最新の映画情報や批評を掲載します。
細越麟太郎 MOVIE DIARY



●5月28日(月)13−00 渋谷<映画美学校B−1試写室>
M−059『籠の中の乙女』Dogtooth (2009) horse fly production ギリシャ
監督/ヨルゴス・ランティモス 主演/クリストス・ステルギオグル <96分>★★★☆
ある裕福な家族の奇妙な生活と、その破綻を描いている。
子供の精神衛生のために、自宅の庭に高い塀を囲い、一切の外界の情報を遮断した夫婦。
3人の子供たちはハイティーンになったが、電話もテレビもラジオも友人もいない閉鎖的な空間で暮らして来た。
発想も異常だが、映画はそれを承知で、この不思議な家族の生活を見つめている。
子供を保護するのも親の愛だが、自然に解放することこそが、親の愛情の筈。
ところがこの親の作った世界は、シンプルで裕福には見えるが、幸福とは縁遠い。
おそらく監督は、ミサイルを勝手に打ち上げるような閉鎖的な国家とその政策や住民思想の偏屈な歪みを狙ったのだろう。
西欧思想とアラブ思想も混じりうるギリシャの映画なので、このようなユニークな発想もあるのだろう。
どう考えても、空気のように外部の感覚は入るのだから、セックス処理だけを<外注>している発想もおかしい。
しかもあの近代邸宅の管理は、家人だけでは絶対に無理な筈。
とにかく、映画は終始一貫して不条理で不可思議で、とても不愉快だ。
でも、これもひとつの崩壊のホームドラマ。ハネケかアルモドバル、またはベルイマンなら理解できるだろう。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のグランプリ受賞の、超異色作だ。

■デッドボールが打者の故意に見えたことでジャッジがもめて、結局は出塁。
●7月、シアター・イメージフォーラムで公開。



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●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)

今夜の放送/ Vol.098『お茶かワインをもう一杯』One More Tea or Wine
★あなたはお茶派ですか、それともワイン派ですか?
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎

★5月27日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介

1/『煙が目にしみる』演奏/ジェリー・ガルシア・バンド
2/『二人でお茶を』唄/リー・ワイリー
3/『マンハッタン』演奏/カルメン・キャバレロ(映画『愛情物語』より)
4/『雨のカフェ・ドゥ・マゴ』作曲/吉村浩二
5/『コーヒー・アンド・シガレッツ』唄/ジェリー・サザーン
6/『アイ・ウィル・ドリンク・ザ・ワイン』唄/フランク・シナトラ
7/『ストレート・ノー・チェイサー』演奏/セロニアス・モンクウ

★今週の映画紹介/『ミッドナイト・イン・パリ』監督/ウディ・アレン

●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、6月3日(日)には「レッツ・ハワイ」と題して、ハワイに因む南国風ジャズを。
どうぞ、ご期待ください。




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●5月24日(木)13−00 六本木<シネマートB−1試写室>
M−058『屋根裏部屋のマリアたち』Les Femmes du 6eme Etage (2010) vendome production france 2 cinemas-snd 仏
監督/フィリップ・ル・ゲイ 主演/ファブリス・ルキー二 <106分> ★★★☆
1962年のパリ。株式仲買人のファブリスの住むアパートの最上階には、スペインからの女中たちが同居していた。
まだ経済情勢が不安定な時代。多くのスペインからの出稼ぎメイドたちが貧しい暮らし。
朝食の3分少々のゆで卵の完成度にこだわる中年のファブリスは、小心で神経質。家主でもある妻に頭が上がらない。
些細な口論で家を追い出されたカレは、しょうがないのでアパート最上階の女中部屋の狭いベッドに逃げ込む。
結婚以来、初めての自由な時間に、カレはやっと自分の夢に気がつく。
ウディ・アレンの「地球は女で回ってる」のように、女中たちの自由な世界は心地いい。
フランス人の偏狭な生活感覚に比べて、スペインの女性たちは屈託がなくて明るく情熱的だ。
その人間性の落差に気がついたファブリスは、仕事を辞めて故郷に帰ったマリアを追って南に向かう。
パリジャンのエトランゼに対する蔑視の意識を、コメディ・タッチで嘲笑した作品。
ま、60年代に限らずに、このような人種間の価値観は、いつも崩壊する。
いい話だが演出がモタモタしていて、どうも狙いのようにはスッキリしなかった。

