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細越麟太郎 MOVIE DIARY



3月17日(金)13-00 神谷町<ワーナー・ブラザース映画第2試写室>

M-033『夜に生きる』" Live By Night " (2017) Warner Brothers Studio, Appian Way Studio, Parle Street Productions

製作・レオナルド・ディカプリオ 監督・主演・ベン・アフレック、クリス・クーパー <129分・シネマスコープ>配給・ワーナー・ブラザース映画

あのクリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」や「シャッター・アイランド」などの人気作家デニス・ルヘインの原作を、作家自らディカプリオと共同で製作。

という、かなり男気の強い連中が、1930年代アメリカの、あの禁酒法時代のボストン旧市街を舞台にしたマジ・ギャング映画で、キャグニーやボギーなどの再現ドラマとなる。     

「アルゴ」でアカデミー作品賞も受賞したベン・アフレックが、またも監督主演なのだから、まさに久しぶりな本格ギャング映画の復活・・・という次第だ。

もともとワーナー・ブラザース映画は、30年代から40年代にかけては、シカゴの密売酒ギャングたちの映画を量産にて多くのスターを生んだ老舗の専売特許なのだ。

つい最近でも「ブラック・スキャンダル」では、ジョニー・デップがハゲ頭のギャングを演じて凄みを出していたが、これは従ってワーナー社自慢の伝統ブランド。

もともとは警察署長の息子だったベンは、アウトローの世界に憧れて、世の常のように父親に敵対したショーバイで反抗してひったくられて、フロリダのタンパにしけこむ。

タンパといえば、メジャー・リーガーのキャプ地でいまは有名だが、もともとはキューバやメキシコなどの密入国者たちギャングの温床で、テキーラやラム酒の密売拠点だった。

リノ・ヴァンチュラ主演の傑作「ラムの大通り」なども、メキシコ湾岸で暗躍する悪党連中のギャングものだったが、ここではベンが監督業も兼ねての悪役でクールに凄んで見せる。

ま、シカゴよりは明るいフロリダのギャング映画なので陽光が眩しいのにW、このギャングたちも夜のショーバイなので、タイトルのように夜光虫のように暗がりで撃ち合う。

あくまでタイトルは、夜中の商売というのではなくて、暗黒街での密造酒販売を主とした連中だから、あの「華麗なるギャツビー」のレッドフォードやディカプリオのようにおしゃれだ。

今年のアカデミー賞では、弟のケイシー・アフレックが受賞したので、兄貴のベンも会場では苦笑いしていたが、この兄弟も弟の方が芝居は上手で、ベンは演出業はマズマズ。

派手な銃撃戦のシーンでは、さすがにプロデューサーたちの背後の視線を感じたのか、なかなかスリリングな演出の切れ味は見せるのだが、肝心の俳優としては相変わらずのダイコン。

オールドファンならば、キャグニーやボギーや、エドワード・Gたちの面構えで見たかった、・・・と悔しがる久々の本格老舗ブランド自慢の、専売ギャング映画だった。

 

■フルカウントから豪快な左中間へのフライが上がりすぎて、フェンスに当たりツーベース。 ★★★☆

●5月20日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー 



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3月16日(木)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-032『美しい星』(2017)プロダクション・リクリ、「美しい星」製作委員会、GAGA

監督・吉田大八 主演・リリー・フランキー、亀梨和也 <127分・ビスタサイズ> 配給・ギャガ

雑誌<新潮>に連載されて、1963年に単行本として刊行されたという、三島由紀夫のSF異色小説の映画化だが、かなり不思議な現代ホームドラマだ。

その原作小説は読んでいないが、この映画で見る限りは、ごく平凡な家族だが、それぞれに自分は異星人という意識を持っていることで、一種の地球環境問題悪化を危惧している。

しかしシリアスなドラマではなく、どこかピントの外れた意識を共有する「家族はつらいよ」異色版であって、あの60年代にあった地球危機感の視点が、妄想と現実を歪ませてオカしい。

表面的には、それぞれに平凡な生活意識を持った家族なのだが、母だけが地球人で、父親はテレビの気象予報士なのだが自分が火星人だといい、息子は水星人、娘は金星人、だと思い込んでいる。

