強化する意図だと思います。

ところが直後、予想外の事件が起こります。よっちを倒した車屋が二枚目の警告を受け、退場します。なかなか思うように突破できなかったよっちですけど、最終ラインに対する粘り強い仕掛けを繰り返すことで、傍目には見えないプレッシャーを与え続けていたのかもしれません。流れを再確認できなかったので、なぜ車屋が右サイドに居たのかわかりませんけど、よっちの圧力で守備網のバランスが崩れかけていたのかもしれません。

風間さんが守備を安定させます。まずは憲剛をCBに下げ、彰悟を左SBに出します。船山がボランチに入ります。次に、船山に代えて角田をCBに入れます。憲剛を戻します。

ここからが、今日のターニングポイントでした。奇妙なことに、ものすごく奇妙なことに、川崎がふたたび攻撃モードに入ります。エウシーニョと彰悟が積極的に高く位置取り、憲剛も前に出ます。レナトと武岡が内に絞り、基点になります。前線のスペースメイクの動きが高速化します。悠がいませんから、川崎のフィニッシャーは嘉人とレナトに絞られます。二人にボールを集めます。

これに対し東京は、真っ向から受けて立ちます。攻撃モードを維持したままです。川崎の高速スペースメイクに対し、コレクティブネスではなく、タレントの力で対処しようとします。攻撃に人数を割いているので、モリゲ、カズ、梶山、徳永が対面するアタッカーを全消しにかかります。車屋の退場が動かした味スタの気は、当初の予想を大きく翻し、攻め合いの殴り合いモードに入ります。味スタの4万観衆が一気にヒートアップします。

オープンなインファイトは、冷静に考えるとアドバンテージを持っている東京が当然優位で、少しづつゴリゴリ押しはじめます。よっちの執拗なボディブローが、ここに来て効きはじめてきます。そして、スーペル宏介の出番がやってきました。

71分。宏介のペナルティエリアやや外の右サイドでのFK。西部は壁を越えてくると読んだのでしょうか?。宏介のキックと同時に左加重になります。宏介チャントが鳴り響くなか、宏介のシュートは逆をつきました。ゴラッソ。東京1-1川崎。

ここぞという時に決めてくれる宏介は、ホントに頼りになる存在です。こうなると、ひさしぶりにエル・シクロン。東京も川崎も、老若男女も、ベテランサポも新入りも、初めてのお客様もお帰りなさいさんも、オプティミストもペシミストも、現場にいる人もテレビを観てる人も皆、わけ分かんない興奮のなかに知らず知らず引き込まれていきます。

ミステルはファイティングポーズを崩しません。羽生に代えてたまを投入します。右サイドをより攻撃加重にする意図でしょう。

それでも川崎は攻撃姿勢を崩しません。クラシコと大観衆の気が、川崎を攻撃に導いたのかもしれません。このままいくと逆転は必然かもと思っていると、4万大観衆が見守るあの男が期待に応えてくれました。

87分。よっちが粘って得た、宏介の左コーナーフラッグ付近のFK。川崎はゾーンとマンマークのハイブリッドです。東京はペナルティエリア内のファア寄りにお団子を作るパターンです。ニアから慶悟、遼一、よっち、梶山。ちょっと離れてモリゲがいます。川崎はニアに憲剛を立てています。宏介のキックモーションと同時に慶悟がニアに飛び込み、大島をつります。この時角田とエウシーニョはボールウォッチャーになっていました。なので、遅れて入ってくるよっちに気付きません。この時点で勝負あり。よっちが飛び込んでくるのを角田とエウシーニョが反応しようとしますけど、時既に遅し。よっちがヘッドで決めました。みんなで新潟戦の日にお子さんが産まれたモリゲと奥様のためにゆりかごができました。東京2-1川崎。

もう、なんなんでしょう。よっちのもってる感は。セットプレーの得点は基本的に守備側のミスが原因です。よっちのゴールも川崎のマークミスですけど、それを引き出したのはよっちの気なんじゃないかと思ってしまいます。

なんと、それでもなお風間さんはファイティングポーズを崩しません。逆転されたので当然とは言え、あくまでも攻めます。これぞ川崎。エウシーニョに代えて健勇を投入します。

でも、メインキャストがヒーローになってしまったら、ドラマはもうこれ以上のシナリオを描きようがなく、大団円です。このまま試合終了。東京2-1川崎。

眠らない街♪

よっちのシュワッチと、よっちの大ファンの小さな子にシャツをプレゼントするよっち

まずは、今日の試合を演出してくれた川崎に、アイロニーではなく真摯に感謝したいです。数的ビハインドはさすがに計算外だと思いますけど、おそらく川崎以外のチームなら守ることを考える状況で、あくまでも川崎らしくファイティングポーズを取り続けたことが、結果的に極上エンターテイメントを生み出しました。こういう試合の積み重ねが、クラシコの伝説を紡ぎ出していくのだと思います。

さんざん盛り上げておいて水を差すようでアレですけど、攻撃の組み立てには依然課題が残ります。結局流れのなかではシュートアテンプトすらままなりませんでした。いろんな組み合わせを試してくれているので、いつか光明が見えてくると思います。それを信じて取り組んでほしいと思います。

はっきり言います。優勝しましょう。ただ、当面の目標は、第12節浦和戦です。それまで、粘り強くくっついていくことが大事です。幸い、今節浦和がガンバを下してくれたので、直接対決を済ましている相手はすべて下位になりました。浦和もそうそう落ちてこないと思うので、今、優勝経験が無い東京が成すべきは、泥臭くてもしょっぱくてもいいから、とにかく浦和に食らいついてプレッシャーをかけ続けることです。追うことのみを考えていられる状況は、実はとても幸せな時間です。我々サポも、史上初めて訪れた、期待と緊張感あふれるワクワク感を、まっすぐに楽しみたいですね。日本中でただ2チームの選手スタッフとサポだけが味わえる天王山を体感できる日を夢見ましょう。

次は北の三連戦の最終戦、仙台戦です。序盤の攻勢をどうしのぐのか、またも粘り強さが求められる厳しい試合です。サバイバルはもう、始まっています。