■ストレート狙いなのに、シュートにテを出して平凡なショートゴロ。
●8月、Bunkamura ル・シネマなどでロードショー



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●5月23日(水)15−30 京橋<テアトル試写室>
M−057『プリンセス・カイウラニ』Princess Kaiulani (2010) matador pictures / island films 米
監督/マーク・フォービー 主演/クオリアンカ・キルヒャー <98分> ★★★☆
いまやリゾート・アイランドとして相変わらずの人気のハワイ諸島。
先週、久しぶりにマウイ島に滞在して、そのパラダイスとしての存続に、多くの尽力を注いでいる姿に敬服した。
天来の自然条件に恵まれながらも、これだけ多くの観光客が訪れたら、その魅力の維持には日頃の管理努力が必要だ。
その意味で、マウイ島の美観が損なわれずにあることは、本当に嬉しかった。


この映画はハワイ諸島が統合されながら、アメリカの属国として市民権を得ていない100年以上も前。
伝統あるハワイ王朝の最後の王女となった若いカイウラニの、イギリスでの青春と、ハワイでのアメリカ州立への苦闘を描いている。
一種の青春映画だが、貴重なハワイ史の再現映画として、現地出身のオバマ大統領も興味あるだろう。
ほとんどがオアフ島ロケで、当然のように、プリンセスも現地出身のクオリアンカが好演。
製作と脚本も兼ねた監督も、夫人がハワイ出身ということで、実に真摯で丁寧な作品に仕上げている。
「ファミリー・ツリー」、「ソウル・サーファー」そして本作と、ことしはハワイ映画が三つ揃い。
それぞれに、ハワイ関連ならではの作品的な意味合いを上質に見せた。
ハワイ旅行を予定している方は、ご参考に見られた方がいいだろう。

■手堅いジャスト・ミートのセンター前ヒット。
●7月、新宿武蔵野館などでロードショー



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●5月24日(水)13−00 内幸町<ワーナー・ブラザース試写室>
M−056『グスコーブドリの伝記』Legend of Guskorvedolli (2012) tezuka production /warner bros. 日
監督/杉井ギサブロー 声の主演/小栗 旬 <102分> ★★★☆
あの宮沢賢治の童話原作を、あの「銀河鉄道の夜」を85年に映像化した監督が再トライ。
テーマが、あまりにも昨年の大震災とその後の復興に似ているが、この作品の制作は5年前からのスタートだという。
農業で幸福な生活をしていた一家が、度重なる冷害による不作で、生活が困窮して一家は離散。
消えた妹を探して、主人公のグスコーは大都会のイーハトーブに上京。
しかし夢のような街も、天候不順で電力危機となっていて、火山の火力発電を管理する火山局では大規模な賭けが研究されていた。
そしてグスコーは、その危険な開発の身を捧げて行く。
自身も故郷の岩手で冷害に苦労した宮沢賢治は、「雨にも負けず風にも負けず・・・」と謳ったが、その詩が、ここでも活用されて、効果的だ。
猫のキャラクターをモチーフにした、ますむら・ひろしの登場人物たちが、いかにも原作のイメージを戯画化して夢を見せる。
そして制作をバックアップした手塚プロの尽力も、このユニークな作業を独特の宮沢賢治ワールドに完成させている。
クライマックスに、映画的な省略が不足しているが、ま、これはイメージの世界。
あの宮崎駿の世界とは別のファンタジーとして楽しめた。

■絶妙のバットコントロールで、ファーストベース上のクリーンヒット。
●7月7日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー



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●5月21日(月)13−00 半蔵門<東宝東和試写室>
M−055『メン・イン・ブラック/3』MIB 3(2012) columbia sony pictures
監督/バリー・ソネンフェルド 主演/ウィル・スミス (110分)★★★
いいオヤジが、いい歳をして、おバカなお遊び。
ブラックスーツにブラックハット。そしてブラックサングラスで、ブラック・ユーモア。
まさに金冠日食を見るのにピッタリの日だ。
このシリーズは傑作「ブルース・ブラザース」の血統を継ぐハリウッド・スチューピッドなのだ。
スピルバーグがプロデュース。シナリオは変名を使っているが、イータン(?)コーエン。メイクをリック・ベイカー。
とにかく、いまのハリウッドの低迷を救うべく、英知が結集しての、久しぶりの第3作なのだ。
宇宙圏の極悪エイリアンが、月にある厳重な監房を脱獄して復讐にニューヨークに来る。
エイリアンといっても、見かけは獰猛なプロレスラー・タイプの巨漢。
カレは左の腕を、1969年の初めての月面探検の妨害で失っていて、その復讐に当時のトミー・リー・ジョーンズ捜査官に決着を迫る。
そこで同僚のウィル・スミスが69年にタイムスリップして、若い時代のトミーと会い戦うのだ。
それがジョシュ・ブローリン。
今回は3人のMIBが活躍するが、実はいつもの2人という訳。
その悪役エイリアンが、とにかく凶暴で変幻自在。でもどこかユーモラス。
ま、ストーリーもデタラメなら、エイリアンとのアクションもCGフル活用の空中戦で「カンフー・パンダ」も顔負け。
どこか69年へのノスタルジーがあるのも、スピルバーグの趣味だろう。
このナンセンスに対応するのも、ハリウッド・スチューピッドのプライドなのだ。

■ファールで粘って、絶妙のデッドボール。
●今週末25日より、日米同時ロードショー。



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●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)

今夜の放送/ Vol.097『お茶とワイン』Tea or Wine
★あなたはお茶派ですか、それともワイン派ですか?
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎

★5月13日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介

1/『二人でお茶を』唄/ドリス・デイ
2/『シガレット&コーヒー』演奏/ジェリー・ガルシア・バンド(映画『スモーク』より)
3/『ブラック・コーヒー』唄/ペギー・リー
4/『インスタント・コーヒー・ブルース』唄/ガイ・クラーク
5/『バイカー・バー』演奏/マイク・フィギス<映画「リービング・ラスベガス」より>
6/『コーヒー・ソング』唄演/フランク・シナトラ
7/『酒とバラの日々』唄/カサンドラ・ウィルソン<映画「真夜中のハバナ」より>

★今週の映画紹介/『ミッドナイト・イン・パリ』監督/ウディ・アレン

●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、5月27日(日)に「ティー・オア・ワインをもう一杯」と題して、ジャズカフェならではの新メニューでジャズを。
どうぞ、ご期待ください。




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●5月18日(金)15ー30 六本木<シネマートB1試写室>
M−054『ブレイクアウト』Trespass (2011) millennium films / nuimage pro.
監督/ジョエル・シューマカー 主演/ニコラス・ケイジ <91分> ★★★
Aクラスのスタッフが作ったB級サスペンス。
あのウィリアム・ワイラーの名作「必死の逃亡者」と酷似した設定だ。
ダイヤモンド・ディ−ラーのニコラスの家に強盗グループが侵入。
金を出せ、金庫を開けろ、と迫るのは通常の強盗映画。
ところが、おかしいのは妻ニコール・キッドマンと関係の不具合なニコラスは、借金地獄。
親子関係もボロボロで、強盗たちも呆れてしまう現状が続々と露呈してくる。
一種、舞台劇のような設定で、ほとんどカメラは家の中。
でもアカデミー主演賞受賞の名優ふたりの演技で退屈はさせない。
問題は、この意外な設定の面白さを活かせないシナリオの不味さ。おまけに悪役も冴えない。
あのハンフリー・ボガートほどの役者でないと、この密室ドラマはバランスが取れないのだ。
ま、ベテランの監督は、それでも面白く見せるが、一番面白いのは家族の空洞だろう。それが可笑しい。
ということは、この作品の狙いは、アメリカン・ドリームの空洞を描きたかったのか。と勘ぐった。
トホホ、な強盗サスペンス。