ドラマはそのヘンな宇宙人家族の奇行を、マジに見つめていて、とくにコメディとしてでもなく、かといってSF家族の怪奇ドラマでもなく、ごく普通のドラマとしてスタンスはクール。

吉田大八監督の映画がいつも面白いのは、「クヒオ大佐」でも「桐島」くんでも、「紙の月」の女性でも、ごく普通の常識で生きている人間の心理の、ちょっとヘンな脱線を描いて面白い。

この宇宙人家族も、表面的にはごくアリガチな常識人家族なのだが、とくに主人のテレビのお天気予報官の実況予報ぶりが、少しずつズレてきて、その予報のなかに地球の危機感を訴えるのだ。

そこはライブ放送なので、エキスパートの自覚に作用されるライブ放送の宿命なので、リリー・フランキーの個性から見ていると、冗談のように聞こえるところが、逆に気味が悪くなる。

むかし、あのオーソン・ウェルズのラジオ放送で、火星人が襲来したことを話したら、それを聞いていた視聴者たちは、思わず外に飛び出して空を見上げた・・・というエピソードを思い出した。

この作品では、そのヘンな家族の意識を通じて、地球が抱えている空気汚染の日常的な悪化の危惧を訴えているようだが、そこは山田洋次の家族のようにコミックでないところが、この異色家族。

どこか舞台劇のようなスタンスなのも、ドラマの空気が一種のコミックな心配性な冗談めいているからで、とくに危機感はないのだが、参議院議員の秘書官の佐々木蔵之介が、いちばん宇宙人っぽかった。

しだいにリリー・フランキーの天気予報官は、ライブ放送で地球危機感をしゃべるようになるのはいいとして、妙なポーズで覚醒して、娘の橋本愛までがヘンなポーズをやりだすのは苦笑。

恐らく三島由紀夫の原作では、その辺の覚醒家族の変態ぶりがシニカルに書かれているのだろうが、このキャスティングでは、終始ノリ切れなかった異色コメディだった。

 

■かなり高く上がったライトフライだが、結局ファール・アウト。 ★★★

●5月26日より、全国ロードショー 



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3月14日(火)13-00 半蔵門<東宝東和映画試写室>

M-031『マンチェスター・バイ・ザ・シー』" Manchester by the Sea " (2016) Universal Pictures /K Period media / A Pearl Street Films / The Media Farm / Forcus Features 

製作・マット・デイモン 監督・脚本・ケネス・ロナーガン 主演・ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ <137分・シネマスコープ>配給・ビターズ・エンド

何とも懐かしい、あの50年代に多かった「エデンの東」や「ハリーの災難」「青春物語」「ピクニック」のような、アメリカ中流のカントリー・ライフの呼吸を感じさせる人間ドラマ。

今年のアカデミー賞レースで、あのオール黒人ドラマの「ムーンライト」と互角に健闘した小市民の日常を見つめた秀作で、こちらは東部海岸の疲れた白人たちの人生スケッチだ。

「アルゴ」でアカデミー作品賞を受賞した俳優のベン・アフレックの実の弟のケイシーは、兄よりも遥かに繊細な演技力と細かな感情表現が巧みで、この作品で主演男優賞を受賞。

あの「華麗なるギャツビー」のロングアイランドよりは北部に位置する<マンチェスター・バイ・ザ・シー>は、昔からの漁師なども住む平凡な海辺の町で、ひなびたヨットの係留港。

兄の突然の病気死亡の知らせに、ボストンから急遽戻ったフリーの便利屋下請け工事をひとりでしているケイシーは、疎遠だったが実の兄の急死の知らに郷里に駆けつけた。

その兄の甥っ子の高校生を、遺体安置所に連れて行き、母親や知人たちにもメールしたり、弁護士との葬儀の打ち合わせ等と、その事後処理に忙殺されていくスケッチが、実にデリケート。

どうしてケイシーが、こうして山積された兄貴の残務を処理しなくてはいけないかは、彼らの過去の多くのトラブルが回想されていくが、それは公開まではネタバレなので、書く訳にはいかない。

いろいろな細かな過去の思い出によって、ケイシーの人間像と、どうして故郷を捨てて都会に出てしまったのかが、このような些細なエピソードで語られて行く演出が、流れるペースだ。

