●11月18日(金)13-00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M-149『マグニフィセント・セブン』" The Magnificent Seven " (2016) Metro-Goldwyn- Mayer Pictures / Columbia Pictures
監督・アントワーン・フークア 主演・デンゼル・ワシントン イーサン・ホーク <133分・シネマスコープ>配給・ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント
もちろんオリジナルは、あの黒澤明監督の「七人の侍」で、1960年にジョン・スタージェス監督が新人のスティーブ・マックイーンを起用して,何と西部劇にリメイクしたっけ。
その時の英語タイトルがこれで、「荒野の七人」として、ま、最後の西部劇ブームのフィナーレのように持て栄され、ユル・ブリンナーや、<マンダム>ブロンソンまでもが大スターになった。
60年代以降に、アメリカのネイティブ・インディアンなどの、異人種マイノリティへの偏見や虐待が世界的に異論の的になり、以後、あまりオリジナル西部劇は製作されなくなった。
たしかに私たちの青春のヒーローたちは、すべて西部劇のスターであり、長身でガン・プレイが鮮やかで、正義の味方として憧れのアイドルだったが、突然プツンと消えてしまったのだった。
最近「決断の3時10分」はリメイクされたが、ボブ・ディランの「ビリー・ザ・キッド*21才の生涯」などや、「ワイルド・バンチ」があった時代に、この「荒野の七人」は、ストレートな西部劇。
たしかに7人のラスト・サムライのような、落ち武者たちにはロクな仕事もなく、カウボーイや農作業の不得手なガンマンは、こうして僻地の農業者のボディガードをするしか仕事はない。
この作品も、オリジナルの気概を受け継いで、小さな西部開拓の悪徳資産家の独裁を、貧しい開拓者や農民たちの生活を守るために尽力する流れ者ガンマンたちの、善意の抵抗を描く。
ロサンゼルス警察の腐敗と悪徳刑事の実態を描いた「トレーニング・デイ」のアントワン監督は、あの時のデンゼルと、イーサン・ホークをまた組ませて、このリメイク・ウェスターンに挑戦。
もともと黒人が西部劇に出ることは異例だったが、シドニー・ポワチエが「砦の29人」に出てからは、ま、「ニュートン・ナイト」の時代でもあり、違和感がなくなった。
それにしても、このデンゼルは冷酷タフガイで「追跡者」のバート・ランカスターのように、頑に正義にこだわり終始苦虫をつぶしたような表情で、あまり魅力的でないのが残念。
おまけに悪徳地主のピーター・サースガードが弱腰で個性味が薄くて、あのイーライ・ウォラックのような憎らしさが乏しいので、ウェスターンの敵役としての存在感に乏しいのが残念。
イ・ビョンホンも東洋の殺し屋としての異彩は放つものの、意外にあっけない最後であり、やはり7人の、それぞれのキャスティングの個性も、50年前ほどでもない。
デンゼルの役が<チザム>というので、あの有名な男かと思い、ジョン・ウェインの『チザム』を見たが、彼は牧場主だったので、どうやら別人みたい。
が・・。久しぶりにあの西部の荒野がシネマスコープの大画面で見られたし、エンド・クレジットでは、例のエルマー・バーンスタインの懐かしいテーマ曲が流れて・・・ホッと一息。
■左中間へのゴロをレフトがもたついて、その間にツーベース。 ★★★オマケに☆
●2017年1月27日より、全国ロードショー