■ボテボテのサードゴロを野手がトンネル。
●6月23日より、新宿バルト9などでロードショー



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●5月17日(木)13−00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M−053『君への誓い』The Vow (2012) sony pictures / spyglass entertainment
監督/マイケル・スーシー 主演/レイチェル・マクアダムス <104分> ★★★☆☆
親の反対を押し切って結婚したカップルが、交通事故に会いレイチェルは記憶喪失になる。
おお、これは現代の「心の旅路」かと直感した。
しかし不思議なもので、彼女は両親や元カレとの別れは記憶にあるが、現在の夫のことは思い出せない。
バカバカしいお話だと思ったが、これは実話だという。
でも、どうせただの青春映画だと敬遠していたのだが・・・・。
ところが先週、遊びに行ったハワイのホテルで見たテレビで、大評判になっていたので気になってしまった新作。
たしかに、よく出来たラブストーリーで、記憶喪失ではなくて、心変わりした恋へのリベンジだと思って見た方が新しい。
ここまで一生懸命に夫に惚れられたら、女性は幸運だ。
監督のタッチは、非常に誠実で繊細。見事な演出と気配りで、普通のハリウッド青春ものよりはデリケート。
あくまで事故や過去を引きずらないのは「ソウル・サーファー」にも共通していて、よろしい。
レイチェルも、この難役を好演していて、無理に結末を焦らないスタンスが気にいった。
この曖昧な結末こそが、現実の実話の再現として、とても好感が持てた。

■左中間の小フライがショートオーバーの微妙なテキサスヒット。
●6月1日より、全国ロードショー



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●旅行による、臨時休刊のお知らせ

季節も良くなり、久しぶりにマウイ島に遊びに行って来ます。
連休明けの今日からのしばらくは、試写日誌もお休みします。
2週後辺りから、試写見参は復活しますが、それまでは勝手ながら失礼。

尚、ラジオ番組の方は前倒しで収録済みですので、次の日曜日の予定をご紹介します。

●映画とジャズのFMサウンド・カフェ●
『シネマッド・ジャズ・カフェ』CINEMAD JAZZ CAFE(FMたちかわ/84−4mhz)

次回13日夜の放送/ Vol.096『子供たちの為のジャズ』More Jazz for the Kids
★誰のハートにも、子供を思ったジャズがある。       
司会/鵜飼一嘉+選曲・解説/細越麟太郎

★5月13日(日)午後8時ー9時放送
●好評につき、毎翌週金曜日の午後7時からも再放送されています。
★今夜の曲目メニュー紹介

1/『チルドレン・アット・プレイ』演奏/マーク・アントワン
2/『ゴッド・ブレス・ア・チャイルド』唄/ビリー・ホリデイ
3/『ザ・ウィリアムズ・キッズ』唄/バーニー・ウィリアムズ&キッズ
4/『ゴーアウェイ・リトル・ボーイ』唄/アン・バートン
5/『ネバー・セイ・ネバー』唄/ジャスティン・ビーバー<映画「ベスト・キッド」より>
6/『ボッグ・ボーイ』演奏/ティエリー・ラング
7/『マイ・ボーイ・ビル』唄/フランク・シナトラ<映画「回転木馬」より>

★今週の映画紹介/『キラー・エリート』主演/ジェイソン・ステイサム

●<FMたちかわ>のホームページから、サイマル放送で検索すれば、パソコンでも聞こえます。
★次回のこの番組は、5月20日(日)に「ティー・オア・ワイン」と題して、ジャズカフェならではのメニューでジャズを。
どうぞ、ご期待ください。




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