このような小市民の生活には、特に語るようなドラマはないのだが、この映画の脚本と監督のケネス・ロナーガンは、実にデリケートに人間関係の感情的なトラブルを再現していくのだ。

やはりケイシーの性格が、時にキレやすいという、いかにも神経だった弟らしい細かな感情表現がドラマを実にセンシティブな体質にしているので、ぼーーーっと見ていられないテンションがある。

兄のベン・アフレックが監督した2007年作品「ベイビー・ゴーン・ベイビー」でも、ケイシーはモーガン・フリーマンを圧倒する細かな演技を見せたが、この作品も、彼の存在で成立している。

久しぶりに人間同士の複雑な感情と、葛藤が穏やかに平然と描かれた人間ドラマとして、いまこそ「ムーンライト」と並ぶ秀作として、ある種、貴重な意味をもつ人間ドラマだ。

 

■ゴロで左中間を抜けたヒットだが、イレギュラーして3ベース。 ★★★★

●5月13日より、シネスイッチ銀座ほかでロードショー 



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3月10日(金)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-030『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』" Lo Chiamavano Jeeg Robot " ( 2015) Goon Films SRL, Licensed by RAI Com. S.P.A. Rome 伊

製作・監督・音楽・ガブリエーレ・マイネッティ 主演・クラウディオ・サンタマリア,ルカ・マリネッリ <119分・ビスタサイズ> 配給・ザジフィルムス

歴史の街ローマの中心部には、バチカンやコロッセオなどの遺跡が美しいままに保存されているが、郊外にある新興の団地アパートには空き家も目立ち、崩壊も進んでいる。 

多くの浮浪者や、密航入国者、ホームレスなどが空き家に住みつく為に、中産有職者たちは移住して、その広大な団地は無法者地区になり、麻薬の密売の拠点にもなっているようだ。

むかしのイタリアン・リアリズムの名作「自転車泥棒」「靴みがき」などの時代には、まだ貧しくても働こうとする庶民の善意が多くの映画で描かれて、感動の名作も多かった。

しかし昨今のローマ郊外の貧困と犯罪はテロの温床ともなり、多くの密入者たちの<吹きだまり>として、政治家や新しい産業の誘致などにも、もう手がつけられない悪化で腐敗している。

という、このリアルな背景を救うために登場したのが、日本で1975年に誕生して、遂に79年にはイタリアでも放映された日本のアニメ、永井豪原作の「鋼鉄ジーグ」だった。

要するに「スーパーマン」「バットマン」「スパイダーマン」など、多くのコミック・アニメの同格ヒーローなのだが、そこは日本製なので、どこか忍者や、サムライの面影がある。

という視点では、ライアン・レイノルズが変身して大活躍した「デッドプール」のような発想なのだが、「ジーグ」には、マーベル・コミックのような茶目っ気やダークユーモアはないのだ。

その日暮らしの密売屋のクラウディオは、盗みの逃走の際にローマのティベレ河に飛び込んだが、河底にあった産業廃棄物のドラム缶に足を挟まれたが、どうにか追っ手の追跡をかわした。

そしてヤクの取引で、建造中止の高層ビルの上階で、マフィアの連中との密売交渉がもつれて撃ち合いとなり、相手のワルと殴り合いの最中に、9階のベランダからコンクリートの地上に落下。

肩を銃撃で負傷して落下したクラウディオは、当然、そこで死亡する筈なのに、すぐに起き上がり、逃走をしてアジトに戻り、肩の銃弾を抜くが、なぜかビルから落下した筈の外傷もない。

ボスの娘は、日本製のアニメ「鋼鉄ジーグ」の大ファンで、そのDVDをいつも肌身離さず持ち歩いていたが、そのアニメ的な妄想ワールドが、このクラウディオに乗り移ったのだ。

という展開で、おそらく原作でも同様に<ジーク化>してしまった男が、不死身で鋼鉄のタフガイに変身してしまったらしく、まさに「スパイダーマン」のように不屈の肉体を持ったのだ。

派手なハリウッド製のマーベル・コミックと違って、やたら薄汚いローマの貧困街で暴れまくるジーグは、まさにゴキブリのように素早くて不死身な鼠小僧のようにロックサウンドで大活躍。

この快挙で、2016年のイタリア・アカデミー賞で最多16部門でノミネートされ、何と最多7部門で受賞して、監督賞ほか主要部門を独占したというから、バッドジョークのような事実。

 

■きわどいファール性の痛打がレフトのフェンスを直撃して、ツーベース。 ★★★☆☆+

●5月、新宿武蔵野館などでロードショー 



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3月10日(金)10-00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-029『ひるね姫~知らないワタシの物語』(2017)日本テレビ、ワーナー・ブラザース・ジャパン、シグナル・エムディ

原作・脚本・監督・神山健治 主演(声)・高畑充希、満島真之介 <118分・ビスタサイズ> 配給・ワーナー・ブラザース・ジャパン

もともとアニメには興味のない旧世代な高齢人間で、ディズニーの「ピノキオ」や「バンビ」も、たしか小学生の頃に学校の団体早朝映画引率で見たという無礼者。

都市の書店には、広大なアニメ・スペースや、街にはアニメ喫茶もあるというのに、ハードボイルドな小説しか読まなかった小生には、まさに異国の文化なのだ。

だから、ここ数年の評判アニメ映画は一応は見ているが、あの「君の名は。」も「この世界の片隅に」も、評判を聞いて劇場で追いかけに見たのだから、この作品も語る資格はない。

第一、少女アニメの世界というのは、自分が二人の男の子しか育てていないので、生活の中にも少女という生き者の実態とか匂いを知らないので、これは未知の世界になる。

それでも一応はディズニーの「バンビ」「シンデレラ」や「白雪姫」、そして「アナと雪の女王」から最近では異端のアニメーション傑作「シング」も見ているのでフツーの映画マニア。

ところが、この作品は「眠れる森の美女」の系列なのか、少女の夢の世界と、現実とが頻繁に交錯するので、かなりにアタマの整理整頓が必要になるのも、アニメを見ていない世代の疾患だ。

とにかく話は、岡山の倉敷に父親とふたりで生活していた女子高生が、まさに病的な昼寝マニアで、所構わずに昼寝をして夢を見るのだが、不思議な事に、その夢は連続したストーリーとなる。

なぜか、2020の東京オリンピックの3日前のこと、突然、父親が逮捕されて、東京に連行されたために、娘のココネはその容疑を知る為に友人の大学生とともに東京への旅をするのだ。

同じ夢の続きを連続して見られるというのは羨ましい特技だが、そうでないと、このストーリーは成立しないのだが、とくに映像処理もなく、そのリアルと夢とが交錯するので、こちらが「ひるねジジイ」。

従って、後半に頻繁に現実と夢の世界が、何の映像処理もなく、レトリックの変化もなく、ただ少女が行ったり来たりの交錯しているうちに、こちらの興味も「ひるね」したくなってしまった。

フリッツ・ラングの名作「飾窓の女」のように、鮮やかな現実への帰着もなく、ただ頻繁に夢の続きを見せられて、この作品に関しては語る気力も失ってしまった・・・ご免なさい。

 

■3球見逃し三振。???

●3月18日より、春休み全国公開。 



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3月3日(金)15-30 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>

M-028『キングコング*髑髏島の巨神』" Kong Skull Island " (2017) Warner Brothers / Legendary Pictures / Ten Cent Pictures

監督・ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 主演・ブリー・ラーソン、トム・ヒドルストン <3D/118分・シネマスコープ> 配給・ワーナー・ブラザース映画

さてさて、ゴジラの次には、またしてもキングコングの登場だが、今回の野性の怪獣は、従来のコングの倍以上もありそうな偉丈夫で、体長は10メートルを越えそうなデカさ。

何と80年も前に登場した初代キングコングは、南海の孤島で捕らえられてサーカスに売られ、ニューヨークのエンパイアー・ステイト・ビルの頂上タワーで、単発戦闘機と戦って墜死した。

その後、40年代に「猿人ジョー・ヤング」という作品もあったが、1976年に本格復活して、あのツインタワー・ビルの屋上でジェット戦闘機と戦い、ジェフ・ブリッジスも奮闘。

ところが、2014年に「GODZILLA・ゴジラ」を製作したハリウッドのチームが、今度は墜死したはずの「キングコング」を、より巨大な野獣として復活させたのが、この作品だ。

しかも身長、体重も過去のコングの数倍もありそうな、31、6メートルの大きさで、体重も158トンという恐竜のような巨体で、その暴れ方はプロレスラーよりも俊敏なのだ。

話は簡単。現代ではなく1970年代のアメリカ海軍は、空母からヘリコプターによる調査チームを、ベトナムの海上に浮かぶ南海の孤島に送り込んだのも、ゲリラの討伐のためだった。

例によって、厚い霧に囲まれた未開の髑髏島は、調査チームが興味をもつ珍種類の生物や植物の生態がいまだに棲息している紀元前の時代のままの秘境であり、まさに禁断の聖地だったのだ。

映画はその原始時代のままの野性の島の生態を紹介していくが、ゲリラ兵たちと思ったのは、見た事もないような前世紀の野暴な怪獣や野獣たちの攻撃であって、近代兵器でも適わない。

とくに凄いのが<スカル・クローラー>という恐竜の化身で、トカゲが巨大化して、ダチョウのように俊足の脚力と、ワニのような巨大な顎で暴れまくり、調査団も苦戦が強いられる。

見た事もない怪獣たちは、専門学的には遺伝子の異常な発達した野性と凄まじいスピードで襲いかかるサマは、まさに「ジュラシック・ワールド」なのだが、これはもっと凶暴なのだ。

さあ・・大変だ・・・という調査団の前に、ついに1時間ほどして出現したキングコングは、周辺の樹木よりは遥かに長身で、しかも獰猛さは歴代ナンバーワンのパワーで暴れ回る。

とくに後半の怪獣大戦争は、とても人類の介入不可能なパワー戦争で、われわれ人間は銃器なども役立たないので、ひたすらに逃げ回るしかない・・・という惨状になる。

おそらくスピルバーグも、この映像を見たら悔しがるだろうが、この怪獣戦争の凄まじさは、これまでにないヘビー級の激戦となり、見ているこちらもトイレに逃げ出したくなる凄さ。

 

■豪快なライナーが、レフトのポールをへし折ってしまった。 ★★★★+

●3月25日より、丸の内ピカデリー他でロードショー 



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3月2日(木)13-00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>

M-027『T2・トレインスポッティング』" T2 Trainspotting " (2016) Tristar Pictures / Film 4 .英

監督・ダニー・ボイル、主演・ユアン・マクレガー、ロバート・カーライル <117分・ビスタサイズ>R15+ 配給・ソニー・ピクチャーズ

あれから21年。あの90年代を駆け抜けた青春のヒット作「トレインスポッティング」の<パート2>だが、4人の不良グループの再会の<クラス会>の趣きだ。

普通でマジに成人して、まともな結婚をしていれば、子供も2人ほどいて、仕事も順調な、会社ならば部長補佐という年回りなのだが、奴らは相変わらずの出来損ない。

最近でも「スティーブ・ジョブズ」を作って好調のダニー・ボイル監督は、2008年には「スラムドッグ・ミリオネア」でアカデミー監督賞を受賞したベテランだ。

その彼が発案したかどうかは知らないが、あの1996年のヒット作を、同じあの4人の不良グループの、その後の現在の状況で再会させてみよう、という発想は嬉しい。

むかし、50年代のジーン・ケリー主演の傑作ミュージカルに「いつも上天気」という作品があって、3人の戦友たちが、やはり20年ぶりにニューヨークのバーで再会するが・・・という話。

あの作品では、出世した会社の重役と、相変わらずの平社員と、ギャングのお抱えディーラーになっているヤクザが、それぞれに再会に失望したが、当時の友情を再確認するまでの感動作品だった。

が、この出来損ないのスコットランド、エジンバラの不良4人は、20年経っても、相変わらずのドジな生活をしていて、そこには<感動の再会>なんてものはありっこない。

俳優としてのユアン・マクレガーはご存知のように「スターウォーズ」シリーズで大活躍して、秀作「ゴーストライター」から、最近では「美女と野獣」にも出演してのトップスター。

ところが、007にも顔を出していたロバート・カーライルはともかく、あとのジョニー・リー・ミラーも、ユエン・ブレムナーもローカル・テレビ映画にはチョロチョロ出ている程度らしい。

それぞれに、もう中年の<オジン>なのだから、腹は出てくるし腰はグラツイているし、アタマはかなり薄くなるし、白髪もチラホラの冴えない風采になっているのは、我々同様。

その4人が、とにかくあの若い時代の確執はともかく、20年ぶりの再会を機にして、またも悪事を計画するという、まるであの時代と同じような<不良少年>に戻る・・というのだ。

思いつきの企画そのものは面白く、主演の4人も、監督までもが同一スタッフなのだから、よくあるリメイクものとは基本的に違った懐かしさはあるのだが、やはり哀しみも滲んで来る。

ま、そこは作品の狙いだろうから、シナトラの「オーシャンと11人の仲間」のような不良再会のような男気は感じるものの、作品のキレは、さすがに老化しているのは、仕様がない。

ジャック・レモンとウォルター・マソウの「おかしな二人」の老人版ほどのズレはないが、この<相変わらず>らしさ「無理を承知の、この渡世・・」が、妙に哀しい。

 

■強打のわりにはボテボテのショートゴロがイレギュラーしてヒット。 ★★★☆

●4月8日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー 



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3月2日(木)10-00 半蔵門<東宝東和試写室>

M-026『SING/シング』(2016) Universal Studios / Illumination Presents 

監督・脚本・ガース・ジェニングス 声・マシュー・マコノヒー、スカーレット・ヨハンソン <108分・ビスタサイズ>配給・東宝東和

「ミニオンズ」や「怪盗グルー」などのシリーズ・アニメの人気で、あのディズニー・スタジオとは、まったく別のアングルで人気のある<イルミネーション>の新作。

時代の流れで、とうとう倒産してビルも解体の悲運の劇場主が、ラスト・ショーとして、近所に住む人々<みんな動物>の賞金つき素人のど自慢大会を企画した。 

もともとはシャイな連中なのだが、近所に住む住人たちが、この賞金狙いのショウにでることになったのも、間違って高額な賞金額をプリントしたチラシをバラまいたためだ。

それぞれにワケありで出場することになった連中は、度胸だけはやけっぱちなコアラのマシュー・マコノヒーが司会する<ぶっつけ本番>のコンテストに出場することになったのが、騒動のはじまり。

エントリーしたのは、ギャングの一人息子の小心ゴリラがサム・スミスの唄を唄い、失恋したヤマアラシのブスな娘はカーリー・レイ・ジェブセンのパンクロックを熱唱。

主婦のブタはテイラー・スウィフトを唄い、小心なブタの娘はレディ・ガガの<バッド・ロマンス>を唄うという、そのキャラと選曲が愉快で、唄うパフォーマンスも実に素晴らしい。

圧巻は小心で人前にも出られないゾウの娘が、突然、発狂したようにスティービー・ワンダーの<ドント・ウォーリー・バウト・ミー>を絶唱するシーンで、これには不思議な感動をしてしまった。

唄と歌詞と、彼らの生活状況のピンチもあるが、やはりマイナーな動物たちが、ここで発揮する想定外のパフォーマンスは、まさにアニメーションだからこそ可能な意外性だろう。

マイケル・ジャクソン、ビートルズ、エルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ、ビヨンセ、アリアナ・グランデ・・・などすごいメンバーながら、当方はシナトラの「マイ・ウェイ」に満逸。

よけいなドラマ性は裏話にして、とにかく豪華なスーパー・タレントの唄を、フルコーラスで聞かせたという、その企画力と度胸には、ある種、音楽ファンには感動ものなのだ。

「モアナ」のディズニーのいいが、この「ミニオンズ」根性のイルミネーション・グループの発想と表現力には、もともとマイナーな逆転発想力とテクニックがあり、この傑作に結集させた。

昔から、よくある「劇場復活」のストーリーも、あのジム・キャリーの傑作「マジェスティック」の流れだが、これだけの個性的な動物たちの熱唱を見ていると、拍手せずにはいられない。

 

■左中間の当たりが、意外にのびてスタンドイン。 ★★★★+

●3月17日より、東宝洋画系ロードショー 



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2月の<ニコタマ・サンセット傑作座>上映ベストテン

 

*1・『過去のない男』02<監督・アキ・カウリスマキ>マルク・ペルトラ VHS ★★★★

   深夜の公園ベンチで暴漢に殴られて記憶を失った中年男は、港湾地区の浮浪者や、救世軍の女性の助けで少しずつ記憶を戻して、復讐を遂げる感動ドラマ。

 

*2・『ハバナの男』60<監督・キャロル・リード>アレック・ギネス VHS ★★★★

   ハバナの下町の電気屋アレックは、売れない電気掃除機のデッサンをしたところ、捜査官に新型ロケットと勘違いされるコメディで、モーリン・オハラ追悼。

 

*3・『アメリカから来た男』91<監督・アレクサンドロ・ダラトーリ>バート・ヤング VHS ★★★☆☆☆

   イタリアの田舎町に嫁さん探しでやって来た中年のアメリカ人は、親切にアテンドしてくれた青年と仲良くなるが、実はマフィアの殺し屋だった、というコメディ。

 

・・・と、ここまで書いていて気がついたが、みんな<男>の映画だったのは、まったくの偶然。

 

*4・『ゴーストタウンの決闘』58<監督・ジョン・スタージェス>リチャード・ウィドマーク VHS ★★★☆☆

   いまはシェリフをしている男には、銀行強盗をして得た大金を隠した秘密があり、当時の仲間たちがその報復のために妻を誘拐して決着をつけようと迫る秀作。

 

*5・『火山のもとで』84<監督・ジョン・ヒューストン>アルバート・フィニー LD ★★★☆

   メキシコの田舎町で隠遁生活をしていた酔っぱらいのところに、別居中の女房がやってきて更生を促すが、運命は足を引っ張るヒューストン監督の、自白的な傑作。

 

*6・『私書版』96<監督・ベルナルド・ラップ>テレンス・スタンプ VHS

*7・『トワイライト』98<監督・ロバート・ベントン>ポール・ニューマン DVD

*8・『悪徳警官』54<監督・ロイ・ローランド>ロバート・テイラー VHS

*9・『湖中に消える』06<監督・ロバート・ハーモン>トム・セレック DVD

*10『殺し屋は放たれた』56<監督・バッド・ボイティーチャー>ジョセフ・コットン VHS・・・・といったラインナップでした。

 

●結局は、どうも出来の悪い男達の転落ぶりに共感していた2月の傑作たちでした。 



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2月に見た新作試写ベスト5

 

*1・『ムーンライト』監督・脚本・バリー・ジェンキンス 主演・トレヴァンテ・ローズ ★★★★☆☆☆

   今年のアカデミー作品賞・脚本賞受賞の秀作で、トランス・ジェンダーの少年が、青年期までの3つの時代を描いたハート直撃のヒューマン・ドラマの秀作。

 

*2・『ELLE・エル<原題>』監督・ポール・ヴァーホーヴェン 主演・イザベル・ユペール ★★★★

   パリのゲーム会社でCEOを務める中年女性が自宅でレイプ暴漢によって襲われたが、警察の捜査は難航するなか、独自の行動をとるユペールの圧巻熱演が鳥肌。

 

*3・『ライオン・25年目のただいま』監督・ガース・デイビス 主演・デヴ・パテル ★★★☆☆☆

   インドの田舎町で貨物列車で遊んでいた少年が、遠くはなれた土地で不明のままオーストラリアに養子となり、25年もしてネットで帰郷した奇跡的な実話ドラマ。

 

*4・『午後8時の訪問者』監督・リュック・ダルデンヌ兄弟 主演・アデル・エネル ★★★☆☆ 

   若い開業女医のアデルは、午後8時すぎの電話中に、玄関のベルに出られず、その訪問者は暴漢に殺され、責任を感じた彼女は単独で犯人を捜索していく。

 

*5・『ジャッキー』監督・パブロ・ラライン 主演・ナタリー・ポートマン ★★★☆☆

   JFKがダラスで暗殺されたあと、ホワイトハウスを退去する妻のジャッキーは、あの日の悪夢を記者に回想して語るナタリーの、アカデミー・ノミネートの熱演。

 

*その他に見た試写で、印象的だった作品は、

●『3月のライオン・前項篇』監督・大友啓史

●『汚れたミルク』監督・ダニス・タノヴィッチ 

●『無限の住人』監督・三池順史

●『ハードコア』監督・イリア・ナイシュラー・・・・・というところでした。 



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